スマートフォン版へ

砂の王者ライブリマウント オーナーの愛に包まれて歩む馬生(3)

  • 2018年08月07日(火) 18時00分
第二のストーリー

▲種牡馬引退後は乗馬として第三の馬生を歩むことに(写真提供:hammerprice.com)


経験豊富な“親分”にも意外な一面が


 競走馬を引退し、種牡馬生活にもピリオドを打ったライブリマウントの第三の馬生は、乗馬だった。種牡馬生活を終え、にいかっぷホロシリ乗馬クラブに移動した同馬は、去勢をされたのち、乗馬としての調教を施された。そして初心者を背にトレッキングができるほど穏やかになり乗用馬として大活躍をし、2012年に公開された野村萬斎主演の「のぼうの城」(和田竜の歴史小説を映画化)の撮影にも参加している。

「あちこちから馬が集まってきて、40〜50頭くらいはいたと思います。ウチのクラブからもそのような場所でも動じない馬を、確か6頭チョイスして連れて行きました。ライブリマウントも落ち着いていましたよ。映画ではその他大勢の中の1頭で、どこに映っているかわからないですけどね(笑)」(にいかっぷホロシリ乗馬クラブの山畠輝男さん)

 乗馬としては穏やかだったが、放牧地では親分的存在だった。

「夜間放牧を終えて、朝馬小屋に入って餌を食べるのが馬の1つの喜びになっているのでしょうね。放牧地から収牧する時には自分がいの一番に帰るんだということで、出入り口近くでは先頭でふんぞり返って(笑)、他の馬がそばに来たら『横入りするな』みたいに威嚇していました。とにかく1番威張っていました。

「特にこの馬と仲が良いというのはなかったですけど、放牧中は自分から他の馬にかかっていくようなことはなかったです。新しい馬が来た時にはそれなりにやってはいましたけど、もう周りの馬たちがライブリマウントを認めちゃっている感じだったので、喧嘩を売る馬もいなかったですから、放牧地では至ってマイペースな時間を過ごしていました」

第二のストーリー

▲収牧時にはとにかく1番威張っていたという(写真提供:hammerprice.com)


 健康状態も良く手のかからない馬でもあったが、2014年に乗馬を引退。

「新しい馬も来ますし、ウチではだいたい20歳くらいを目安に乗馬は引退させています。ライブリマウントも最年長(23歳)になりましたので、引退が決まりました」

 現在は競走馬時代の加藤哲郎オーナーの所有馬として、新ひだか町三石のオギオギ牧場でのんびりと余生を送っている。

続きはプレミアムサービス登録でご覧になれます。

登録済みの方はこちらからログイン

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

北海道旭川市出身。少女マンガ「ロリィの青春」で乗馬に憧れ、テンポイント骨折のニュースを偶然目にして競馬の世界に引き込まれる。大学卒業後、流転の末に1998年優駿エッセイ賞で次席に入賞。これを機にライター業に転身。以来スポーツ紙、競馬雑誌、クラブ法人会報誌等で執筆。netkeiba.comでは、美浦トレセンニュース等を担当。念願叶って以前から関心があった引退馬の余生について、当コラムで連載中。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング