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豪州で新シーズンがスタート フレッシュマンサイヤーの称号はどの馬に

  • 2018年08月15日(水) 12時00分


◆ブックメーカー1番人気は大種牡馬リダウツチョイスの近親

 先週のこのコラムでは、終了したばかりのオーストラリアにおける2017/2018年シーズンの、リーディングサイヤーランキングの検証を行った。シーズンが終了したということは、当たり前のことだが、新しいシーズンがスタートすることを意味しており、オーストラリアの馬産界では今、2018/2019年シーズンのフレッシュマンサイヤー・チャンピオンになるのはどの馬か、という話題で盛り上がっている。

 これを賭けの対象として売り出しているブックメーカーのクラウンベットが、オッズ3倍で1番人気に掲げているのが、クールモア・オーストラリアで供用されているルービック(父エンコスタデラーゴ)だ。

 母スライディングキューブがランドウィックのG3サンドメニコS(芝1000m)勝ち馬で、母の8歳年上の半兄に大種牡馬リダウツチョイスがいるという血統背景をもつルービック。ジェラルド・ライアン厩舎に所属した現役時代は、8戦して3勝。2歳の1月にランドウィックのメイドン(芝1000m)でデビュー勝ちを飾ると、続くコーフィールドのG3ブルーダイヤモンド・プレリュード(芝1100m)も勝って重賞制覇。しかし、続くG1ブルーダイヤモンドS(芝1200m)では4着に敗れて初黒星を喫し、2歳シーズンを終えている。

 3歳初戦となったコーフィールドのG2スキラッチS(芝1000m)を制して2度目の重賞制覇を果たしたが、結果的にはこれが現役生活最後の勝ち星となった。2015年に種牡馬入りし、2016年に生まれた初年度産駒は158頭を数える。今年1月に開催されたマジックミリオン1歳市場で、父ルービック・母アワソングバードの牡馬が47万ドルで購買されたのをはじめ、マーケットでも産駒が高く評価されている。

 クラウンベットが、3.2倍という差のないオッズで2番人気としているのが、ニューゲート・スタッドで供用されているディープフィールド(父ノーザンメテオ)だ。

 殿堂入り調教師ジョン・ホーキスの管理下にあった現役時代は、2歳時から3歳時にかけて8戦。デビューは2歳の6月と決して早くはなかったが、3歳の11月にフレミントンのG2リンリスゴーS(芝1200m)を制するまで、無傷の5連勝を果たしている。この間、2着馬につけた着差の合計は24馬身にものぼるから、強烈なパフォーマンスを続けての連勝であった。

 中でも圧巻だったのが、3歳初戦となったカンタベリーのハンデ戦(芝1100m)で、ここを5.1/2馬身差で制した際の同馬の勝ち時計1分3秒04は、トラックレコードだった。デビュー6戦目となったフレミントンのG1ライトニングS(芝1000m)で3着と敗れ、連勝がストップ。以降、勝ち星を挙げることは出来なかった。

 ちなみに、同馬の1歳年下の全弟がG1コーフィールドギニーズ(芝1600m)勝ち馬シューティングトゥウィンだから、ディープフィールドからもマイルまではこなす馬が出ておかしくはなさそうだ。

 また、ディープフィールドの父ノーザンメテオは、2017/2018年シーズンにフレッシュマンサイヤー・チャンピオンとなったズースターの父でもあり、このあたりも、ディープフィールドのセールスポイントとなっている。更に、2016年に生まれた同馬の初年度産駒は190頭もおり、このうちの1頭である母レゲエの牡馬は、今年1月のマジックミリオン1歳市場にて67万5千ドルで購買されている。

 そして、クラウンベットがオッズ5倍で3番人気に推すのが、ダーレー・オーストラリアで供用されているブレイズンボウ(父アイアムインヴィンシブル)だ。

 クリス・ウォーラー厩舎から2歳の2月にデビューしたブレイズンボウの、現役時代の成績は12戦5勝。2歳の5月にドゥームベンのG2シャンパンクラシック(芝1200m)を制し重賞初制覇。3歳時には、フレミントンのG1クールモアスタッドS(芝1200m)、同じくフレミントンのG1ニューマーケットH(芝1200m)という2つのG1を含めて3重賞を制し、3歳牡馬チャンピオンの称号を手にしている。

 オーストラリアにおける3歳シーズン終了後に、イギリス遠征を敢行。ロイヤルアスコットのG1ダイヤモンドジュビリーS(芝6F)で2着に好走した後、ニューマーケットのG1ジュライC(芝6F)では7着に敗れ、現役生活にピリオドを打っている。

 2015年にダーレー・オーストラリアで初供用されると、以降は毎年、イギリスのダルハムホール・スタッドとの間をシャトルしながら種牡馬生活を送っている。

 今年4月に行われたイングリス・イースター1歳市場で、父ブレイズンボウ・母プリティペニーの牝馬が70万ドルで購買されており、初年度産駒のマーケットにおける評価は上々だ。

 ただし、初年度産駒の数が86頭と、ルービックやディープフィールドに比べると少ないのが、フレッシュマンサイヤーズ・チャンピオンを巡る争いでは不利な材料となっている。

 新たなシーズンを迎えたオーストラリアの2歳戦にも、ぜひご注目いただきたいと思う。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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