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【騎手引退】林満明騎手(3)『直筆フリップで発表!33年間の騎手人生を集約した言葉』

  • 2018年07月16日(月) 12時01分
おじゃ馬します!

▲今回のテーマは『33年間の騎手人生を集約した言葉』


障害通算2000回騎乗を区切りに騎手を引退した林満明騎手に、現在の心境や騎手人生を振り返っていただくインタビュー。今回のテーマは『33年間の騎手人生を集約した言葉』。直筆フリップに書いていただいたのですが、「やってもうたぁー!!! デーモン小暮か」と絶叫したハプニングが!? さらには、平地競走に出走したオジュウチョウサンのこと、石神騎手への思いも明かしてくれました。 (取材:東奈緒美)

「辞めどき間違えたんちゃう?」って言われそう


 折れ線グラフに続きまして、これもフリップに書いていただきたいのですが、33年間の騎手人生を集約するとどんな言葉になりますか?

 ん〜、言葉かぁ。ちょっと長いけど、「馬を信じて頑張って乗ってきた騎手生活」っていうところかな。

 ありがとうございます。「馬を信じて〜」というのは、障害ジョッキーにとって要の部分ですものね。あっ! 林さん…、日付が20018年になってます(笑)。

おじゃ馬します!

▲フリップ記入の突然の依頼に焦った林騎手が!!


 ……やってもうたぁー!!! デーモン小暮かって(苦笑)。

 この貴重なフリップも、折れ線グラフとともにファンの方にプレゼントさせていただきます(笑)。改めて、先ほどの言葉はどういう思いで書かれましたか?(※プレゼントの詳細は次週発表させていただきます)

 やっぱり障害は危険性が高いでしょう。だから、馬を信用しなければ怖くて乗っていられない。馬を信じることができたからこそ、ここまで頑張ってこられたのかなっていう思いがあるから。

 レースだけではなく、障害は普段のコンタクトも平地以上に密ですものね。馬を信じられるということは、そういったレースまでの過程も丁寧にやってこられたからこそ。

 うん。まぁ信じられない馬もたくさんいたけどねぇ(苦笑)。でも、いったんゲートを出たら、もう馬を信じるしかないから。

 そのなかでも、やはりアップトゥデイトは最高の信頼関係を築けたパートナーですか?

 そうですね。さっきも言ったけど、とにかくあの子は跳びが上手だったからね。ジョッキーたちに、「オジュウとアップ、乗れるとしたらどっちに乗りたい?」と聞いたら、アップって答えるジョッキーのほうが多いと思うよ(笑)。

 逆に言うと、それだけオジュウチョウサンが難しい馬ということですよね。

 うん、あの馬は難しいと思うよ。今度平地を使うけど(取材後の7月7日の開成山特別を圧勝!)、そこで勝って平地に行かれたら、「辞めどき間違えたんちゃう?」って言われそうやね(笑)。それにしても、石神は複雑やろうなぁ。もちろん豊はスーパースターやけど、石神が乗ったとしてもお客さんは呼べると思うんだけどな。

 平地でも石神さんとのコンビを見たいと思っているファンは多いでしょうね。そういえば、2000回騎乗のセレモニーのとき、石神さんはスーツを着ていらっしゃいましたね。ひょっとして、セレモニーのためだけに関東から…。

 そう、わざわざきてくれてね。しかも、前の週に落馬してケガをしていたのに。

 やっぱりそうだったんですね。障害ジョッキーのみなさんは、本当に仲が良さそうですよね。

おじゃ馬します!

▲「障害ジョッキーのみなさんは、本当に仲が良さそうですよね」


 そうですね。馬に乗っているときはみんな厳しいけど、馬から下りたら本当に仲がいい。レースが終わったあとなんか、みんなでワイワイやってるもんね。

 やはり、障害ならではの恐怖を共有しているだけに、ライバルであると同時に同志という意識も強いんでしょうね。現役を終えられた今、改めて後輩ジョッキーに伝えたいことはありますか?

 今、せっかく障害が盛り上がってきてるんでね。この盛り上がりを維持しつつ、ケガのないように乗っていってもらいたい。あとは、若い乗り手を増やしてほしいね。

 そうですよね。林さんのなかで何か案はありますか?

 これはジョッキーにはどうしようもないことだけど、もっと騎乗料を上げてくれたらとは思う。賞金も、僕がデビューした頃に比べればもちろん上がっているけど、リスクを考えたらもうちょっとあってもいいのかなって。さっきも言ったけど、昔は騎乗料が平地の5倍近くあったのに、今では3倍弱だからね。それじゃあちょっとねぇ…。挑戦してみようという気持ちがあっても考えちゃうんじゃないかな。

 レース数自体が少ないですものね。

 うん。それもそうだし、ローカルに追いやられてしまったしね(苦笑)。1レース目に組まれても、なかなかお客さんは注目してくれないよ。

 2000回騎乗のセレモニーのときも、最後に「これからも障害レースをよろしくお願いします」とおっしゃっていましたよね。すごく印象に残っています。障害レースをなんとか盛り上げようと、高田潤さんを筆頭にみなさん頑張っていらっしゃいます。

 潤はね、イベントとか本当に頑張ってくれているよね。

 ヨーロッパでは障害が大人気ですし、少しでもその波が日本にもきてくれれば。

 なにしろヨーロッパとは文化が違うからね。向こうは馬事文化が根付いているけど、こっちはそもそも農耕文化が始まりだから。その差を埋めるのはなかなか難しいよね。

(文中敬称略、次回へつづく)

東奈緒美 1983年1月2日生まれ、三重県出身。タレントとして関西圏を中心にテレビやCMで活躍中。グリーンチャンネル「トレセンリポート」のレギュラーリポーターを務めたことで、競馬に興味を抱き、また多くの競馬関係者との交流を深めている。

赤見千尋 1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミック」で連載した「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍。

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