▲矢野騎手の意外なセールスポイントが明らかに!(撮影:高橋正和)
『俺たちTCKジョッキーズ』と題した隔月連載。トップバッターは昨年、初めて南関東リーディングに輝いた矢野貴之騎手(33歳)。全3回にわたったインタビューもいよいよ最終回です。これまでのインタビューで「南関東での飛躍のきっかけは結婚」と話していた矢野騎手。ところが2年前、奥様からのある言葉がきっかけでレースでド緊張したことがあったと言います。そのリベンジや、今後の飛躍、さらには群馬出身の矢野騎手が語るTCKの魅力とは。(構成:大恵陽子)
リーディングは御神本さんだと思っていた
――移籍年は5勝からスタートしましたが、2014年には98勝。前年から57勝の上積みでした。当時のことは覚えていますか?
矢野 1つでも多く乗ろうとしたし、1コでも多く勝とうとしてたから、記憶がないです。攻め馬で落ちて背骨を折って入院したことがあったけど、次の開催にはレースに乗りました。そのくらい「今は休んでらんねー」と思って。めちゃめちゃ痛かったけど、痛み止めを飲んでごまかしながら乗りました。骨折の痛さよりも休むことの方がイタいな、と。「ここで今抜けたら、また流れ変わっちゃうよ」って危機感がありました。
――2013年には戸崎圭太騎手がJRAに移籍、2015年には御神本訓史騎手が騎手免許失効など上位騎手に出入りがありました。それによる影響はいかがでしたか?
矢野 御神本さんがいなくなったとか、(戸崎)圭太さんが中央に行ったとかは「俺には関係ないことだ」って思っていました。圭太さんが中央に行った時に年間350勝分くらいが南関東で浮くわけじゃないですか。それをみんな必死で取りに行ってたんですよね。俺は「御神本さんがたぶん次リーディングなるのかなー」って思ってて、その御神本さんが断った馬が俺に回ってきて「乗り馬増えるわ、よっしゃー!」みたいな。そんな感じです。この時も去年もそうですけど、リーディングを獲ろうと思ったことは全然ないです。とにかくがんばっていれば結果も出てくるだろうって。
――昨年、南関リーディングに輝いて周囲からの反応などに変化はありましたか?
矢野 特に変わんないと思います。俺が上手くなったわけじゃなくて、(森)泰斗さんの怪我だったり、前半は御神本さんもいなかったり(※御神本騎手は2017年度に騎手免許を再取得、8月より騎乗再開)。そんなんで押し出されたので、ぶっちゃけ誰にでもリーディングになるチャンスはあったと思います。でも、そこで獲れたのは自信にはなりました。
▲「誰にでもリーディングになるチャンスがあった中で獲れたのは自信になりました」(撮影:榎本良平)
――矢野騎手は騎乗数が他の騎手と比べても多いように感じますが、そこはご本人も意識されていますか?
矢野 1つでも多く乗ろうっていう思いから始まっているので、基本的には依頼があれば乗ります。そのスタンスは崩したくないですね。誰よりも多く乗ろうって言うよりも、騎乗依頼を多くいただきたいと思っています。
――スーパージョッキーズトライアル2016(JRA札幌競馬場で行われるワールドオールスタージョッキーズに出場する地方代表騎手選定レース)では好成績で、JRAの舞台まであと一歩でしたね。
矢野 軽い感じで行ったら第1ラウンド盛岡を1位通過。翌月に行われる第2ラウンド名古屋までの間、ガッチガチでした。嫁の実家が札幌競馬場の脇で、嫁が「これ、札幌に行けたら嬉しいね」って言うんですよ。そんなん聞いたらこっちは力入りますよね(笑)。あの年で一番緊張しました。下手くそに乗ったし、総合3位でもったいないことをしましたね。あれは自分の責任もあります。札幌に行きたい思いはもちろんありますよ。こればっかりはSJTの騎乗馬のクジ運もあるし、まずはSJTに出場(原則として南関東4位以内が条件)できるようにこっちで成績出していないと呼ばれもしないんで、とりあえずは目の前のレースを勝つことですね。
――ぜひ世界の名手と戦う姿を見たいです。さて、競馬ファンのみなさんに「俺のここを見てほしい!」というポイントを教えてください。
矢野 毎回、これ言うんですけど…、「俺に芝乗せたら上手いよ!」(笑)。
▲「毎回、これ言うんですけど…、俺に芝乗せたら上手いよ!(笑)」
――なぜ芝なんですか?(笑)。あ、そういえば、地方競馬で唯一芝レースが行われる盛岡芝コースの成績が良かったような印象があります。
矢野 あんまり乗る機会がないので、たまたまかもしれないですけどね。まぁ、大井競馬場に芝がないから言えるんだけど(笑)。ただ、あたりの柔らかさは自分のセールスポイントだと思うし、関節を柔らかく乗ろうとは考えています。
――最後に、矢野騎手から見たTCKの魅力を教えてください。
矢野 俺、ホント田舎から出てきたんですけど、デカイこのコースにナイター競馬じゃないですか。田舎に住んでいる人たちはこんなとこがあるなんて思っていないし、一歩足を踏み入れると別世界なのが大井競馬最大の魅力だと思っています。この都会で違う空間ってのが魅力ですよね。初めて大井競馬場で騎乗したのは高崎時代に遠征で来た時でしたが、返し馬から人も見ているし、ナイターで照らされるとこっちも平常心でいられないって言うか、最初は緊張しましたね。お客さんもそうなんじゃないかなって。ぜひTCKに遊びに来てください。
▲「一歩足を踏み入れると別世界。ぜひTCKに遊びに来てください」
(了)
※次回掲載は6月中旬予定です
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▲パドック東側に設置される『TWINくるくるファンタジー』
▲ウマイルスクエアに設置される『ウマイルミスクリーン』
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