
▲「ブションの産駒は僕の宝物」ネヴァブションと産駒への思いを語った廣崎利洋オーナー
2016年11月、繋養先のアロースタッドで1頭の種牡馬が天国に旅立った。
ネヴァブション──現役時代は中長距離重賞の常連として、多くの競馬ファンに愛された“いぶし銀”であり“個性派”。全8勝中、重賞3勝を含む5勝が中山という巧者でもあった。
デビューから6年半、持ち乗り厩務員として(当時)担当したのが、今年開業2年目を迎えた青木孝文調教師である。
幾度かの長期休養を挟みつつ、競走馬生活は8年に及んだネヴァブション。全54戦中、40戦を共に戦った。
引退まで担当できなかったことが青木師の心残りだったが、その無念は、新たな形で晴らされようとしていた。
「調教師としてネヴァブションの子供を手掛ける」

▲2009年のAJCC優勝時のネヴァブション (撮影:下野雄規)
名バイプレイヤーとして高い人気を誇ったネヴァブションだが、GIは未勝利。父マーベラスサンデー、母父ミルリーフという地味な血統でもあり、通常であれば、種牡馬への道は拓けない。
そのキーマンとなった人物が、廣崎利洋オーナー。
ストレイトガールやレッツゴードンキを所有し、いまや数々のGIタイトルを手にしている廣崎オーナー。その馬主人生の礎となった存在が、ネヴァブションだった。
種付け料は受胎条件で10万円。そこにビジネスは一切存在しない、廣崎オーナーの懐の深さだった。そして、5度目のチャレンジで調教師試験に合格した青木師に、産駒を預託することも決めた。
お互いに立場は変わったものの、かつてのパートナーと再タッグを組むことが決定した青木師。
しかし──ネヴァブションの死は、まさにその矢先の出来事であった。
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ネヴァブションが残した産駒は、3世代6頭。
奇跡ともいえるめぐり合わせで、再び動き始めたネヴァブションのドラマは、2018年、産駒のデビューという大きな局面を迎えようとしています。
青木孝文調教師のインタビュー(3/1前編、3/2後編)、廣崎利洋オーナーのインタビュー(3/8前編、3/9後編)、そして産駒の動画を踏まえて、この奇跡のドラマをお届けします。
公開まではまもなく。どうぞお楽しみに。