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羽田を飛翔・シーチャリオット

  • 2005年05月16日(月) 15時34分
 5月11日、大井「羽田盃」。シーチャリオットが横綱相撲で第1冠をものにした。逃げるメイプルエイト、2番手集団にガイアヘッド、トウケイファイヤー、ワールドエミネンスと固まり、シーチャリオットはそこから1馬身置いた5〜6番手。3コーナー外々をじわりと進出。直線入口、早くも先頭に並びかける。1000m通過63秒9の超スロー、メイプルエイトが抵抗し、派手なパフォーマンスにはならなかったが、それでもきっちり2馬身差。何より自身、上がり3F36.6秒(推定)の数字が、別次元の破壊力を物語る。

 内田博騎手は残り1Fでステッキ一発。「前走(京浜盃)は外へ切れたけど、今日は加速してくれました」。競り勝つためというより、馬の気持ちに探りを入れた、そんな感じか。「並んでしまえば負ける気がしませんね。距離も問題ないでしょう。強い?そう、強いんです」。もはや課題なしを強調した。

羽田盃(サラ3歳 定量 南関東G1 1800m良)

◎(1)シーチャリオット (56・内田博) 1分53秒5
△(2)メイプルエイト (56・張田) 2
▲(3)マズルブラスト  (56・今野) 2
△(4)キョウエイペガサス (56・山田信) 3
△(5)ボンネビルレコード (56・的場文) 1
……………………
△(6)サウンドイモン   (56・坂井)
○(7)トウケイファイヤー (56・有年)

単100円 馬複520円 馬単660円
3連複840円 3連単2300円

 シーチャリオットは当日502キロ。デビュー時466キロ、それからわずか8ヶ月で馬体の幅、重量感がみるみる変わった。威風堂々。同時に精神面の成長も極めて大きい。

 2戦目で重賞・平和賞を勝ち、続く交流G1・全日本2歳優駿2着。しかし当時はパドックで馬っ気まで見せ、何とも若い印象だった。馬がレース(という仕組み)を覚えたこと。パワーそのものを増したこと。

「氏(ダーレー)と、育ち(川島正行厩舎)…」。結局それが結論になるかもしれない。次走東京ダービー(6月8日・大井2000m)は通過点。距離、折り合いを確かめ、いよいよ7月13日、大目標「ジャパンダートダービー」でJRA精鋭を迎え撃つ。あえて漠然と浮かぶ不安。早熟云々とは違う意味で、その成長が早すぎること。少なくとも地方の名馬、これほどのケースはかつてなかった。

 メイプルエイトは単騎逃げ。なるほど展開も味方したが、仮にチャリオット不在ならそのまま押し切っていただろう。実戦向きの機動力と競馬センス。カコイーシーズ産駒らしく、胴の長いゆるやかな体型で追ってからも味がある。自身1800m・1分53秒9は例年の勝ち馬レベル。怪物と同世代、その不運というしかない。

 マズルブラストはスタート後手を3〜4角、一気に仕掛ける今野パターン。結果3着なら善戦だが、個人的には「いい脚一瞬」と判断する。トウケイファイヤーは、道中馬混みに入って折り合いひと息。いざ直線も思うように伸びなかった。結果論ながら人馬とも経験不足か。ハイセイコー記念を勝ち、京浜盃2着。しかし現実に大井から一歩も外へ出ていない。

 船橋所属馬のワンツースリー。馬の実績だけを言うのなら、すでに大井は「南関の盟主」と呼べなくなった。サウンドイモンは父コンサートボーイに似てよくも悪くもジリ脚タイプ。大崩れなく走り、次走2000mで前進の感触はある。

       ☆       ☆       ☆

さきたま杯(浦和5月18日 サラ3歳以上 別定 統一G3 1400m)

◎ニホンピロサート  (57・小牧)
○ノボトゥルー    (59・武豊)
▲ブラウンシャトレー (57・張田)
△ヨシノイチバンボシ (57・吉田稔)
△ブルーローレンス  (56・的場文)
△ロッキーアピール  (57・今野)
 ディバインシルバー (57・松永幹)
 トーシンブリザード (59・石崎隆)

 ニホンピロサートを狙った。昨年このレース、1番人気4着。しかし当時スタートで大きくつまずき、4コーナー離された7番手。そこから上がり36.0秒の末脚だから、浦和コースのフィーリングは悪くない。1400m・6勝のスペシャリスト。昨夏、佐賀「サマーチャンピオンC」5馬身差圧勝から、本来地方ダート向きだろう。小牧太騎手とのコンビ[3-1-0-0]。前走コーラルS(阪神)を叩き、いかにもここ照準のムードがある。

 ストロングブラッドが出走投票後、急きょリタイヤ(左肩跛行)。古豪の貫禄でノボトゥルーだが、G1ウィナーゆえの59キロ。現実に昨年3着は、追って案外伸び切れなかった。今季再び旬を迎えたブラウンシャトレー、連覇をめざすロッキーアピールも互角の評価。ディバインシルバーは単騎逃げが絶対条件。全11勝を的場文騎手であげているブルーローレンスにも、流れひとつでチャンスが出る。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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