地方競馬の大将格として挑むリッカルドの近況
6月27日に大井競馬場で行われるダート界上半期の総決算・帝王賞(2000m)。今年も中央から超豪華メンバーが集結し、熱戦が展開されます。
古巣・中央勢に立ち向かう大将格が、南関東移籍後重賞4連勝中のリッカルド(美浦・黒岩陽一厩舎⇒船橋・佐藤裕太厩舎)。叔父にはスマートファルコンとワールドクリークがいる血統で、甥っ子も大一番でどんな走りを見せてくれるのかワクワクします。
そもそもは地元の京成盃グランドマイラーズを使うプランもあったそうですが、地方のナンバー1ホース的存在になった今、コンディションがいい時にこの帝王賞という舞台で走らせたいと、出走が決定。
この中間も特に変わることなくこの馬の仕上げをしてきたそうで、関わる人たちは「入厩してから一番の状態」と自信を持って送り出します。
毎朝の日常。リッカルドを囲んで、調教に乗るのは佐藤調教師、担当は楠厩務員
普段からとても大人しいというリッカルド。洗い場でものんびりとリラックス
「心身ともに充実していて、手綱から伝わってくる感じも一番いいと思います。今こうやって活躍してくれているのも、これまで関わってきた皆さんがベースをしっかり作って一生懸命鍛えてくださったお陰で、こちらはスパイスをかけている程度です。
今回は久しぶりに中央馬たちとのペースを経験しますが、今の状態なら、早い流れで進んでも最後に脚を使って対応してくれると信じたいです。レースは矢野君に任せます」(佐藤裕太調教師)
昨年の南関東リーディング、矢野貴之騎手。先日の東京ダービーではハセノパイロとのコンビで優勝したばかりで、勢いにのっています。
「相手は強くなるし、時計ももっとつめたいですが、期待は大きいですね。今までのイメージでは流れに乗せて長くいい脚を使えるタイプなのかなと思っていましたが、前走の大井記念での直線の抜け出し方を見ると、瞬発力もすごいです。もっと我慢をさせた時にどのくらいの脚を使えるのか。距離は一線級とやるには気持ち長いようにも思いますが、前走で別の一面を見ることができたし、奥の深い馬です。
賢くて対応力があって、乗ってからも精神的にブレがなくて常に安定しています。不安なく乗れる馬というのもすごいと思いますよ。メンバーが強くなっても、この勢いなら楽しみです」(矢野騎手)
なお、担当の楠新二厩務員は65歳の大ベテラン。息子さんは、中央の木村哲也厩舎で働いている楠友廣厩務員。フェアリーSを担当馬のプリモシーンで優勝していますが、宝塚記念では調教に乗るゼーヴィントが出走したばかり。親子で上半期の総決算レースに関わる馬を送り出すというのもすばらしいですね。
佐藤調教師が騎手時代に調教パートナーとして関わったアジュディミツオーが2006年、フリオーソは2008年と2010年に、それぞれ帝王賞を制覇。楠厩務員が手掛けたアブクマポーロが帝王賞を優勝したのは1998年。あれから10年、20年が経って、今度はリッカルドとこの大舞台に挑みます。
地方競馬の職人たちが大一番に向けて作り上げた作品を、当日見ることができるのは個人的にも楽しみです。
写真の1枚は、先日行われたリッカルドの重賞4連勝祝勝会でのひとコマ。またみんなの笑顔が見たいです!
先日行われたリッカルドの重賞4連勝祝勝会でのひとコマ。向かって左から、佐藤調教師、矢野騎手、楠厩務員
次回は7月9日(月)にお会いしましょう!