目標はクラシック。サトノダイヤモンドの全弟サトノジェネシス
●サトノジェネシス(牡 美浦・堀宣行 父ディープインパクト、母マルペンサ)
セレクトセール当歳で落札価格2億8000万円。サトノダイヤモンドの全弟にあたる良血で、本馬を出産後まもなく母マルペンサは死んでしまったので、サトノダイヤモンドの全弟はこの馬しかいない。母は南米アルゼンチンで芝・ダートを問わず活躍し、2000mのG1を3勝(芝1勝、ダート2勝)した名牝。いかにもディープインパクトと相性が良さそうな配合構成で、名繁殖牝馬ハルーワスウィート(ヴィルシーナとヴィブロスの母)と似ているだけでなく、ジェンティルドンナの母の父ベルトリーニと同じ「ダンジグ×アリダー」のLureを抱えている。母方にDanzig、Alydar、Northern Dancerのクロスを持つディープ産駒は、全兄サトノダイヤモンドのほかにドナウブルーとジェンティルドンナの姉妹、ミッキーアイルなどが出ている。あとは気性面だけ。
●セレーネワルツ(牝 栗東・鈴木孝志 父アドマイヤムーン、母テネシーワルツ)
母テネシーワルツの全姉The Miniver RoseはパークヒルS(G2・芝14f132yds)を勝ったステイヤー。父アドマイヤムーンはこうした繁殖牝馬に最適な種牡馬で、他の種牡馬が手を焼くようなヨーロッパのスタミナ型繁殖牝馬との間に好成績を挙げている。母の父High ChaparralはSadler's WellsとShirley Heightsのニックスで誕生した名馬で、英ダービー(G1)、愛ダービー(G1)、愛チャンピオンS(G1)、BCターフ(米G1)連覇など、世界を股にかけてG1を6勝した。芝中長距離で発揮するスタミナには定評がある。父アドマイヤムーンは、High Chaparralが抱えるSadler's Wells、Shirley Heightsと相性良好。「アドマイヤムーン+Sadler's Wells」からはレオアクティブ、セイクレットレーヴ、レオナルド、ジョヴァンニが、「アドマイヤムーン+Shirley Heights」からはハクサンムーン、プリンセスムーン、ムーンクレストなどが出ている。芝向きのマイラー。
●セントレオナード(牡 美浦・堀宣行 父ディープインパクト、母リリーオブザヴァレー)
青葉賞(GII)を勝ったヴァンキッシュランの全弟。母リリーオブザヴァレーはオペラ賞(仏G1・芝2000m)など仏重賞を3勝。その半弟にはオーサムアゲンS(米G1・ダ9f)やUAEダービー(首G2・ダ1900m)を勝ったMubtaahijがいる。母の父Galileoは英愛サイアーランキング首位9回の大種牡馬。とはいえ、日本の軽い芝に合っているとはいえず、父としても母の父としてもわが国では不振。全兄ヴァンキッシュランはGalileoを含んだ競走馬として初めて日本の重賞レースを勝った。今年の英2000ギニー(G1)を勝ったSaxon Warriorは「ディープインパクト×Galileo」なので本馬と同じ組み合わせ。やはり基本的には芝が深く起伏のあるコースで行われるヨーロッパ競馬に向いている。3代母Gale Warningは素軽いアメリカ血統で、母リリーオブザヴァレーはHopespringseternal≒ラストタイクーン4×3。ラストタイクーンを抱えたディープインパクト産駒は走っており、そこを強化した配合は好ましい。全兄ヴァンキッシュランを上回る競走成績を期待したい。
●ダノンジャスティス(牡 栗東・中内田充正 父Kingman、母マンビア)
セレクトセール当歳で8800万円。父Kingmanは愛2000ギニー(G1)、セントジェームズパレスS(英G1)、サセックスS(英G1)、ジャックルマロワ賞(仏G1)と欧州マイルG1を4連勝。2014年にカルティエ賞年度代表馬に輝いた。Invincible Spiritの最高傑作で、母Zendaは仏1000ギニー馬。これも名種牡馬であるOasis Dreamの甥にあたり、なおかつ父系も同じなので、同馬とKingmanは血統構成の50%が同一。種牡馬として成功しないわけがない、という傑作だ。今年の2歳世代が初年度産駒で、6月19日に英アスコット競馬場で行われた今年最初の2歳重賞、コヴェントリーS(英G2・芝6f)を産駒のCalyxが制覇して幸先のいいスタートを切った。本馬の母マンビアはカルヴァドス賞(仏G3・芝1400m)の勝ち馬。「Kingman×アルデバランII」という組み合わせで、Green Desert≒ダンシングブレーヴ≒Aviance 3・4×4はおもしろい。芝向きのスプリンター〜マイラーだろう。
●ワールドプレミア(牡 栗東・友道康夫 父ディープインパクト、母マンデラ)
セレクトセール当歳で落札価格2億4000万円。マイラーズC(GII)を1分31秒4でレコード勝ちし、皐月賞(GI)でも2着となったワールドエースの全弟。母マンデラはドイツの名馬Manduro(07年ジャックルマロワ賞-仏G1、07年プリンスオブウェールズS-英G1、07年イスパーン賞-仏G1)の半姉にあたる良血で、現役時代に重賞こそ勝てなかったものの、独オークス(G1・芝2200m)3着、ポモーヌ賞(仏G2・芝2700m)3着、サンタバーバラH(米G2・芝10f)3着などの成績を残した。アメリカでも好走しているのは堅い馬場への適性という面で大きい。「ディープインパクト×Acatenango」は出走11頭中8頭が中央で勝ち上がっており確実性が高い。また、連対率31.9%、1走あたりの賞金額407万円は、ディープインパクト産駒全体の23.8%、326万円を大きく上回る。兄に似れば切れ味を武器とする芝中距離タイプ。