ストームキャット直父系が5頭も出走する珍しいケース/ファルコンS
◆負けるときはひどくもろいが、危険を承知で狙いたい
短距離1400mとはいえ、芝の重賞レースに「ストームキャット直父系の種牡馬」の産駒が5頭も人気馬として出走してきた。きわめて珍しいケースである。アサクサゲンキ(祖父ストームキャット)を筆頭に、タイセイプライド、テンクウ、ムスコローソの3頭は3代父がストームキャット。外国産馬ミスターメロディの場合は、4代父がストームキャットになる。
また、直仔は「かなり単調なスピード型」が多かったため、緩急の変幻のペースが求められる日本では著しく成功しなかったストームキャットは、母の父、あるいは祖父母の代になると豊かなスピード能力を伝えて日本でも成功したため(ファレノプシス=キズナ姉弟、ラキシス=サトノアラジン姉弟など)、ストームキャットが血統図の「3〜4代前」に登場する出走馬が、母の父にストームキャットを持つロードカナロア産駒として「ダノンスマッシュ、ドラグーンシチー」の2頭いる。それ以外に3〜4代前にストームキャットの血が入る馬も2頭いる。
「ヘネシーから→ヨハネスブルグ」、あるいは「ヘネシーから→ヘニーヒューズ」を経た種牡馬の成功(攻勢)などにより、巨大な時代を築いたアメリカとはときを経て、日本にミニ「ストームキャット系」の時代が訪れたような組み合わせのレースである。現在はダート巧者だけでなく、芝をこなす産駒がいっぱいいるのがストームキャット系でもある。
もうよく知られるように、ストームキャット系の変わらない特徴は、「快走するときはすごく強い」。だが、「負けるときはひどくもろい」。死角は否定できない。ベストの距離かどうかも関係するが、アサクサゲンキの前2戦の負け方、タイセイプライドの2走前、ダノンスマッシュの前回、ムスコローソの1600mの「12着、13着」など、負けるときはひどくもろいストームキャットの血そのものである。
危険を承知で、1400m【2-0-1-0】なら突っ込んでくるムスコローソ(父ヘニーヒューズ)を狙いたい。アジアエクスプレス、モーニン、ケイアイレオーネ、そして馬場改修中のため阪神の1200mで行われた11年のファルコンSを、猛然と突っ込んで勝ったヘニーハウンドなどの、強いときのイメージである。
東京のダート1300mの2歳新馬戦を、時計の速い日とはいえ良馬場で「1分17秒4」という驚異のレコード(古馬1600万級)でぶっちぎって勝った前出のミスターメロディは、ダート【2-2-0-0】であり、今回は初芝だが、十分すぎるほど怖い。
というのも、新馬で「1秒3」もちぎったリョーノテソーロ(4代父がストームキャット)は、1月27日の東京芝1400mの「クロッカスS」を勝って【3-1-0-0】となった。そのときの2着がここで人気のアンブロジオであり、脚を余して3着(上がりは勝ち馬と同じ34秒1)に突っ込んだのがムスコローソである。ダート巧者としても、芝の本馬場で2週連続して決して悪くない動きのミスターメロディを切る手はない。