平取町管理品評会風景(高橋啓牧場)
馬のみならず、牧場の美化や整備も求められる時代に
6月18日(月)、平取町にて恒例の1歳馬品評会が開催された。回を重ねること今年で49回目である。出陳馬は10頭と昨年よりも減少し、やや寂しい頭数となったが、多くの関係者が各牧場を順に訪れ、カラー写真のカタログを片手に、磨き上げられた1歳馬たちを見て回った。
普段、同業者であっても個別に生産牧場を訪れる機会は決して多くなく、まして一般人であればなおのこと牧場の敷居は高い。そういうことからも、この品評会は、普段足を踏み入れることのない牧場を訪れる絶好の機会であり、馬のみならず、ロケーションや雰囲気などにも接することのできるまたとないチャンスである。
この品評会に向け、各牧場では、道端の草を刈り込み、季節の花々などを設置して、牧場の美化、整備にも気を配っていることが窺えた。高額な商品であるサラブレッドを展示し人々に披露する際に、こうした配慮が求められる時代でもある。
午後4時、びらとり牧場より審査が開始された。血統、性別、毛色、誕生日などを記した写真カタログを手に、実馬を実際に見て、立たせ方、歩かせ方なども審査の対象になる。
多くの人々に囲まれる中、引き手の指示に素直に従っているか、手入れや蹄の管理はどうか、などももちろん重要なポイントだ。
審査に当たるのは、JRA日高育成牧場の平賀敦場長を委員長に、JBBA日本軽種馬協会静内種馬場・中西信吾場長、神奈川県調教師会・岩本洋相談役、北海道競馬調教師会・林和弘会長の4人。各人が20点ずつの持ち点で採点し、合計点で順位を決定する。
びらとり牧場〜二風谷軽種馬共同育成センター(3頭)〜北島牧場〜船越伸也牧場〜高橋啓牧場〜スガタ牧場〜川向高橋育成牧場と巡回し、予定通り約1時間半で全馬を見て回った。
平取町管理品評会風景(北島牧場)
平取町管理品評会風景(船越伸也牧場)
午後6時、審査結果の発表と表彰式に先立ち、昨年より品評会の日程に合わせて実施されている「びらとり馬の絵コンテスト」の表彰式が行われた。これは、平取町内に住む小学生を対象に、馬の絵を描いてもらうという試みで、もちろん、生産地の子供たちに馬や競馬への理解を深めてもらうのが目的である。今年は全68作品が集まり、うち14点を入選作とし、さらに絞り込んで4点を表彰することになった。
会場のびらとり温泉「ゆから」には、すでに作者である4人の小学生が待機しており、司会の坂田博昭氏から紹介を受けると、自作を手に壇上に上がって、1人ずつ表彰を受けた。地味ながらこうしたコンテストは、馬に親しむ機会のない子供にとっても良い経験になるものと思われる。なお、最優秀作品には任天堂DSが賞品として贈呈された。
馬の絵コンテストの入賞者達
結果は次の通り。平取町軽種馬生産振興会会長賞・木村和花さん、平取町長賞・稲原稟子さん、平取町教育長賞・真下結名さん、JRびらとり賞・藤江悠太郎さん。
さて、いよいよ1歳馬品評会の審査結果の発表となった。まず平賀敦審査委員長から講評があり、銅賞、銀賞、金賞、最優秀賞の順で、先ほど馬の絵コンテストで表彰を受けた4人の小学生が1人ずつ登場し、結果を発表するという粋な“演出”で、場の雰囲気が和やかなものになった。
今年の平取町1歳馬品評会は、次の通りの結果であった。
最優秀賞、レオアルテミスの29、父ヨハネスブルグ、牡鹿毛、二風谷ファーム(飼養者、二風谷共同育成センター)
最優秀賞の二風谷ファーム
金賞、シュシュファレルの2017、父スマートファルコン、牝栗毛、船越伸也牧場
金賞の船越伸也牧場
銀賞、フォーノーワンの2017、父ヘニーヒューズ、牡栗毛、北島牧場
銀賞の北島牧場
銅賞、スズノメヒョーの2017、父マジェスティックウォリアー、牡黒鹿毛、清水牧場
銅賞の清水牧場
また、特別表彰部門として、平取町賞(町民の投票による選出、町内の公共施設に写真つきポスターを掲示し、町民に投票してもらう)にスズカグリーンの29(牡栗毛、父トーセンジョーダン、稲原牧場)、JRA牝馬特別賞にシュシュファレルの2017(金賞とダブル受賞)、さらにティーマ賞(協賛企業)にタイキポーラの2017(牝鹿毛、父タートルボウル、スガタ牧場)、レッドミルズ賞(協賛企業)にコアレスパティオの2017(牝黒鹿毛、父ディープブリランテ、川向高橋育成牧場)がそれぞれ選出され、記念品が贈呈された。
平取町の1歳馬品評会は、町や農協のみならず、協賛企業が多いことも大きな特長で、業界の枠をこえて、あらゆる方面から約70社(団体)が名を連ねている。また、入賞馬の生産牧場には文字通り「豪華賞品」の数々が贈呈されることも、他では見られない光景だ。
品評会入賞馬の生産者達
来年は50回目の記念すべき節目になり、これだけ長い間にわたり続いてきたこと自体、高く評価できる。サラブレッドの生産牧場数は約20軒とこぢんまりとした町だが、品評会のさらなる継続、発展を祈念したい。