今年の2歳戦はノーザンファーム生産馬が好発進!(辻三蔵)
◆成長段階を見極め、ポテンシャルを最大限に引き出している
6月2日から始まった今年の2歳新馬戦ではノーザンファーム生産馬が[7-4-1-4](勝率44%、複勝率75%)。個人馬主とクラブ法人の素質馬を使い分けて、圧倒的な成績を収めている(データは2018年6月11日現在)。
ちなみに、坂東牧場生産のシングルアップが6月3日2歳新馬戦(阪神芝1400m)を勝ったが、馬主はノーザンファームと提携しているシルクレーシング。ノーザンファーム育成馬を含めれば、新馬戦全9戦中8戦で勝利を挙げている。
ノーザンファーム生産馬の騎手別成績を調べると、M.デムーロ騎手が3戦3勝、ルメール騎手は4戦3勝と好結果を出している。M.デムーロ&ルメール騎手が1番人気のノーザンファーム生産馬に騎乗した場合は6戦全勝。新馬戦を勝つことの重要性を認識し、選りすぐりの素質馬に両騎手を起用している。
6月3日東京5R2歳新馬戦(芝1600m)では、グランアレグリア(牝、父ディープインパクト、母タピッツフライ)がルメール騎手を背に2馬身差の快勝。勝ち時計の1分33秒6は、ダノンプレミアム(昨年の朝日杯フューチュリティS1着)が保持する2歳コースレコードと0秒6差の好タイム。
東京芝1600mで行われた2歳新馬戦ではステルヴィオ(昨年の朝日杯フューチュリティS2着)が記録した1分34秒8を大幅に上回る最速タイムを計測した。
グランアレグリアはノーザンファーム空港牧場から3月30日に美浦・藤沢和雄厩舎に入厩。ウッドコースと坂路を併用して調教本数を18本消化。2カ月かけてジックリ乗り込み、体力作りに専念していた。好時計で走っても耐えうる状態に仕上げており、レース後の反動もなく、6月6日にノーザンファーム天栄に放牧に出ている。
育成技術の進化、厩舎力の向上に加えて、成長段階を見極める緻密な日程調整で競走馬のポテンシャルを最大限に引き出している。
今週6月16日からは函館競馬が始まる。藤沢和雄厩舎のコントラチェック(牝、父ディープインパクト、母リッチダンサー)は6月9日に函館競馬場に入厩。今年の京王杯SCを勝ったムーンクエイク、重賞3勝のバウンスシャッセの半妹という良血馬。
4月11日にグランアレグリアと一緒にゲート試験に合格後、ノーザンファーム天栄に調整放牧。2回函館開催に行われる芝1800mの新馬戦を目標に調整している。
ルメール騎手と相性が良い血統で、ムーンクエイクに騎乗し8戦6勝。昨年は半弟のフラットレーに乗り、新馬戦(札幌芝1800m)を快勝している。
もし、ルメール騎手とのコンビでデビュー戦を迎えたときにどんな走りを見せるのか。素質の高さはもちろんのこと、騎手起用、ローテーションも含めて、興味をそそられる逸材だ。