●アックアアルタ(牝 栗東・清水久詞 父ブラックタイド、母アガルタ)
母アガルタは不出走馬だが、父キングカメハメハ、母ブロードアピール(驚異的な追い込み脚を武器に、ガーネットS、根岸Sなど6つの重賞を制覇)という良血。繁殖成績は優秀で、競走年齢に達した4頭はすべて勝ち上がり、プロレタリアト(17年ステイヤーズS-GII・4着)、マイネルオフィール(OP)などを産んでいる。
本馬の父はブラックタイド。ディープインパクトの全兄で年度代表馬キタサンブラックの父でもある。「ブラックタイド×キングカメハメハ」はタガノエスプレッソ(14年デイリー杯2歳S-GII)、ライジングリーズン(17年フェアリーS-GIII)などが出て成功しており、何より本馬は、ダービー馬ワグネリアンと父同士が全兄弟、母同士が全姉妹というユニークな血統構成なので注目したい。芝向きの中距離タイプ。
●ウーリリ(牡 栗東・友道康夫 父ディープインパクト、母ウィキウィキ)
マカヒキ(16年日本ダービー-GI、16年弥生賞-GII、16年ニエル賞-G2)、ウリウリ(14年京都牝馬S-GIII、15年CBC賞-GIII)の全弟。「ディープ×フレンチデピュティ」はニックスで、本馬の全きょうだい以外に、ショウナンパンドラ、カミノタサハラ、アンジュデジール、ボレアスといった重賞勝ち馬を出している。
母にサザンヘイローが入るパターンはサトノダイヤモンド(16年有馬記念-GI、16年菊花賞-GI)と同じ。兄弟が走っており、配合パターンも良好なので、あとは馬のデキがどうかだけ。問題なければ兄姉と同様に重賞級の活躍が期待できる。
●タンタラス(牝 栗東・池添学 父キングカメハメハ、母ブエナビスタ)
母ブエナビスタは桜花賞(GI)とオークス(GI)の牝馬二冠に加え、ジャパンC(GI)、天皇賞・秋(GI)などG1を6勝し、年度代表馬に選ばれた女傑。2代母ビワハイジは阪神3歳牝馬S(GI)の勝ち馬で、ブエナビスタをはじめ6頭の重賞勝ち馬を産んだ希代の名繁殖牝馬。ドイツ血統の優秀性を知らしめた最初期の1頭でもある。
ビワハイジの娘ファインセラとアーデルハイトは、繁殖牝馬としてこれまでJRAでデビューした産駒7頭すべて勝ち上がっている。本馬の全姉コロナシオンとソシアルクラブは現時点でそれぞれ1勝。「キングカメハメハ×スペシャルウィーク」はリオンディーズと同じで、Sir Gaylordが入る点も似ている。本馬は姉2頭よりもひとまわり馬体が大きいので期待したい。
●リスト(牡 栗東・池江泰寿 父ディープインパクト、母シルヴァースカヤ)
17年のセレクトセール当歳で2億6000万円(税抜)で落札された。母シルヴァースカヤはデインスカヤ(シックスセンスやスペルバインドの母)の半妹で、現役時代にミネルヴ賞(仏G3・芝2500m)、ロワイヨモン賞(仏G3・芝2400m)など8戦5勝の成績を残した。繁殖牝馬としては本馬の全兄にあたるシルバーステート(5戦4勝/現種牡馬)、ヘンリーバローズ(2戦1勝で休養中)のほか、チューリップ賞(GIII)4着馬ヴィルジニア(父Galileo)を産んでいる。
母方にRobertoを持つディープインパクト産駒は、同産駒の平均よりも成績は劣るものの、底力を伝えて大物を出す血なので、ディーマジェスティ(16年皐月賞-GI)、ダノンプレミアム(17年朝日杯FS-GI)、アドミラブル(17年青葉賞-GII)といった大物感あふれる産駒を出している。
全兄シルバーステートとヘンリーバローズは重賞こそ勝っていないものの素質ではそれらに負けていない。体質の弱さが垣間見える血統なので、そのあたりが問題なければ楽しみ。
●ルガールカルム(牝 美浦・田村康仁 父ロードカナロア、母サンデースマイルII)
チャレンジC(GIII)を勝ったフルーキー(父Redoute's Choice)の半妹で、競走年齢に達した母の産駒5頭はすべて勝ち上がっている。3代母OutstandinglyはブリーダーズCジュヴェナイルフィリーズ(米G1)を勝って米2歳牝馬チャンピオンとなり、2代母SensationはファルマスS(英G2)とサンドリンガム賞(仏G3)の勝ち馬。ファミリーの質もいい。
本馬の4分の3弟でキングカメハメハを父に持つ当歳の牡馬は、7月10日に行われたセレクトセールで1億1500万円で落札された。
母方にNureyevを持つロードカナロア産駒は桜花賞(GI)とオークス(GI)を制した二冠牝馬アーモンドアイ、2戦2勝のサンラモンバレーをはじめコンスタントに勝ち上がっており、連対率36.8%、1走あたりの賞金額637万円はロードカナロア産駒全体の21.4%、189万円を大きく上回る。高確率で走ってくるだろう。芝向きのマイラー。