5月18日、浦和「さきたま杯」。ニホンピロサートが鮮やかな差し切りで昨年の雪辱を果たした。懸念のスタートも、この日はほぼ互角に決まり中団キープ。向正面から外々を、気合をつけて上がっていく。多少のロスはあっても、脚を余したくないというレースぶり。4コーナー2番手、快調に逃げるブルーローレンスとおよそ3馬身の差があったが、追い詰める一完歩、一完歩、その末脚は力強い。
大きなストライドでクビ差捕えたところがゴールだった。「嬉しいというよりホッとしました。うまく競馬が運べれば相当な力がある。責任が果たせてよかったです」。小牧騎手とのコンビはこれで6戦4勝。昨夏、プロキオンS(阪神)、サマーチャンピオン(佐賀)に続き重賞3つ目。抜群の相性というより言葉がない。スプリンターながらズブさ、不器用さが同居するピロサート。追える鞍上がそこを見事にカバーしている。1400m・1分25秒5も、乾燥した馬場を考えると合格点。確かに着差以上の完勝だった。
さきたま杯(サラ4歳以上 別定 統一G3 1400m良)
◎(1)ニホンピロサート (57・小牧太) 1分25秒5
△(2)ブルーローレンス (56・的場文) クビ
(3)トーシンブリザード (59・石崎隆) 2
○(4)ノボトゥルー (59・武豊) クビ
▲(5)ブラウンシャトレー (57・張田) ハナ
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△(7)ヨシノイチバンボシ (57・吉田稔)
△(10)ロッキーアピール (57・今野)
単270円 馬複1750円 馬単2530円
3連複11,260円 3連単47,510円
ブルーローレンスの逃げは意外だった。直線勝負で結果を出した前々走東京シティ盃。当然インでタメる形をイメージしていた。「スタートがよすぎるくらいで、それも1枠。自然な形で行けました。勝ったと思ったんだけどね…」(的場文騎手)。元よりシャンハイ産駒のスピード型。短距離なら自在に乗れるということか。
それにしても落馬負傷(顔面打撲)、今季2ヵ月のブランクがあった的場文男騎手。先週、地元大井から復帰、その闘志、勝負勘はいささかも翳りがない。培ってきたものの大きさ、深さというしかあるまい。ローレンス自身は初交流を首差の2着。胸を張って今後に臨める。
トーシンブリザードが健闘し、ノボトゥルーは不発だった。しかしこれは人気に比してということで、実績、潜在能力からは特に驚く結果でもない。ともに極量59キロ。年齢を含め、どちらもよく走っている。ブラウンシャトレーはスタートで躓き後方から。3〜4コーナーで一気に追い上げたものの、いざ追って脚が止まった。多分に右回り大井向き。浦和はフィーリングが合わないか。
ヨシノイチバンボシ、ロッキーアピールは流れ次第の先行馬。勝負どころでまくられ、パワー不足が如実に出た。少なくとも、対ニホンピロサートは完全な力負け。これから新興勢力の台頭も予想され、統一Gもう1勝となると、正直厳しい状況だろう。
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5月13日大井競馬、第2レースで炸裂した1300万円の夢馬券(3連単)。3日後の16日、発売地と同じ後楽園オフトで、払い戻しがあったという。「70歳台の男性。眼鏡に帽子、ジャンパー姿。婦人か娘と思われる女性と一緒で、下町風の明るい人…」(スポーツニッポン紙)。ご本人には余計なお世話に違いないが、やはりこういう話、野次馬には興味がある。投資額はいくらだったか、どう推理して買ったのか。
払い戻された3連単馬券、12→11、1・2着は固定で3着を総流し。14頭立てだから12通り、計1200円ときわめてシンプル。「あれこれ考えた馬券ではない。自分なりの法則があり、それに従って購入した」
自分なりの法則とは、おそらく「出目」だろうと推測する。そうでなければ、ベルモントジャイブ(10番人気)→レールッコ(11番人気)を1・2着に固定できると思えない。いずれにせよ素晴らしい強運としか言葉がない。
馬券の買い方について。5月5日「かしわ記念」、当日船橋競馬場で知人と出会い、レース直前に何を買ったの?などという話になった。「JRA・4頭とナイキアディライト、5頭ボックスの3連単。だってこれしか来ないでしょ。絶対に当たるもんね」。500円ずつ60通り、投資額3万円。筆者は失礼ながら、馬鹿じゃないの…と内心思った。当たったって原価割れ。だいたいそんな馬券を買って観戦したって、面白くも何ともないじゃないの…。
結果はストロングブラッド→タイムパラドックス→ナイキアディライト、5→4→3人気と入り、3連単は27,000円の配当だった。払い戻し13万円あまりで、収支10万円の大プラス。他人の馬券と恋路には、けっして口をはさむものではないのである。