父がヘニーヒューズに替わりダート向きか、フミノイマージンの半妹ラヴァル
≪3歳≫
●イーグルネスト(牡 美浦・奥村武 父Midnight Lute、母シルバーバレットムーン)
母シルバーバレットムーンは不出走だが、2代母Silverbulletdayは2歳時、3歳時と連続で牝馬チャンピオンとなったアメリカの名牝で、BCジュヴェナイルフィリーズ(米G1)、ケンタッキーオークス(米G1)など5つのG1を含めて重賞を13勝した。父Midnight LuteはブリーダーズCスプリント(米G1)の覇者で、父系はReal Quiet、Quiet Americanを経てFappianoにさかのぼる。種牡馬としてはさほど成功しているわけではないが、日本でマル外として走ったわずかな産駒から、ダート短距離でオープンクラスまで出世したワイドエクセレント(OP)が出ている。本馬はDeputy Minister 4×4があるのでダート向き。距離は万能だろう。
●サトノアルテミス(牝 美浦・堀宣行 父ワークフォース、母サトノフローラ)
母サトノフローラは2歳9月の新馬戦(芝1800m)を9馬身差で逃げ切り、クラシック候補と騒がれたが、脚部不安で半年間の休養に入り、春のクラシックには間に合わず。その年の夏、キャリア4戦で出走した関屋記念(GIII)で3着と健闘し、素質の高さを見せつけた。本馬はその初子。父ワークフォースは現役時代に英ダービー(G1)、凱旋門賞(仏G1)などを制した名馬で、産駒からまだ重賞勝ち馬は出ていない。芝・ダート兼用タイプで、ダート向きで最も出世しているハットラブ(OP)は「ワークフォース×アグネスタキオン」。本馬はそれと同じ組み合わせなのでダート向きに出る可能性がある。アグネスタキオンはアドマイヤオーラやディープスカイといったダート向きの種牡馬の父となり、母の父としてノンコノユメを出したように、このところダート向きの資質がクローズアップされている。距離はマイル前後が良さそう。
●ブライティアシルク(牝 美浦・小野次郎 父アドマイヤコジーン、母ブライティアターフ)
母ブライティアターフはシャイニーブラウン(11年新潟記念-GIII・7着)の全妹。父アドマイヤコジーンと母の父ステイゴールドはニックスといえる関係にあり、両者をひっくり返した「ステイゴールド×アドマイヤコジーン」の組み合わせからウインブライト(18年中山記念-GII、17年スプリングS-GII、17年福島記念-GIII)、ウインファビラス(15年阪神ジュベナイルフィリーズ-GI・2着)、ペルソナリテ(15年新潟2歳S-GIII・4着)が出ているほか、アドマイヤコジーンの代表産駒でスプリンターズS(GI)を勝ったスノードラゴンは、ステイゴールドと同じロイヤルサッシュ牝系なので配合構成が近い。芝向きのマイラー。
●モズジョーカー(牝 栗東・高柳大輔 父ロードカナロア、母ロージーミスト)
NHKマイルC(GI)、朝日杯FS(GI)を制したグランプリボス(父サクラバクシンオー)の半妹。ダート中距離で1000万クラスまで出世したアドマイヤキュート(父キングカメハメハ)の4分の3妹でもある。父ロードカナロアは初年度産駒からステルヴィオ(18年スプリングS-GII)、アーモンドアイ(18年シンザン記念-GIII)など多くの活躍馬を出し成功している。Secretariatのクロスを持つ同産駒は決して成功しているわけではないが、母方の奥にある異系色の強いアメリカ血統は悪くなく、4分の3姉アドマイヤキュートと違って芝でもやれそうだ。距離はマイル前後がいい。
●ラヴァル(牝 栗東・角田晃一 父ヘニーヒューズ、母シンコウイマージン)
札幌記念(GII)、愛知杯(GIII)、マーメイドS(GIII)、福島牝馬S(GIII)を制したフミノイマージン(父マンハッタンカフェ)の半妹。父ヘニーヒューズは馬力型のスピードを伝えるStorm Cat系種牡馬で、その母Meadow Flyerが持つEight Thirty≒War Relic 4×5を強化することが配合上の大きなポイント。アメリカ時代の代表産駒Beholderや、日本でGIを勝ったマル外のアジアエクスプレス、モーニン、日本で誕生したドンフォルティス、プロミストリープなどもこのパターンに当てはまる。母の父Dixieland Bandは、2代母Sand Buggyが上記の条件に合致する血なのでおもしろい。ダート向きのマイラー。