2歳戦を席巻!新種牡馬ジャスタウェイの快進撃(辻三蔵)
◆早熟期は牝馬、晩成期は牡馬と役回りが明確化された可能性
今年の2歳リーディングサイヤー(中央競馬限定)は新種牡馬のジャスタウェイが獲得賞金5900万円でトップ(データは2018年7月23日現在)。2歳戦に強いダイワメジャー(獲得賞金5591万円)、ロードカナロア(獲得賞金5285万円)を抑えての首位は大いに価値がある。
既に15頭がデビューし、4頭が勝ち上がった。産駒の勝利距離は1200〜1800mと幅広く、特徴的なのは牝馬の好走率が高いこと。全4勝中3勝を牝馬が挙げており、牝馬の新馬成績が[3-1-1-5](勝率30%、複勝率50%)。牡馬の新馬成績[0-2-0-3](複勝率40%)が示すように、牝馬の仕上がりが早い(牡馬は未勝利戦で1勝)。
ジャスタウェイは現役時代、数奇な競走人生を歩んだ。2歳夏の新馬戦(新潟芝1600m)を圧勝し、新潟2歳S2着、アーリントンカップを勝った早熟期。長い沈黙期間があり、4歳秋の天皇賞(秋)で1年8ヶ月ぶりの勝利。その後、中山記念、ドバイデューティフリー、安田記念と破竹の4連勝でGIを3勝し、一流馬の仲間入りを果たした晩成期。
2度の円熟期を迎えた競走人生が産駒に伝わり、早熟期は牝馬、晩成期は牡馬と役回りが明確化された可能性はある。
衝撃を受けたのはラブミーファインの激変ぶりだ。芝1800mの新馬戦を勝った後、芝1200mに距離短縮した函館2歳Sで2着に好走。しかも今年の勝ち時計1分09秒4は2歳コースレコードと0秒2差の高速決着。前半600m通過33秒9のハイペースを2番手で追走し、ハナ差2着に踏ん張った。
前走が前半600m通過38秒4だったことを考えれば、極端なペースアップに対応できたレースセンスに驚愕した。中距離戦を乗り切るスタミナだけではなく、スピードの持続力も兼ね備えており、規格外の走りを披露した。ハマったときの爆発力は、ジャスタウェイがジェンティルドンナ相手に4馬身差の圧勝劇を演じた天皇賞(秋)に通ずるものがある。
牡馬はスロースターターのイメージがあるが、アドマイヤジャスタが2戦目(中京芝1600m)で初勝利。7月22日(日)中京5R2歳新馬戦(芝2000m)でハナ差2着だったアドマイヤポラリスも次走は確勝級だ。牡馬は牝馬ほどの切れ味がない反面、長くいい脚を使えるので中距離戦が合うはずだ。
ジャスタウェイ産駒は関西優勢で関東馬は1頭しかデビューしていないが、夏の新潟開催に大物がスタンバイ。
7月29日(日)新潟5R2歳新馬戦(芝1600m)でメルキュール(牝、父ジャスタウェイ、母キュー、戸田博文厩舎)がデビュー予定。半兄は2009年に共同通信杯を勝ったブレイクランアウト。5月26日に入厩後、6月7日にゲート試験合格。坂路とウッドコースを併用して調教本数を8本消化。2カ月かけてジックリ調整しており、万全の仕上がりだ。
鞍上はジャスタウェイの主戦だった福永騎手。父ジャスタウェイが初勝利を挙げた新潟競馬場で新たな伝説が始まるかもしれない。