堅実に活躍しそうなグリュイエールの全妹レースガーデン
●ウインメルシー(牝 美浦・鈴木伸尋 父ジャスタウェイ、母イクスキューズ)
母イクスキューズは現役時代、クイーンC(GIII)を勝ち、ファンタジーS(GIII)2着、クイーンS(GIII)2着、フローラS(GII)3着など重賞戦線で活躍した。短距離型が多いボストンハーバー産駒のなかで唯一1800m以上で勝った馬でもある。繁殖成績は上々で、ウインマハロ(父マツリダゴッホ)とウインイクシード(父マンハッタンカフェ)が2勝ずつあげている。とくに後者は、先週の栗子特別(500万下)をほぼ1年ぶりの休み明けにもかかわらず4馬身差圧勝。今後まだまだ出世が期待できる。
本馬の父ジャスタウェイはドバイデューティーフリー(首G1・芝1800m)をレコード勝ちし、芝中距離で世界ナンバーワンの評価を獲得した名馬。初年度産駒の現2歳世代は好調で、すでに4頭が勝ち上がっている。2代父ハーツクライは母方にSeattle Slewを持つ配合が成功しており、とくにCapoteが入るパターンは少ないサンプルからカポーティスター、マジェスティハーツ、ダイワズームといった活躍馬が出ている。本馬は「ジャスタウェイ+Capote」なので期待したい。
●スティーリア(牝 美浦・池上昌和 父シンボリクリスエス、母シナノネージュ)
ブランネージュ(14年フローラS-GII・2着、14年秋華賞-GI・4着、14年オークス-GI・5着)、ボンナヴァン(3勝)の全妹。母シナノネージュは未勝利だが、2代母コードネームはマイルチャンピオンシップ(GI)と香港マイル(G1)を連勝したハットトリックの全姉。ハットトリックは引退後、アメリカへ渡って種牡馬となり、仏年度代表馬Dabirsimをはじめ多くの重賞勝ち馬を出して成功している。
トリッキーコードの牝系とシンボリクリスエスはなぜか相性が良く、これまで出走した5頭はすべて勝ち上がり。「サンデーサイレンス+トリッキーコード牝系」よりも勝ち星が多い。本馬も堅実に走ってくるだろう。
●チルノ(牝 美浦・金成貴史 父Kingman、母Chill)
母Chillはクレオパトル賞(仏G3・芝2100m)2着馬で、Fager's Glory 3×3という牝馬クロス(Rahaam≒Queen Caroline 2×2といってもいい)を持つユニークな配合構成。その4分の3弟Remus de la Tourはリス賞(仏G3・芝2400m)の勝ち馬で、Chillと同じくFager's Gloryの牝馬クロス(4×3)を持っている。本馬の半姉Childa(父Duke of Marmalade)はコンセイユドパリ賞(仏G2・芝2400m)3着馬で、その初子Chileanはラフォルス賞(仏G3・芝1800m)でのちの仏ダービー馬Study of Manを破って優勝している。
Fager's Gloryの牝馬クロスはファミリーを活性化させていることが見て取れるので期待できる。父Kingmanは愛2000ギニー(G1)、セントジェームズパレスS(英G1)、サセックスS(英G1)、ジャックルマロワ賞(仏G1)を連勝してカルティエ賞年度代表馬に選ばれた名マイラー。初年度産駒は今年からデビューし、CalyxがロイヤルアスコットのコヴェントリーS(英G2・芝6f)を制して幸先のいいスタートを切った。日本でも1頭デビューし、ヨークテソーロが新馬戦(福島芝1200m)を勝ち上がっている。マイル以下の芝で期待できる。
●ルパンスール(牝 美浦・伊藤圭三 父アドマイヤムーン、母ディスメイ)
母ディスメイはDesideratum(05年リス賞-仏G3)、Poet Laureate(07年ドーヴィル大賞典-仏G2・2着)の半妹。20世紀を代表する名牝Fall Aspen(競走馬となった13頭の産駒のうち11頭が勝ち上がり、4頭のG1馬を含む8頭が重賞ウィナーとなる)を4×3でクロスさせている。なおかつ、これも名牝であるWhere You Lead 5×4を持つ。繁殖牝馬としての可能性を感じる。
2代母Desiredはオータムメロディーの半姉で、「父アドマイヤムーン、母オータムメロディー」という配合からダート路線でオープンクラスまで出世したジョヴァンニ(14年霜月S-OP)が出ている。血統構成から本馬は芝向きで、マイルから中距離で本領を発揮するだろう。
●レースガーデン(牝 栗東・池江泰寿 父ディープインパクト、母ウィンターコスモス)
グリュイエール(18年エプソムC-GIII・3着)の全妹で、マウントロブソン(16年スプリングS-GII)、ポポカテペトル(17年菊花賞-GI・3着)の4分の3同血にあたる。母ウィンターコスモスは不出走馬だが、2代母ミスパスカリはマーメイドS(GIII)3着馬で、名馬クロフネの半妹にあたる。ブルーアヴェニューの牝系にディープインパクトを交配するパターンは8頭中7頭が勝ち上がっておりきわめて堅実だ。
「ディープインパクト×キングカメハメハ」はワグネリアン(18年日本ダービー-GI)、デニムアンドルビー(13年ローズS-GII、フローラS-GII)などが出ている成功パターンで、連対率34.4%、1走あたりの賞金額596万円は、ディープインパクト産駒全体の23.9%、326万円を大きく上回る。母ウィンターコスモスはMr.Prospector 3×4なので2歳時からやれるだろう。全兄グリュイエールも2歳秋に京都芝2000mでコースレコード(2分00秒3)を樹立した実績がある。芝向きの中距離タイプ。