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ステルヴィオと13/16まで血統構成が同じベルクワイア

  • 2018年04月11日(水) 12時00分
≪2歳≫

●ヴィアロマーナ(牡 美浦・久保田貴士 父ロードカナロア、母ローマンエンプレス)
 母ローマンエンプレスは現役時代、重賞こそ勝てなかったものの、ヨークシャーオークス(英G1)3着、ブランドフォードS(愛G2)2着といった成績を残した。その3/4弟にインペリアルモナーク(12年パリ大賞-G1)、3/4兄にマウントアソス(英G3を2勝)、全兄にザグレートギャツビー(03年英ダービー-G1・2着)がいる良血。「Sadler's Wells×Slip Anchor×Reliance」という超がつくスタミナ血統なので、あまたいる種牡馬のなかから、現役時代にマイル以下のGIを6勝したロードカナロアに白羽の矢が立ったのだろう。同馬は、母方にNureyevを持つ産駒が大成功しており、桜花賞馬アーモンドアイをはじめ高確率で走る馬を出しているが、それと3/4同血のSadler's Wellsはこれまでのところめぼしい産駒は出していない。もちろん、初年度産駒のわずかなサンプルに限った話なので、これから変わってくる可能性は大いにある。芝向きの中距離馬で、2400mも守備範囲だろう。

●カウムディー(牝 美浦・小桧山悟 父エイシンフラッシュ、母チェインブラッド)
 母チェインブラッドは新馬戦(芝1200m)を勝った直後、調教中に左後肢を骨折し、復帰できぬまま引退した。3代母CalandraはプリティポリーS(愛G2)の勝ち馬で、その半妹にIntrepidity(93年英オークス-G1、93年サンタラリ賞-仏G1、93年ヴェルメイユ賞-仏G1)、愛米で重賞を3勝したAcushlaなどがいる。父エイシンフラッシュは現役時代に日本ダービー(GI)と天皇賞・秋(GI)を制した一流馬で、初年度産駒からエイムアンドエンド(18年共同通信杯-GIII・3着)、ウスベニノキミ(18年フラワーC-GIII・4着)、コスモイグナーツ(17年アイビーS-2歳OP)などを出している。本馬は父母ともにドイツ血統を抱えているが、このパターンからはすでにアーデルワイゼ(17年もみじS-2歳OP・2着)が出ている。本馬とアーデルワイゼはいずれも母方にSanta Lucianaとサンデーサイレンスを併せ持っている。芝中距離向き。

●グロリアーナ(牝 美浦・木村哲也 父ハーツクライ、母ベネンシアドール)
 デニムアンドルビー(父ディープインパクト/13年フローラS-GII、13年ローズS-GII)、キタノコマンドール(父ディープインパクト/18年すみれS-OP)の3/4妹で、JRAで[0-1-1-4]のラーゴブルーの全妹。トゥザヴィクトリー(01年エリザベス女王杯-GIなど重賞4勝)などを出したフェアリードール牝系に属しており、近い世代にキングカメハメハとサンデーサイレンスを併せ持つので、トゥザグローリー(重賞5勝)、トゥザワールド(14年弥生賞-GII)、トーセンビクトリー(17年中山牝馬S-GIII)のきょうだいと配合構成がよく似ている。「ハーツクライ×キングカメハメハ」の組み合わせは、まだサンプルが少ないこともあり、「ディープインパクト×キングカメハメハ」ほどの派手な成功を収めているわけではないが、連対率ベースで見るとハーツクライ産駒全体の成績を上回っている。芝中距離向きで成長力も十分。

●ディキシーナイト(牡 美浦・国枝栄 父ダイワメジャー、母カメリアローズ)
 全兄ダローネガは重賞勝ちの経験こそないものの、デイリー杯2歳S(GII)2着、小倉大賞典(GIII)と中京記念(GIII)で3着となるなど、重賞で再三好走している。母の父ホワイトマズルはダンシングブレーヴの代表産駒の1頭で、ダンシングブレーヴの母の父はDrone。母方にDroneまたはその相似な血であるSir Ivorを持つダイワメジャー産駒からは、カレンブラックヒル、ダイワマッジョーレ、トーセンベニザクラ、アストラエンブレムをはじめ多くの活躍馬が出ている。全兄ダローネガと同じく芝1600〜1800mで堅実に稼ぎそうだ。

●ベルクワイア(牝 美浦・国枝栄 父ロードカナロア、母スカーレットベル)
 ダノンリバティ(父キングカメハメハ/16年関屋記念-GIII・2着、15年シリウスS-GIII・2着、15年レパードS-GIII・2着)の3/4妹、フォンターナリーリ(父クロフネ/準OP)とガムラン(父シンボリクリスエス/10年全日本2歳優駿-JpnI・4着)の半妹にあたる。母スカーレットベルはダート中距離で5勝を挙げた活躍馬で、ヴァーミリアン(ダートGI・JpnIを9勝)、サカラート(ダート重賞4勝)、キングスエンブレム(10年シリウスS-GIII)、ソリタリーキング(ダート重賞3勝)を兄弟に持つ良血だけあって繁殖牝馬としても成功した。本馬は「ロードカナロア×エリシオ×サンデーサイレンス」で、父の代表産駒の1頭ステルヴィオ(18年スプリングS-GII)は「ロードカナロア×ファルブラヴ×サンデーサイレンス」。それぞれの母の父エリシオとファルブラヴは、いずれも「Fairy King×Slewpy」という組み合わせなので、本馬とステルヴィオは血統構成の13/16まで同じ。ロードカナロアは芝向きの柔らかさを特長とするため、母は多少硬めのほうが芯が入って大物感が増す。本馬はそのパターンなのでおもしろい。芝向きのマイラー。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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