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世界各国のG1馬を輩出する欧州最高のマーケット、今年は日本の競馬ファンも見逃せない

  • 2018年08月22日(水) 12時00分


◆パキスタンスター半妹、タワーオブロンドン半弟など上場予定

 10月9日(火曜日)から11日(木曜日)まで、イギリスのニューマーケットで行われる「タタソールズ10月1歳セール」のカタログが完成した。

 ヨーロッパで最高の品揃えを誇るマーケットだけに、出身馬の成績も素晴らしく、今季も既に世界各国で10頭以上のG1勝ち馬が出ている。

 ヨーロッパ3歳クラシック戦線では、G1愛ダービーを制したラトローブ(牡3、父キャメロット)が、16年の当セールにて6万5千ユーロ(当時のレートで約874万円)で購入された馬だ。同じ3歳世代では、ロイヤルアスコットのG1セントジェームスパレスS(芝7F213y)を制したウイズアウトパロール(牡3、父フランケル)も、やはり16年の当セールにて購買されており、こちらは65万ギニー(約8763万円)という高額馬だった。

 古馬戦線でも、様々な距離カテゴリーにおけるトップホースが、タタソールズ10月1歳市場の出身馬だ。

 ロイヤルアスコットのG1キングズスタンドS(芝5F)を制し、スプリント路線の最強馬の1頭となっているブルーポイント(牡4、父シャマーダル)が、15年の当セールにて20万ギニー(当時のレートで約3864万円)で購買された馬だ。

 マイル路線では、ロイヤルアスコットのG1クイーンアンS(芝8F)を制したアクシデンタルエージェント(牡4、父デレゲイター)もまた、15年の当セールにて購買されているのだが、こちらはなんと8千ギニー(約155万円)という超お値打ち価格で落札された馬であった。

 更に、7月にカラで行われたG1プリティポリーS(芝10F)を制したアーバンフォックス(牝4、父フォックスウェッジ)も、15年の当セールにて購買されているのだが、こちらも購買価格は1万ギニー(約194万円)というバーゲンプライスであった。

 G1プリンスオヴウェールズS(芝9F212y)、G1キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(芝11F211y)を制し、欧州中距離路線の最前線に躍り出るとともに、世界ランキングでも第2位に浮上したポエツワード(牡5、父ポエツヴォイス)が、14年の当セールにて30万ギニー(当時のレートで約5418万円)で購買された馬だし、ロイヤルアスコットのG1ゴールドC(芝19F210y)、G1グッドウッドC(芝16F)を連覇し、長距離路線の絶対王者として君臨するストラディヴァリウス(牡4、父シーザスターズ)も、15年の当セールにて33万ギニー(約6376万円)で購買された馬であった。

 様々な価格帯から、多種多彩な活躍馬が出ている「タタソールズ10月1歳セール」の、今年のカタログ記載馬は519頭。このうち47頭が、G1勝ち馬の弟か妹で、母がG1勝ち馬かクラシック勝ち馬という馬も18頭含まれているという、相変わらずの豪華な品揃えとなっている。

 種牡馬別でみると、フランケルが25頭、ガリレオとドゥバウィがいずれも21頭と、いわゆる「御三家」の産駒だけで67頭を数える。

 ガリレオ産駒では、昨年G1愛ダービー(芝12F)とG1セントレジャー(芝14F115y)の2冠を制したカプリの全妹にあたる上場番号333番の牝馬や、15年にG1凱旋門賞(芝2400m)を含む4つのG1を制し、欧州年度代表馬となったゴールデンホーンの半弟にあたる上場番号371番の牡馬などが、ことさらに購買者たちの熱い視線を集めそうである。

 ドゥバウィ産駒では、母がG1英千ギニー(芝8F)を含む4つのG1を制したスカイランタンという上場番号120番の牡馬や、G1英千ギニー(芝8F)など3つのG1を制したレガティッシモの半弟にあたる上場番号202番の牡馬、母がG1ドバイシーマクラシック(芝2410m)など3つのG1を制したダーレミという上場番号325番の牡馬などが、激しい争奪戦の的となるはずだ。

 そしてフランケル産駒では、G1インターナショナルS(芝10F56y)など3つのG1を制したリップヴァンウィンクルの半弟にあたる上場番号462番の牡馬あたりが、注目の存在となりそうである。

 初年度産駒である今年の2歳世代から、来年のG1英二千ギニーの前売り本命の座にあるカリークス(牡2)が出現し、大ブレークの兆しがあるキングマンの産駒も、31頭がエントリー。G1コロネーションS(芝7F213y)など2つのG1を制したリジーナの半妹にあたる上場番号107番の牝馬、今年7月のG1サンクルー大賞(芝2400m)を含めて2つのG1を制したヴァルドガイストの半弟にあたる上場番号185番の牡馬などが、注目のキングマン産駒である。

 今年の1歳馬が初年度産駒となる新種牡馬では、15年にG1ジュライC(芝6F)など4つのG1を制し、欧州スプリントチャンピオンの座に就いたムハーラーの産駒が、30頭エントリー。G1ダイヤモンドジュビリーS(芝6F)など2つのG1を制したザティンマンの半弟にあたる上場番号32番の牡馬や、G1香港カップ(芝2000m)を含めて5つのG1を制したアレグザンダーゴールドランの半弟にあたる上場番号214番の牡馬など、ムハーラー産駒も充実のラインナップが揃っている。

 あるいは、15年の欧州年度代表馬ゴールデンホーンの初年度産駒も、18頭がエントリー。香港における17/18年シーズンのチャンピオンステイヤーに選出されたパキスタンスターの半妹にあたる上場番号13番の牝馬や、今年日本でG3アーリントンC(芝1600m)を制したタワーオブロンドンの半弟にあたる上場番号122番の牡馬などは、日本の競馬ファンにも行方が気になるゴールデンホーン産駒馬であろう。

 欧州における最高の1歳馬マーケットで、どんな商いが展開されるか、注視したいと思っている。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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