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JRAの5歳馬3頭VS兵庫の2頭/サマーチャンピオン

  • 2018年08月13日(月) 18時00分


今年も勝つのは重賞未勝利馬か!?


 今週は真夏の地方競馬・ダートグレード競走3連戦! 8月14日(火)に佐賀競馬場で行われるサマーチャンピオンを皮切りに、15日(水)は盛岡でクラスターCが、16日(木)は門別でブリーダーズゴールドCが行われます。「待ちに待った夏休み!」という方も「今週もカレンダー通りに仕事だよ〜」という方も、連日の熱い戦いにご注目ください。

 3連闘のダートグレード競走、1戦目は『第18回サマーチャンピオン』。2001年にダートグレード競走として創設された比較的新しいレースで、ダート1400mで争われるハンデ重賞(JpnIII)。1番人気馬の成績は過去10年で4勝2着3回【4-3-1-2】。昨年は2番人気、3番人気、1番人気の順、一昨年は1番人気、3番人気、2番人気の順で決着し、1番人気はもちろん上位人気馬を信頼できる決着が続いています。

 また2012年のテイクアベットから昨年のラインシュナイダーまで6年連続“このサマーチャンピオンで重賞初制覇”という馬の勝利が続いているのも注目すべき点。今回のJRA勢5頭もすべて重賞未勝利馬で、この傾向は今年も続きそうです。

コツコツと地道に成績を伸ばしてきたヨシオ


 JRA勢5頭の中で最もタイトルに近いところにいるのがヨシオ。前走・マーキュリーCで逃げてミツバの0.2秒差2着に粘り、3着には4馬身の差を付けました。現在51戦5勝【5-4-9-33】でJRAの5歳馬としては多くの戦歴を重ね、コツコツと地道に成績を伸ばしてきた堅実派。今年4月にオープン入りしてから3戦、2着4着2着。近走は長めの距離を使っていたので1400mは久しぶりになりますが、父はヨハネスブルグ。ダート戦での距離の幅は広く、距離短縮がプラスに出ることを期待します。前走ゴール前で逃したダートグレード競走初制覇をかけての出走です。

前走ゴール前で逃したダートグレード競走初制覇をかけての出走となるヨシオ(写真は18年下総S優勝時、撮影:下野雄規)


 タイセイエクレールは前走・安芸S(1600万下・阪神ダート1400m)を勝ってオープン入り。3歳までは芝を中心に使っていましたが、4歳になってダートに転向。以降ダートに限ると15戦4勝【4-2-5-4】と比較的安定した成績。しかも15戦すべて1400m戦というのも今回重視したい点。鞍上は前走に続いてM.デムーロ騎手。コンビの相性は6戦3勝【3-1-1-1】と抜群、今回54kgというのも好材料。初の地方競馬参戦、小回りコースをうまくこなせれば連勝での重賞初制覇も夢ではありません。

初の地方競馬と小回りコースが鍵となりそうなタイセイエクレール(写真は2歳未勝利優勝時、(c)netkeiba.com)


 ルグランフリソンもヨシオ、タイセイエクレールと同じ5歳馬。こちらも今年1月、久しぶりのダート戦・羅生門S(1600万下・京都ダート1400m)を勝ってオープン入り。前走・プロキオンSは11着に敗れましたが、注目すべきは3走前のオアシスS(OP・東京ダート1600m)。逃げ馬に続く2番手からの競馬で、直線先頭に立つと追い込んできた1番人気サンライズノヴァの追撃をクビ差しのぎ、見事オープン勝ち。前目の位置取りで自分の競馬ができれば上位争いに加わる1頭です。鞍上・福永祐一騎手は2010年にセレスハントでサマーチャンピオンを制覇しており、2度目の勝利なるか注目です。

2010年に当レースを制している福永騎手とのコンビとなるルグランフリソン(写真は18年オアシスS優勝時、撮影:下野雄規)


 デビュー以来ダート短距離を中心に使ってきた6歳馬ブルミラコロ。昨年10月の室町S(OP・京都ダート1200m)で初のオープン勝ち。2走前の天王山S(OP・京都ダート1200m)では続く北海道スプリントCを制したテーオーヘリオスの3/4馬身差2着で、力上位を印象付けました。デビュー以来ずっと手綱を握ってきた秋山真一郎騎手とのコンビで挑みます。

ブルミラコロはデビュー以来ずっと手綱を握ってきた秋山真一郎騎手とのコンビ(写真は17年室町S優勝時、(c)netkeiba.com)


 タイセイプライドは今回が初ダートとなる3歳馬。父ヨハネスブルグはヨシオと同じ。ダート戦で新境地を狙います。53kgは有利ですが、古馬相手に初のダートグレード競走でどこまで戦えるか注目。もし勝てば3歳馬の勝利は2005年のアグネスジェダイ以来13年ぶりとなります。

アグネスジェダイ以来13年ぶりとなる3歳馬の勝利を狙うタイセイプライド(写真は17年クリスマスローズS優勝時、撮影:下野雄規)


 サマーチャンピオンはこれまでJRA勢が15勝と圧倒的な成績を残していますが、第2回(2002年)フジノコンドル(笠松)、第7回(2007年)キングスゾーン(愛知)と地方勢が2勝。さらに過去10年の成績を見ると2008年キングスゾーン(愛知)3着、2010年マンオブパーサー(佐賀)3着、2012年ラブミーチャン(笠松)2着、2013年コスモワッチミー(高知)3着、2014年ピッチシフター(愛知)2着・タガノジンガロ(兵庫)3着、2015年タガノジンガロ(兵庫)2着と、多くの地方馬が3着以内に健闘しているレース。馬券検討では地方馬も視野に入れておくべき1戦です。

 兵庫のエイシンヴァラーは今回のメンバーで唯一のダートグレード競走ウイナー。3月の黒船賞でJRA勢を撃破したのは記憶に新しいところ。その後、かきつばた記念4着、プロキオンS12着という成績ですが、タイトルホルダーの名にかけても積極的な競馬で上位争いをして欲しい存在。

エイシンヴァラーは今回のメンバーで唯一のダートグレード競走ウイナー(写真は18年黒船賞優勝時、提供:高知県競馬組合)


 エイシンバランサーはエイシンヴァラーと同じ新子雅司厩舎からのもう1頭。転入2戦目の笠松・サマーC(OP)で1着。JRA時代は3月のコーラルS(OP・阪神ダート1400m)でモーニンの5着があるなど、ダートのオープン戦で戦っていた実力馬。こちらも怖い存在。エイシンヴァラーと2頭出しで、2007年キングスゾーン以来11年ぶりの地方馬による制覇を目指します。

エイシンヴァラーと同じ新子雅司厩舎所属のエイシンバランサー(写真は18年サマーC優勝時、撮影:稲葉訓也)


 地元佐賀勢はJRA時代は芝のオープン戦で戦っていたオウノミチをはじめ、昨年7着のマサヤらが出走。どこまで上位に食い込めるか期待しましょう。

 混戦模様の今年のサマーチャンピオン。JRAの5歳馬3頭、ヨシオ、ルグランフリソン、タイセイエクレールの三つ巴か!? 兵庫の2頭エイシンヴァラーとエイシンバランサーが上位に食い込むか!? それとも!? 真夏の九州・佐賀競馬場での熱き戦いをお見逃しなく!

※次回の更新は8月14日(火)18時。翌日に盛岡競馬場で行われる「クラスターC」のコラムをお届けします。


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埼玉県出身。フリーアナウンサー。競馬好きが高じてこの世界へ。2001年から15年間、グリーンチャンネルで「中央競馬全レース中継」のキャスターを務める。2016年度から「グリーンチャンネル地方競馬中継」のコメンテーターとして出演。さらに全国各地の競馬場のトークイベントに参加するなど、中央競馬・地方競馬の垣根を越えて活躍中。

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