▲高松宮記念で念願のG1タイトルを手にした(C)netkeiba.com
強烈な末脚が魅力の不死鳥
1993年のダービー馬ウイニングチケットとともに功労馬として繋養されているのが、2007年に高松宮記念(G1)を制したスズカフェニックス(セン)だ。2002年3月29日生まれだから、現在16歳。
かつてウイニングチケットは、既に亡くなったダイユウサク、ニッポーテイオー、ヒシマサルとともに同じ放牧地で過ごしていた。だがスズカフェニックスはウイニングチケットよりひと回り若い。前回も書いた通り、ウイニングチケットに無理をさせないよう考慮して、今は一緒ではなくそれぞれ個別に放牧しているという。
スズカフェニックスは、北海道平取町の稲原牧場で生まれた。あのサイレンススズカと同じ牧場出身でもある。父はサンデーサイレンス、母ローズオブスズカ、母の父はノーザンダンサー産駒のFairy King。母ローズオブスズカは、1992年の英国ダービー馬で種牡馬として日本にも輸入されたドクターデヴィアスや1997年の高松宮杯(G1・現高松宮記念)を勝ったシンコウキングの妹と血統的にも筋が通っており、競走馬としての期待もさぞ大きかったと想像できる。
永井啓弐氏の所有馬として栗東の橋田満厩舎から2004年10月10日に京都競馬場で武豊騎手騎乗でデビュー。ダート1400m戦で1番人気に推されるも、9着と敗れた。2戦目は明け3歳の1月23日、再び京都のダート1400mと同条件で2着と連対し、3戦目の2月5日ダート1200mで初勝利を挙げた。4戦目は7月10日、函館の陸奥湾特別(500万下・芝2000m)で、ここが初めての芝のレースだったが、蛯名正義騎手の手綱で昇級戦に勝利し2連勝となった。
1000万クラスでは好走を続け、翌年6月には降級戦の洛南特別(500万下・芝1600m)、7月に入って函館のHTB杯(1000万下・芝2000m)と連勝。札幌日刊スポーツ杯(1600万下・芝1500m)3着を挟んで、9月には初めての重賞となる朝日チャレンジC(G3・芝2000m)に名を連ね、格上挑戦ながら2番人気に支持されて4着という成績を残した。10月には自己条件の大原S(1600万下・芝1800m)を順当に勝ち上がり、晴れてオープン馬となった。そこからは重賞路線を歩み、2007年1月の東京新聞杯(G3・芝1600m)で重賞初制覇を果たすと、2月の阪急杯(G3・芝1400m)3着となったのち、3月の高松宮記念(G1)で芝では初となる1200mの距離も克服し、1番人気に応えてG1を奪取した。続く安田記念(G1・芝1600m)では、追い込み脚質の同馬に不利なスローペースの展開の中、直線で脚を伸ばすもダイワメジャーの5着と1番人気に応えることはできなかった。