8日、大井「東京ダービー」。シーチャリオットが完璧な勝ちっぷりでさらに夢を広げてみせた。インからトウケイファイヤーが押し出されるようにハナを切り、1000m通過63.0秒の超スロー。チャリオットはその5番手でスムーズに折り合った。3〜4コーナー、一瞬前が壁になりフワっとするシーンがあったが、直線外へ持ち出してからはイメージ通り独壇場。一歩、早めに動いたメイプルエイトに4馬身差。2000m・2分05秒3、上がり37.2秒(推定)とも、まずは文句なしの記録といえる。
「今日はだいぶ砂をかぶった。いい経験になったでしょう。道中フッと気を抜くのはいつものこと。こういう「遊び」があるから、かえって最後踏ん張れる」(内田博騎手)。
「自信が確信に変わる」とはこういうことか。余裕の笑み。現時点で、もはや課題なしをアピールした。
東京ダービー(サラ3歳 定量 南関東G1 2000m良)
◎(1)シーチャリオット (56内田博) 2分05秒3
○(2)メイプルエイト (56張田) 4
▲(3)マズルブラスト (56今野) 1.1/2
(4)ボンネビルレコード (56的場文) 首
(5)ブラウンコマンダー (56左海) 首
…………………
△(8)トウケイファイヤー (56有年)
△(9)サウンドイモン (56坂井)
△(11)キョウエイペガサス (56山田信)
単100円 馬複350円 馬単380円
3連複280円 3連単700円
レース前、1800→2000mの距離について訊かれた川島正行調教師。父シーキングザゴールドのイメージから懸念する向きもないではなかった。「1ハロンの延長?羽田盃を見る限り、相手はバテるしこちらは伸びる」。結果その通りだった。デビュー時から二回りほども増えた堂々たる502キロ。カイバを食い込み、ハードトレを重ね、まさしく川島師の青写真通り成長している。精神面でも2歳時とは別馬のように強化された。
「強い馬と競馬をすれば、こちらもまだまだ可能性が引き出せる」。7月13日「ジャパンダートダービー」へ向け「準決勝」は上々のデキ映えだった。カネヒキリ以下との対決。勝負の行方はともかく、最高のレースが期待できる。
メイプルエイトはトウケイファイヤーを壁にして理想的な運びだった。日本ダービーのインティライミによく似た敗戦。同世代の不運としかいいようがない。それでも自身、統一Gレベルの地力、パワーはあるだろう。カコイーシーズ産駒らしく粘っこいレースぶり。おそらく中〜長距離の適性が高い。
逆にマズルブラストは手応えのわりに追って伸びず、現時点でマイラーの印象が浮かぶ。大井所属で最先着を果たしたボンネビルレコードだが、インをソツなく乗ってこの結果。逃げて失速トウケイファイヤーともども、成長力がいま一歩か。むしろ道中最後方から5着を拾ったブラウンコマンダーに、個性派然とした魅力を感じる。こちらは7月3日「ラジオたんぱ賞(福島・芝1800m)」挑戦のプランがあると聞いた。
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関東オークス(6月15日川崎 サラ3歳牝馬 定量 統一GIII 2100m)
◎シールビーバック (54松永幹)
○ミライ (54金子)
▲ライラプス (54武豊)
△テンセイフジ (54石崎駿)
△コスモマーベラス (54内田博)
△クリストサファイア (54今野)
△セブンチャンピオン (54佐藤隆)
ヨウヨウ (54張田)
エイシンサンバレー (54安藤勝)
ライラプス、コスモマーベラス、JRA2強はダート自体が初経験。何とも微妙なムードになった。関東オークス史上、この参戦パターンは例がなく、例えば優勝馬プリエミネンス、サクラヴィクトリアなど、その時点で芝、ダート、双方にそれなりの実績を残していた。ライラプス、コスモマーベラス、ともにビュッと切れる瞬発力型とイメージする。動けないシーンがあっても不思議ではない。
シールビーバックを狙った。デビュー4戦目からダート路線に活路を求め、未勝利→500万を力強い末脚で突破している。昨年のトーセンジョウオーと酷似したステップで、単に時計の比較からはそれ以上の評価が可能だ。血統背景(父フジキセキ)に勢いがあること、鞍上・松永幹が川崎コースに縁があること(レギュラーメンバー、カネツフルーヴなど)。左回りベター、長丁場もいいだろう。
桜花賞を10番人気で勝ったミライだが、現実に1600m・1分39秒5はレースレコード。JRA勢がすべて差しタイプだけに、案外楽な一人旅も考えられる。大井プリンセス賞をまくりで制したテンセイフジは馬体減りがないことが条件。時計の掛かる良馬場でクリストサファイア、セブンチャンピオンが穴か。