いよいよ今週末に迫る第85回日本ダービー。21頭の駿馬が特別登録に名を連ね、選ばれし18頭が夢の舞台へと上がります。過去の対戦成績や血統、1週前調教など、予想に重要なファクターは通常の出走表をご覧いただくとして、ここでは「ゆる〜い出馬表」と題し、ニックネームや仲良しの馬、個性的な癖など、一流馬の知られざる一面に迫ります。ますますファンになってしまうこと間違いなし!?
(取材=美浦・佐々木祥恵、栗東・大恵陽子)
1枠1番 ダノンプレミアム(牡3)
(中内田充正調教師)
真面目で、顔は男前なんですが…馬房ではヤンチャです。厩務員を友達としか思っていないです(笑)。遊び相手ってね。担当の吉波厩務員は元々、私(中内田師)の実家・信楽牧場で働いていて、うちの厩舎で一番のベテランなんですけどね。私はダノンプレミアムのことを「プレミアム」って呼んでいます、ビールみたいに(笑)。
1枠2番 タイムフライヤー(牡3)
(松田国英調教師)
ダート血統ですが、馬にまだ緩さがあるので芝の方がいいだろうと思っているんです。緩さがあっても、うまく磨けばスピードが出やすかったりするんですよね。皐月賞の頃と違ってこの頃はカイバもきちんと食べてくれますよ。
2枠3番 テーオーエナジー(牡3)
(宮翔希調教助手)
カイバ桶をガチャガチャ振り回す癖があって、朝、厩舎に来たらカイバ桶が床に落ちていたことがあってビックリしました(笑)! それからはカイバ桶が落ちないように馬栓棒に固定しています。ジャレ方が荒いというか、強い力でジャレてくるので生傷もありましたけど、重賞を勝ってくれた今では勲章かな。
2枠4番 アドマイヤアルバ(牡3)
(須貝尚介調教師)
甘えん坊だね。いつもこうやって顔をすり寄せてくるので撫でたり、一緒に遊んでいるんです。アドマイヤアルバの鼻先に掌を当てると押し返してくるから、「どっちが強いか!?」って2人で相撲をしています(笑)。
3枠5番 キタノコマンドール(牡3)
(池江泰寿調教師)
品が良くて、しっかり者で、人間で言うと生徒会長みたいな感じでしょうか。物怖じせず、風格があります。これだけどっしりして物怖じしない馬って、最近ではサトノダイヤモンドやトーセンジョーダンくらい。なかなかいませんね。ビートたけしさんが名付け親なので、面白い性格や癖を持っているのかな?とイメージされるかもしれませんが、性格は正反対ですよ。
3枠6番 ゴーフォザサミット(牡3)
(松本雄志調教助手)
●ニックネーム
サミットです。(単純に名前の下の部分を?)そうです、長いので(笑)。
●餌の好き嫌い
人参は好きですね。馬なら当たり前ですけど。
●仲良しの馬
いやあ、いないですね。(馬添いは良い?)良いですね。だからどの馬とでも大丈夫なので、これといってパートナーがいるというわけではないです。性格は結構優しい方なんです。
●癖
よく寝ています。昼も結構寝てます。朝来ても寝ています。青葉賞からは間隔が短いですし、よく寝て運動して、気持ちがゆったりしていますね。朝2頭目の調教が終わって厩舎に僕が戻ってきたら、たまに寝てたりもしますよ。僕が帰る時にも寝ていたりします。そんな時は、あ、寝てるなと思って帰ります。結構深く、ぐっすり寝てますからね。よく寝てくれて嬉しいですよね。
●特徴
目付きが鋭いですね。(どちらの目が三白眼?)右です。でも左も若干あります。
●エピソード
(サトノアレスも担当ですよね?性格の違いはありますか?)全然違いますね。サトノアレスの方がヤンチャで、元気が取柄なので。でもアレスも優しいんですよ。でも元気が溢れちゃっているんです。
4枠7番 コズミックフォース(牡3)
(藤井寿雄調教助手)
●ニックネーム
コズミックです。
●好きな餌
好きな餌ですか…。青草は好きですね。
●仲良し馬
そういうのは特にないですね。結構カッとなる時もあるので。あまり他の馬には近寄らないように…。(なるべく1頭の方が?)そうですね。調教に行ってしまえば大丈夫ですけど、(厩舎周りの)運動の時とかにいきなり暴れたりする時もありますので。大人しい時は大人しいですけど、急にテンションが上がる時がありますね。
●癖や特徴
水を口に含んで飼い葉桶の方に行って、飼い葉に混ぜて食べるんです。だから馬房の前が汚いじゃないですか。(←水が馬房の向かって左側にあり、飼い葉桶は右の方にあります。水を垂らしながら飼い葉桶の方に移動するので、馬房前が水で汚れています)水で遊んでる感じですね。飼い葉食いは良い方です。
●エピソード
2歳で厩舎に来た時はまだ頼りなくて、坂路も全然進んで行かない感じでした。ゲート試験に合格して1度放牧に出したのですけど、戻ってきた時には坂路もしっかり上れるようになっていました。(初めは頼りなかったその馬が、プリンシパルSでダービー切符を掴んだそのお気持ちは?)嬉しかったですね。初めてのダービーですし。ダービーまで間隔が短いので勝っても反動がどうなのかなというのがありましたが、レース後は少し休ませて、今は前走を使う前より良い感じになっています。
4枠8番 ブラストワンピース(牡3)
(八木大介調教助手)
●ニックネーム
ブラストです。厩舎の従業員も皆ブラストと呼んでいます。
●餌で好き嫌い
何でも食べますね。ウチの厩舎は人参をあげたりはしていないんですけど、あげた餌は何でも食べますし、食欲も旺盛です。
●仲良しの馬
元々、大人しいんですよね。それこそ新馬で入って来た時から、先頭を歩けちゃうくらいでした。そのくらい大人しいですし、馬っ気もそんなに強いわけでもなさそうです。なので、どの馬とも大丈夫という感じですね。
●癖
正直、癖という癖はないんですよね。馬房にいる時は自分が強いみたいなところを出してくるんですけど、1歩外に出るととても人間に従順です。外と馬房の中を比べると、近寄って行った時なんかは中の方がオラオラ系になっていますね。
●その他の特徴
(気性は前向き?)そうですね。スタートする時やキャンターにおろす直前だけ走りたい、走りたいというのを出すのですけど、いざ走り出したら折り合いがしっかりつきますし、人間の手の内に入ってくるようなところがあるので、外でも扱いやすいですし、乗っていても困るところもなくて、とてもありがたいですね。
●エピソード
馬とのエピソードではなくて個人的なことなんですけど、去年の11月の終わりに子供が生まれたんです。そのタイミングでこの馬を担当しました。それまでは自分は成績があまり芳しくなかったのですが、ブラストと出会えましたし、この間も違う馬(キャナルストリート)で勝つことができました。子供が生まれて、ブラストも走ってくれて、すごく良い風が吹いている感じがします。
5枠9番 オウケンムーン(牡3)
(中村雄貴調教助手)
●ニックネーム
チムケンです。(チムケンですか?)はい。ウチの厩舎に田村という人がいるんですよ。その人がオウケンスターダムという馬を担当していたんです。田村がオウケンを担当しているというので、チムケンになりました。(?? なぜ田村さんがチムケンになるんですか?)田村をチムラさんと呼んでいたので、それでチムケン、チムケンと呼んでいて…。(ややこしいですね?)その流れで、オウケンさんの馬はチムケンと呼んでいます。
●餌の好き嫌い
何でも食べます。青草が好きですね。青草出すとかぶりついてきます。
●仲良しの馬
どの馬とも仲良くやりますよ。(牝馬が好きとかそういうのは?)別に牝馬を見ても鳴かないですね。
●癖
癖は顔を曲げて走っているくらいですかね。追い切りに行ったりすると真っすぐになるのですけど、角馬場などで遅いキャンターの時は右側に顔を曲げて走っています。乗っていて上から見ていると笑っちゃいますよ。
●その他の特徴
人が好きで、よく構って構ってとやってきます。(どんな風に?)ボロを拾う時に後ろをついて回ります。(甘噛みされたりは?)しそうになりますけど、あまり人間がなめられると乗っかかられちゃうので、ダメッて言います。
●エピソード
新馬の頃に比べると生意気になりましたね(笑)。昔はどこ触っても怒らなかったんですけど、最近は我が出てきて、お腹触ったりするとちょっと噛みついてきますね。でも思いっ切りじゃないですよ。そこがまた良いヤツなんですよ。(皐月賞は残念でしたけど?)巻き返しますよ。大丈夫でしょう、彼ならやってくれますよ!(レースの時は顔を曲げないで走りますよね?)はい!
5枠10番 ステイフーリッシュ(牡3)
(藤田俊介調教助手)
この馬は“天然系のスーパーホース”。天然系って言ってもポワンとしているのではなくて、生まれ持った身体能力がすごいっていう意味です。アフリカの人がマラソン走るのがすごく速い、みたいな。昔で言う「西の秘密兵器」みたいな感じかな。パドックでは馬だけ張り切っていて、俺たちは引っ張っていかれそうになるんです。ちょっと大げさなイメージで言うと、「みどりのマキバオー」のベアナックル(笑)。でも、ベアナックルと違うのはこの馬は気が小さいタイプ。だから、普段から「かわいい、かわいい」ってしてあげるようにしているんです。
6枠11番 ジャンダルム(牡3)
(池江泰寿調教師)
お坊ちゃんですね。品が良くて、育ちがいいなぁという感じです。でも、真面目というよりはちょっとテンションが高くてヤンチャな面もあります。馬房を汚すこともなく、顔つきも良血馬って感じですね。
6枠12番 エポカドーロ(牡3)
(久保敏也調教助手)
やんちゃ坊主ですね。人が見えたらじゃれてきたりして、そういったところは他の2、3歳馬と一緒です。オルフェーヴル産駒特有の繊細さがあるな、と感じることもあって、遊んでいても周りに何かないかアンテナを張りめぐらせながら遊んでいる感じがします。だから、カラスが出てきたらバタバタッと驚いたり。でも、それが本番で集中力に変わるんでしょうね。競馬に行くとモードが変わって集中するんですよ。オン・オフの切り替えが上手です。
7枠13番 グレイル(牡3)
(川副秀明調教助手)
癖ねぇ…ないです。大人しくて扱いやすい馬なんですよ。調教前に馬装している時もジーっと大人しくしています。走る馬はヤンチャが多いとも言いますが、この馬はホント手がかかりませんね。
7枠14番 エタリオウ(牡3)
(友道康夫調教師)
ステイゴールド産駒でセリで買ったんですが、その時からヤンチャで落札後の写真撮影もなかなかじっとできませんでした。今でも落ち着きがないところがありますが、まだ真剣に走っていない分、楽しみが大きいですよね。
7枠15番 ステルヴィオ(牡3)
(土田祐也調教助手)
●ニックネーム
特にないです。ステルヴィオと名前で呼んでみたり。言いづらいといえば言いづらいんですけど(笑)。でも名前で呼ぶこともそんなにないんですけどね。(何となく阿吽の呼吸みたいな?)そうですね(笑)。
●餌で好き嫌い
最初は厩舎でメインに与えている配合飼料が嫌いなのか慣れていないせいなのか、食べづらそうにしていましたけど、最近はそれも食べるようになってきて、そのあたりは偉いなと思います。体もしっかりしてきて、以前より食べる量も増えてきています。
●仲良しの馬
それは僕にはよくわからないです。外に出ると、他の馬と並んだりすると結構怒ります。それもこの馬の良いところだと思いますけどね。(1頭でいる方が好き?)そうでもないです。皆と一緒にいるのは全然大丈夫です。よその厩舎の馬を抜いたりする時に、そういう傾向が強いですね。
●癖
馬房では比較的大人しく過ごしていて、いつも同じ場所にいることが多いです。(それはどこに?)馬房の向かって右奥ですね。こちらを向いて立っていて、ほとんどそこにいます。
●その他の特徴
うーん、全部が特徴なので…。(人懐っこいですか?)そんなに人が嫌いという馬ではないですね。(土田さんが来た時に鳴いて呼ぶとか?)鳴くのは、ほしいものを持っていった時です(笑)。
●エピソード
これまではレースが終わっても元気が余っている感じだったのですが、皐月賞は一番息が上がっていましたし、馬は頑張って走ってくれたのではないかなと思います。
8枠16番 ジェネラーレウーノ(牡3)
(土屋一久厩務員)
●ニックネーム
ウーノです。
●餌の好き嫌い
飼い葉は良く食べるね。好き嫌いなく食べます。人参も食べるけど、大好きというわけではなく普通に食べます。初めは食べなかったけどね。
●仲良しの馬
特にいないかな。でも女馬見ると、ブヒブヒ言ってるよ。(好みはありますか?)黒い馬が好きかな(笑)。(どこの厩舎の馬でも?)そうだね。
●癖
噛みつきに来るよ。放してみようか?(いえいえ、遠慮します。甘噛みではなく本気噛みですか?)本気です。(1番やられたのは?)腕かな?(毎日噛みつかれます?)いやいや、注意しているもん。
●その他の特徴
(性格は?)普段は大人しいですよ。でもテンションが上がると怪獣みたいになります。(人懐っこいタイプ?)ここ(馬房)にいればね。(土屋さんが来るとわかって鳴いたりします?)しますね。バイク降りて厩舎の扉あけた瞬間ですね。何か食べ物くれると思っているんじゃないかな。
8枠17番 ワグネリアン(牡3)
(友道康夫調教師)
真面目で特に癖はないですが、走り方が独特のフォームですね。坂路を駆け上がってくるのを正面から見られる場所にいつもいるのですが、その角度から見ると改めてそう感じますね。でもこれだけの結果を残していますし、初めて見た頃からこういうフォームで歩いていたので、この馬にとってはいいんでしょう。
8枠18番 サンリヴァル(牡3)
(犬山純也調教助手)
この馬のことは「お兄ちゃん」って呼んでいます。兄弟って意味のお兄ちゃんではなくて、「ちょっとそこの兄ちゃん!」みたいな意味の「お兄ちゃん」。馬房掃除をする時とか「お兄ちゃん、ちょっとどいてくれるかな?」って。乗り運動とかでは先頭に立つのが嫌で、他馬についていくタイプです。前に馬がいたら安心するんでしょうね。自分が先頭になっちゃったら、わざわざ止まって、誰かの後ろに回ろうとするんですよ。
アイトーン(牡3)
(川口良平調教助手)
馬っ気が強いんですが、反応する相手が…男馬(苦笑)。牧場帰りの独特の匂いのついた馬とか、ボロついている牡馬とかにブーブー言うんです。2歳で入厩した頃、当時は別の担当者だったのですがその時からのようです。でも、今はそこまで馬っ気を出さなくなったし、乗っている方も気を付けていれば大丈夫ですよ。いつもレースでは二枚腰を使ってくれて、こちらが思っている以上の走りを見せてくれるので日本ダービーに出走したいんですけどねぇ…。
ケイティクレバー(牡3)
(安田翔伍調教師)
人間のことが好きで、じゃれてきたりします。調教でもお利口ですね。気持ちも体も一杯いっぱいになるくらいまでがんばってくれている馬です。
リョーノテソーロ(牡3)
(武井亮調教師)
おっとりしていて可愛らしいですね。トレーニングセール出身の馬はカリカリしてエキサイトしやすい傾向にあるのですが、この馬は扱いやすくて可愛いですね。普段の振る舞いは短距離系の感じでは全くないですね。普段は厩舎のスタッフはリョーノテと呼んでいます。リョーノという人もいますけど、僕もリョーノテですね。(リョーノテソーロは先生の亮という名前からですよね?)そうですね(笑)。
僕が選んで買ってきた馬なのですが、オーナーが気に入ってくれたようなので良かったです。特に仲の良い馬はいないですけど、落ち着いていてドッシリしているので2歳の誘導にピッタリなんですよね。落ち着いている馬の後ろだと2歳もすごい安心して歩けるんです。お兄ちゃんタイプではないですけど、ドッシリとした末っ子タイプですね(笑)。飼い葉は何でもよく食べますよ。おっとりしていて普段ボーっとしているんですけど、餌食べている時だけはこちらに対して、自分は餌食ってるんだぞみたいな態度になります(笑)。