▲小西厩舎&田辺騎手、師弟コンビで初のGI獲りに挑むテトラドラクマ
2002年のデビュー時から2016年まで14年間所属してきた小西一男厩舎の管理馬・テトラドラクマ(牝3)で、田辺裕信騎手がNHKマイルC(GI・東京芝1600m)に臨む。
師弟コンビでGIに挑戦するのは今回が初ということもあり、また小西厩舎にとってもGI初制覇がかかっている。それだけに調教師、騎手、厩舎スタッフなど関係者にとっても、この一戦には特別な思いがあるのではないだろうか。小西調教師、田辺騎手、テトラドラクマ担当の黒川麻央厩務員に話を聞いた。
(取材・文・写真:佐々木祥恵)
田辺騎手「2人だけの時間が思い出に残っています」
デビューは昨年7月の福島の新馬戦芝1200mだった。「調教の動きも良くて期待していました」と小西師が言うように、デビュー前から評価が高く、1番人気に推されていた。だがスタートで出遅れ、上位集団から離された位置で4コーナーを回り、競馬に参加できないまま9着に終わった。「気性的にもまだ子供っぽかったですね」と師は当時を振り返る。初戦を終えたテトラドラクマは、成長を促すために放牧に出された。
2戦目は10月の東京芝1600mの未勝利戦。「初戦があの結果だったので人気はなかったですけど、相変わらず調教で動いていましたからね」と師もある程度手応えを感じていたように、新馬戦とは打って変わってスタートも互角に出て、4番手の好位を進んだ。手応え十分で4コーナーを回り、直線半ばあたりから、プリモシーンが外から脚を伸ばして一騎打ちとなり、惜しくもクビ差の2着と敗れた。
「初戦の1200mより1600mの方がレースがしやすかったですし、少し負けてしまいましたけど、内容も良くて勝ちに等しい競馬だったと思います」。この時大接戦となったプリモシーンとは、フェアリーS、そして今回のNHKマイルCと、その後も戦うことになる。
待望の初勝利は、11月の東京の芝1600mの未勝利戦。「この前も3着以下を離していましたし、順当勝ちでした」。デビュー戦では出遅れていたテトラドラクマだが、気性的にも成長して好位からの競馬ができるようになっていた。これまでの取材でも「スピードがある」と師はコメントしてきたが、スッと好位につけて流れに乗ってレースを進められるのは、持ち前のスピードがあるからにほかならない。
続く4戦目に選択したのが、年明け1月の中山のフェアリーS。ここで再び1番人気に推されたテトラドラクマだが、結果は6着。「中山の芝1600で不利と言われる大外枠が当たってしまいましたから」
その上スタートで立ち遅れ、1コーナーでは他馬にもぶつけられて力むシーンも見受けられた。直線でもジリジリとしか脚を使えず、全くリズムに乗れずレースを終えた。ちなみに勝ったのは、未勝利戦でデッドヒートを演じたプリモシーンだった。
2月の東京のクイーンC(GIII)では、これまでタイミングが合わなくて同馬への騎乗が叶わなかった田辺騎手が、初めてテトラドラクマの手綱を取った。
「体重的には減っていましたが、心身ともに徐々に成長はしているなと思っていました」
好スタートを決めた同馬は、ハナを切る形でレースを進めた。「東京の1600にしては相当なハイペースで逃げて、そのまま押し切るという強い内容でした」と師もこの勝利を高く評価している。
▲テトラドラクマが制したクイーンCは、師弟コンビで初めての重賞タイトルに(撮影:下野雄規、(C)netkeiba.com)
一方、田辺騎手は