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「初めてやね、こんなに勝てんのは」初勝利が遠い現在の胸の内

  • 2018年02月20日(火) 18時01分
小牧太

なかなか初勝利が遠い2018年、はたして現在の胸の内は…


小倉大賞典で有終の美を目指した小牧騎手&ヒットザターゲットですが、ベストのポジションを取り切れず、13着に終わりました。当日の様子やレース回顧は改めてジックリお届けするとして、今週は1月後半から2月前半のレース回顧を。勝負どころで「勝てるんちゃうか」と思ったレースはたくさんあったという小牧騎手。なかなか初勝利が遠い2018年ですが、はたして現在の胸の内は…。
(取材・文/不破由妃子)



こういう状況も、プロとしての戦いなんやと


──もうすぐ2月も終わりますが、なかなか片目が開きませんね…。

小牧 初めてやね、こんなに勝てんのは…(苦笑)。毎年、1月、2月は調子がいいんやけどなぁ。でも、乗れない時期を思えば乗ってるからね。そのうち勝てるやろと思いながら、一生懸命もがいてるところや。

──どんなにベテランといえど、平常心を保つのが難しい状況かと。

小牧 いや、もう慌てん。こういうときに下手に焦ると、ケガをしたり騎乗停止になったりするからね。その2つだけは気を付けて。60歳まで乗ろうと思ったら、まだまだ何年もあるし…なんて思いながらね(笑)。この前も話したけど、ひとつ心配なのが、900勝の記念品や。嫁さんと娘が用意してくれているはずなんやけど、はたして出番がくるのかどうか(苦笑)。

──あと24勝ですから、心配無用です。

小牧 うん。まぁ何年かかっても達成するつもりやけどね。そういう気持ちでいたほうが気も楽やし。たとえば、今年で辞めるとか期限が決まっていれば焦るけど、そうじゃないから。

──セレンディバイト(6番人気2着)、サイモンラムセス(11番人気4着)、ミキノトムトム(8番人気3着)、チャノカオリ(16番人気4着)、マサハヤニース(8番人気2着)などなど、人気を大きく上回る好騎乗もたくさんあって。ひとつでも上にという気迫をものすごく感じます。

小牧 一戦一戦、必死やからね。チャノカオリは非力なタイプやから、芝に替わったのがよかったよね(1月27日4着後、先週も小牧騎手騎乗で8番人気7着)。一瞬、勝つかと思ったくらいやから、そのうち出番が回ってくるんちゃうかな。

──セレンディバイトは、初戦(7着)のあと、「走ってきそう」とおっしゃっていた馬で。2戦目は6番人気でしたが、小牧さんの手応え通りでしたね(2着)。

小牧 うん。だから、勝てるんちゃうかな…という思いもあったんやけど、2戦目はなんせ相手が強かった。でも、乗り味のいい馬でね。初戦はエンジンの掛かりが遅かったんやけど、ゴール板を過ぎてからすごい勢いで走っていって。これは相当に脚を余らせてるんやなと感じて、「走ってくる」って言ったんやけどね。

──2戦目は早めに上がっていきましたが、それでも脚があることを見越しての騎乗だったんですね。

小牧 そうそう。脚があるのはわかっていたから、今度は余らせんようにと思って。思っていた通りの走りを見せてくれたけど、重馬場の時計勝負は初めてやったからね。でも、この馬は走ってくると思うよ。

──サイモンラムセスもテン乗りでしたが、11番人気4着(その後、2月10日の琵琶湖特別でも11番人気4着)。ただ、これまでたくさんのジョッキーが乗っていますが、誰が乗ってもどういう競馬をしても善戦止まりで…。難しそうな馬ですね。

小牧 いつもあそこまではくるらしいからね、あの馬は。僕が乗ったときも、4コーナーでは勝てるんちゃうかなと思ったくらい手応えがあったけど、結局、止まってしまったからね。レースのあと、厩舎のスタッフが「いつもそうやねん」って言ってたわ。

──レース後、「集中力を欠いて…」とコメントされていましたが、集中力が途切れた瞬間というのは、どういう反応でわかるんですか?

小牧 それまで一生懸命に走っていたのに、手応えがフッとなくなったりするから。あとは、この前もそうやったけど、競り合うなかで頭が上がってきたり、ハミが抜けたり。乗っている人間にしかわからん細かい感覚やと思うけどね。あとは、マサハヤニースもなぁ、誰も追いかけてこなかったし、ペースからいって勝てるんじゃないかと思ったんやけど…。そういうレースはたくさんあるんやけどね。どんなに人気薄を上位に持ってきたとしても、やっぱり勝たなアカン。なんせ勝ちたい。次の“1勝”は格別やろうなぁ。

──そうですね。ファンのみなさんは、今か今かと固唾を飲んで見守っていると思います。

小牧 みんなが一生懸命、声を出して応援してくれていることはわかってるよ。昔は1年に300勝していたジョッキーが、こんなに勝たれへんなんてねぇ。だから、勝てないつらさは当然ある。でも、いい意味で開き直っていかな。いろいろ考え始めたら、プライドがズタズタになっていくからね(苦笑)。でもね、こういう状況も、プロとしての戦いなんやと思う。だから、あんまり考えすぎんと、自分を信じて乗っていきますわ。

小牧太

あんまり考えすぎんと、自分を信じて乗っていきますわ

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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。2024年には再度園田競馬へ復帰し、活躍中。史上初の挑戦を続ける。

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