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カネヒキリの怪物度

  • 2005年07月11日(月) 17時48分
 7月13日大井「ジャパンダートダービー」。シーチャリオットの離脱。確かに大きな不幸だが、いざ気持ちが落ち着いてみると、記者の本心、何やらホッとしたような部分もないではない。お楽しみはまだ先でいいこと。その前にJRA・3歳勢の絶対能力を冷静に確かめたいこと。いずれにせよ、今回焦点はカネヒキリの“怪物度”に尽きるだろう。その強さが絶対的なものか、それとも多分に偏差値的か。大井2000mは初コースの馬には厳しい舞台。深いダートへの対応力はもちろん、レースへの集中力、機敏さなど、精神面も同時に問われる。

ジャパンダートダービー(サラ3歳選定馬 定量 交流GI 2000m)

◎カネヒキリ    (56・武豊)
○メイプルエイト  (56・張田)
▲ドンクール    (56・熊沢)
△アグネスジェダイ (56・小牧太)
△マズルブラスト  (56・内田博)
△ボンネビルレコード(56・的場文)
△ブラウンコマンダー(56・左海)
 プライドキム   (56・池添)
 コンゴウリキシオー(56・藤田)

 カネヒキリはダート4戦4勝。期待ほど派手なパフォーマンスにならなかった前走ユニコーンSだが(1.1/2馬身差)、むしろここに同馬のエッセンスが出ていると考えた。出遅れ気味のスタート、しかしあわてず騒がず3番手。直線アグネスジェダイを交わすタイミングも絶妙で、とにかく終始鞍上の指示通り動いている。漠然とした印象点でいうなら、現時点の基本能力は2002年のゴールドアリュールと同レベル。競馬センス、完成度で一枚上手…あたりになるか。軽いスピード型とは思えず、大井2000mでも減点は少ないだろう。お手並み拝見。チャリオットのイメージをダブらせつつレースをみたい。

 メイプルエイトは、羽田盃→東京ダービー、いずれもしぶといレースぶりで南関東No.2が確定している。何度戦っても結果が同じというこのパターン。確かに新鮮味は乏しいが、例えばジョージタイセイ世代のコンサートボーイ、キャニオンロマン世代のサプライズパワーなど、意外なほど全体のハイレベルを示してきた。ドンクール、アグネスジェダイ、比較しづらい相手だが、この程度ならホームの利を含め好勝負を期待する。以下、少し恵まれてマズルブラスト、ボンネビルレコード。シーチャリオットを筆頭に今季話題を席巻した「ダーレー」だったが、ブックオブケルズが消え、ナイトスクールが消え、総決算には結局1頭も残らなかった。改めて競馬は“無常”と思い知る。

       ☆       ☆       ☆

スパーキングレディーC(7月6日川崎 サラ3歳上牝馬 別定 交流GIII 1600m不良)

○(1)トーセンジョウオー(56・後藤)  1分40秒6
△(2)オルレアン    (55・中舘)  1
▲(3)グラップユアハート(56・安藤勝) 1
△(4)エターナルハピネス(55・的場文) 1
 (5)ベルモントパティ (55・御神本) 3/4
……………………………
△(6)レマーズガール  (57・武豊)
◎(11)ジターナフォンテン(55・左海)
△(13)ジーナフォンテン (57・内田博)

単490円 馬複1780円 馬単3380円
3連複1620円 3連単10780円

 トーセンジョウオーが、好位から鮮やかな差し切りで重賞3勝目をモノにした。オルレアンの逃げは1000m通過60.3秒、道悪らしいハイペース。同馬はその4番手をキープし、直線外に進路をとった。文句なしの瞬発力。着差1馬身という以上に“突き抜ける”感じがあった。「スタート直後他馬とぶつかりヒヤッとしたが、その後しっかり走ってくれた。前走(マリーンC)とは内容が全然違うし、大きな収穫がありました」(後藤騎手)。改めてビデオをみると、オルレアンが外に切れ、そのアオリで複数の馬が大きな不利を受けている(中舘騎手・戒告)。トーセンジョウオーはまったく闘志が途切れなかった。堂々たる横綱相撲。勝因はデキのよさ、コース適性に尽きるだろう。ただ1600m・1分40秒6は高速馬場を割り引いてもひとまず合格。地方主導の牝馬Gロードに限れば、“主役交替”といってもいい。

 オルレアンは結果的に鞍上の強気が当たった。いささか行儀の悪い競馬だったが、スタート蛇行を別にすると徹底先行が馬に合う。グラッブユアハートはいつもより早め早めの好位追走、直線案外伸びなかった。本質的にじっくり乗ってカウンターを狙うタイプか。道悪だけに鞍上の判断は責められない。「今日は返し馬から雰囲気がよくなかった」(武豊騎手)というレマーズガール。ともあれ馬自身すでに平行線の戦力で、他馬の成長を考えると今後も楽観できないだろう。期待したジターナフォンテンは中団からジリ下がり。パドック、返し馬とも何やら少し重くみえたが(2キロ増)、ごく客観的に現状では力不足。記者の買いかぶり、見込み違いと反省する。エターナルハピネスはスタート不利を直線インから巻き返した。無欲で乗ったベルモントパティとともに、次走の前進は間違いない。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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