今週末は春のグランプリ宝塚記念!今回は出走馬の厩舎関係者の皆様に、担当馬との思い出や印象に残っているレースを教えていただきました!長い時間を共に過ごしていれば、時にはぶつかり合うこともあったりなかったり…パートナーだからこそ知っているエピソード満載です!
(取材=美浦・佐々木祥恵、栗東・大恵陽子)※サトノダイヤモンド、ストロングタイタン、香港馬ワーザーは取材スケジュールの都合により掲載はございません。ご了承ください。
アルバート × 森一誠調教助手
ステイヤーズSよりも、ムーア騎手で勝った時の昨年のダイヤモンドS(2017年2月18日)が思い出に残っています。58キロの斤量を背負って道中は後方でずっと動かなかったですし、他馬とハンデ差があるので厳しいかなと思っていたのですけど、直線を向いたら他の馬とは全然脚色が違っていました。上がりの時計も他の馬とは1秒ほど違っていましたし、改めて能力を感じたレースでしたね。普段は特に手がかかるところはなく、落ち着いた馬ですよ。
ヴィブロス × 友道康夫調教師
◆1番印象に残っているレース 昨年のドバイターフ(2017年3月25日、1着)ですね。モレイラ騎手が上手く乗ってくれましたよね。実は、初めて馬主さんと一緒にレースを見たんですよ。日本では一緒に見ることなんてないですからね。人生初の経験で、ゴール前のラチ沿いで並んで見ていたんです。直線ではそれはもう、全員でラチを叩いて応援しましたね。
◆思い出 ヴィブロスは厩舎ゆかりの血統ですからね。お母さん(ハルーワスウィート)もお姉ちゃん(ヴィルシーナ)もうちの厩舎でした。お姉ちゃんのヴィルシーナは成長するにつれて幅が出ましたが、ヴィブロスは背が伸びました。だから、同じ毛色でも姉妹でちょっと違うんです。性格も違って、お姉ちゃんのヴィルシーナはすごく落ち着いていて大人しかったんですが、ヴィブロスはやんちゃな女の子って感じ。
そういう点で「ドバイでどうかな?」って思ったんですが、こっちが思っている以上に全然大丈夫でした。むしろ、ドバイの方がいいみたい。馬房での落ち着きが全然違うんです。去年、ドバイにヴィブロスが到着して1週間後くらいに見に行ったんですが、ビックリしましたもん。去年も今年も帰国しても体も減っていないし、飛行機の輸送もいいんじゃないかな。
キセキ × 清山宏明調教助手
◆1番印象に残っているレース デビュー戦(2016年12月11日、阪神)です。最初にこの子に携わるようになって調教に乗った時からポテンシャルの高さを感じていました。この馬の持っている良さをスタートからゴールまで出してくれたら、いい走りを見せてくれるだろうなって。(元騎手として)競馬に乗った経験と、角居厩舎でいい馬に携わらせてもらった経験からそう感じていました。
でも、競馬はデビューさせてみないと分からない部分があります。それをクリストフ(・ルメール騎手)が新馬戦ですごくスムーズに出してくれて「自分の感覚は正しかった」って思いました。それと同時に、走りを見て、いろんな夢に向かっていく過程を見られるなってワクワクしました。
◆思い出 菊花賞(2017年10月22日)も新馬戦と同じくらい印象に残っています。お世話になり始めて10年の角居厩舎で、自分の担当馬とG1の舞台に立つのが初めてでした。それが1番人気にさせてもらって。パドックを曳きながら「キセキ、ありがとう」って何回も言いました。
ジョッキーだとチャンスはたくさんあります、でも、担当させてもらうのはその世代の何千頭の中の1頭で、出走18頭の中に選ばれて、なおかつ1番人気。“奇跡”に近い中で、俺はその1人にいるんやって思った時に、言葉にできない感情がどんどん積もってきました。人それぞれいろんな思いがあるでしょうが、自分が感じるキセキのポテンシャルの高さだけでなく、「大きい舞台に立って然るべき」という周りの評価もありました。そんな中で、この子に大きい舞台に連れてきてもらって、結果を出せたなんて稀なことですよね。
賢くて、週刊誌の立ち写真撮影ではカメラマンが構えてシャッター音がしたらポーズを構えてピタッと動かないんです。顔写真を撮るタイミングになると、自分から顔を向けるんですよ。