牝馬の桜花賞組、男馬の皐月賞組、そして最初からニュージーランドT→NHKマイルCを目指した組が合わさり、興味あふれる対戦となったが、意外にあっけない結末。スタンドのファンの盛り上がりも一歩だった。
勝ったラインクラフト、桜花賞と同じように2着したデアリングハートは、これは文句なしの内容で立派。正攻法の先行策でスムーズに、かつストレートに力を出し切っている。
レースの流れは47.4-46.2秒。1000m通過は59.2秒の超スロー。逃げ一手では苦しいとみたディープサマー、ビッグプラネットの牡馬2頭が下げたことにより、NHKマイルC史上でも例を見ないゆったりとしたペースになった。東京の1600mのG1の厳しさが言われすぎたこともあるのだろう。レースの流れは生き物とされるが、前日の3歳500万下の牝馬同士の7Rが46.3-48.4秒の流れだったから、前半の半マイルでG1の方が1秒近くも遅い。スローで悪いことはないが、オープン馬がこのペースでは行ったきりの結果になるのは目に見えている。前日のプリンシパルS(ダービートライアル)のあまりにも味気ないスローの凡戦を観たあとだけに、レースの迫力を著しく欠いたことは否定できない。
牝馬の桜花賞組が正攻法のレースをしたのに対し、牡馬の先行型はあまりに非力。また有力馬は差し一手の注文のつくタイプだったことも、レースの迫力を欠いた大きな原因だった。自分でレースを作れない弱みがあるから、マイル戦のここへ回ってきた馬が多かったが、その1600mのG1が自分で動けない馬にもっと苦しい超スローになってしまった。
今年、ちょっと以前にはメンバーの大半を占め、上位を独占した外国産馬がたった2頭だけに減っている。このことと、興味をそぐほどの異常なペースは直接には関係ないだろうが、1~2着した桜花賞組以外、ちょっとレベルが低すぎたといえる。脚質うんぬんの問題ではなく、マイラーとしての資質で劣っていた。