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近親にノヴェリストを持つドイツ血統馬ナイトミュージアム

  • 2018年02月07日(水) 12時00分
≪3歳≫

●アイコン(牡 栗東・池江泰寿 父ディープインパクト、母セレブリティ)
 母セレブリティは偉大なウオッカ(09年ジャパンC-GI、07年日本ダービー-GIなどGIを7勝)の全妹にあたる良血。2代母タニノシスターは報知杯4歳牝馬特別(GII・芝1400m)5着馬で、3代母エナジートウショウは桜花賞馬シスタートウショウの全姉。スピードと切れ味を感じさせる母方の血に、RobertoとRibotの底力で構成されたタニノギムレットを交配し、最良のものが表現されて誕生したのがウオッカだった。その全妹にあたるセレブリティは、通算14戦2勝なので、競走能力を比べるのはかわいそうだが、たとえばエリモシック(97年エリザベス女王杯)とエリモピクシー(04年エリザベス女王杯-GI・4着)のように、競走能力と繁殖能力が一致しない姉妹も存在する。アイルランドで繁殖生活を送るウオッカはもう日本に帰ってくることはないと思われるので、ディープインパクトと交配することもない。それだけに本馬がどんな競走馬になるのか興味深い。芝向きの中距離タイプ。

●クイーンズトゥルー(牝 美浦・高木登 父キングカメハメハ、母キョウエイトルース)
 半兄にサウンドトゥルー(父フレンチデピュティ/15年東京大賞典-GI、16年チャンピオンズC-GI、17年JBCクラシック-Jpn1)、ルールソヴァール(父フレンチデピュティ/17年みやこS-GIII・2着)、コンフォーコ(父トワイニング/OP)、半姉にツインクルスター(父サクラバクシンオー/OP)がいる良血。非社台グループ系の繁殖牝馬のなかで母キョウエイトルースはトップクラスのポテンシャルを誇る。本馬は「キングカメハメハ×フジキセキ」。この組み合わせはユラノトやコロマンデルなどパワー型が目立つので、牝馬とはいえやはりダート向きだろう。距離は1600〜1800mがいい。

●ナイトミュージアム(牝 栗東・友道康夫 父ディープインパクト、母ニンフェアアルバ)
 母ニンフェアアルバは未勝利馬だが、Night Tango(05年独ダービー-G1・2着)、Night Lagoon(03年ヴィンターケーニギン賞-独G3)をきょうだいに持つ。後者は繁殖牝馬となって本邦輸入種牡馬ノヴェリスト(13年キングジョージ6世&クイーンエリザベスSなどG1を4勝)の母となった。「ディープインパクト×Monsun」はノーブルコロネット(13年フィリーズレビュー-GII・4着)、リセエンヌ(15年サウジアラビアロイヤルC-GIII・4着)、ウムブルフ(16年京成杯-GIII・5着)などコンスタントに活躍馬を出している。母の父Monsunはスタミナタイプでオークス馬ソウルスターリングの母の父でもある。1800m以上の芝でいいところがありそうだ。

●ハナオウギ(牝 美浦・和田雄二 父Super Saver、母Interim)
 母Interimは現役時代、アイルランドで4戦未勝利に終わったものの、血統的に注目したい存在。サトノクラウン(17年宝塚記念-GI、16年香港ヴァーズ-G1)、Lightening Pearl(11年チェヴァリーパークS-英G1、ラウンドタワーS-愛G3)、ジョリージョコンド(17年札幌2歳S2着馬ファストアプローチの母)をきょうだいに持ち、なおかつTouch of Greatness 3×3という牝馬クロスを持つ。Elusive Quality≒Rossini 2×2と言い換えてもいい特異な配合構成だ。これにケンタッキーダービー馬Super Saverを掛けて誕生したのが本馬。父はRunhappy(15年BCスプリントなどG1を3勝)、Embellish the Lace(15年アラバマS-米G1)、Competitive Edge(14年ホープフルS-米G1)などを出しており悪くない。芝・ダート兼用のマイラー。

●ランドネ(牝 栗東・角居勝彦 父Blame、母Loure)
 2代母ラヴィングプライドはオマール賞(仏G3・芝1600m)の勝ち馬で、母Loureは米1勝馬ながら、その兄弟にエンキンドル(準OP)、ラヴアンドポップ(15年札幌2歳S-GIII・4着)、Demonstrative(米最優秀障害馬)などがいる。本馬の父Blameは現役時代にG1を3勝。引退レースのブリーダーズCクラシック(米G1)で19戦全勝の女傑Zenyattaに生涯唯一の黒星をつけた馬として知られる。種牡馬としても仏オークスSengaを出すなど成功している。本馬はSengaと同じく「Blame×A.P.Indy」という組み合わせ。なおかつBound≒Nureyev 3×4という4分の3同血クロスを持っている。将来、繁殖牝馬としておもしろい存在で、もちろん、競走馬としても期待できる。芝・ダート兼用の中距離タイプ。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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