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ジャスティファイの二冠制覇なるか?プリークネスS展望

  • 2018年05月09日(水) 12時00分


◆アメリカンフェイローに続く三冠達成の期待も

 5日にチャーチルダウンズで行われたG1ケンタッキーダービー(d10F)で、1882年のアポロ以来136年振りとなる、2歳未出走馬による優勝という歴史的快挙を成し遂げたジャスティファイ(牡3、父スキャットダディ)は、レース後も変わりのない姿を見せているようだ。

 前夜来の雨で泥田と化した馬場が舞台となり、心身ともにとことん疲弊しておかしくはない消耗戦となった今年のケンタッキーダービーだったが、当日夜の飼い葉も残すことなくたいらげ、翌朝も活力に漲っていたという。左後肢の繋に、皮膚が”かぶれた”状態になった部分があることが、唯一、激闘の痕を物語るもので、これも数日で消えてなくなると見られている。

 2月18日のデビューからわずか2カ月半で世代の頂点に立った同馬は、拠点のカリフォルニアには戻らず、このままチャーチルダウンズに滞在して調整を続ける予定だ。8日(火曜日)までは軽い運動にとどめ、9日(水曜日)から馬場での調教を再開し、来週のしかるべき日に、2冠目の舞台となるメリーランド州のピムリコ競馬場に移動することになる模様だ。

 管理するボブ・バファート師は、自身が手掛けた2015年のアメリカンフェイローに続く3冠達成への見通しについて、「今はまだ、そこまで考えてはいない。決まっているのは、馬に問題がなければ、次走がプリークネスS(d9.5F、5月19日)になることまでだ」とコメントしている。例年のごとく、少数精鋭による争いとなりそうなのが、そのプリークネスSである。

 ケンタッキーダービー出走組では、2着に入った昨年の全米2歳チャンピオン・グッドマジック(牡3、父カーリン)にも、プリークネスS出走の可能性がある。

 同馬は、ダービー2日後の7日(月曜日)に本拠地のニューヨーク州ベルモントパークに戻ったが、ベルモントパークを舞台とした3冠最終戦のG1ベルモントS(d12F)に関しては「距離不向き。出走しない」と管理するチャド・ブラウン調教師が表明。同馬の父カーリンが、ケンタッキーダービーで3着に敗れた後、プリークネスSを制している例を挙げて、「中1週になるが、プリークネスSには出走の可能性がある。最終的な判断は馬主がすることになる」とコメントしている。

 この他、フェアグラウンズのG2リズンスターS(d8.5F)勝ち馬で、ケンタッキーダービーは6着だったブラヴァゾ(牡3、父オウサムアゲイン)、フェアグラウンズのG2ルイジアナダービー(d9F)2着馬で、ケンタッキーダービーは8着だったローンセイラー(牡3、父マジェスティックウォリアー)も、プリークネスSに駒を進める可能性がありそうだ。

 別路線組の代表格となりそうなのが、ジャスティファイの共同馬主に名を連ねるウィンスターファームの自家生産馬クイップ(牡3、父ディストーテッドヒューモア)だ。

 ロドルフ・ブリセット厩舎から昨年9月にデビューした同馬は、チャーチルダウンズのメイドン(d6F)、キーンランドの一般戦(d8.5F)を連勝した後、重賞初挑戦となったチャーチルダウンズのG2ケンタッキージョッキークラブS(d8.5F)こそ7着に敗れたが、年明け初戦となったタンパベイダウンズのG2タンパベイダービー(d8.5F)を制して重賞初制覇。前走G1アーカンソーダービー(d9F)でマグナムムーンの2着になった後、ケンタッキーダービーをスキップしてプリークネスSに駒を進めてくる。

 ジョン・サーヴィス厩舎のダイアモンドキング(牡3、父クオリティロード)も、プリークネスSに参戦してくる。

 ファシグティプトン・ミッドランティック2歳トレーニングセールにて23万5千ドルで購買された同馬は、昨年9月にデビュー。パークス競馬場でメイドン(d5.5F)と一般戦(d6.5F)を連勝した後、重賞初挑戦となったG2ケンタッキージョッキークラブS(d8.5F)は14着に大敗したが、続くローレルパークの特別ヘフトS(d7F)で特別初制覇を果たして2歳シーズンを終了。今季初戦となったガルフストリームパークのG3スウェイルS(d7F)3着後、4月21日にローレルパークで行われたプリークネスSへ向けた前哨戦フェデリコテシオS(d9F)に駒を進め、ここで4勝目を挙げている。

 別路線組のもう1頭が、ウェイン・ルーカス厩舎のスポーティングチャンス(牡3、父ティズナウ)だ。

 昨年7月にサラトガのメイドン(d5.5F)を制しデビュー2戦目で初勝利を挙げた後、いきなりG1ホープフルS(d7F)に挑み、ここを勝ってG1制覇を果たしたのがスポーティングチャンスだ。その後、膝の剥離骨折を発症して戦線を離れ、今年2月に復帰。G3サウスウェストS(d8.5F)3着、G2レベルS(d8.5F)5着、G2ブルーグラスS(d9F)4着(3位入線降着)、G3パットデイマイル(d8F)4着と、勝てないものの堅実な競馬を続けている。

 更に、デビューから2連勝を飾った後、重賞初挑戦となった前走G1アーカンソーダービー(d9F)は5着だったテンフォールド(牡3、父カーリン)も、管理するS・アスムッセン師が7日、プリークネスS出走の可能性に言及している。

 プリークネスSまであと10日余り、ジャスティファイをはじめとした各馬の動向を注視したい。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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