●ショウナンダニエル(牡 栗東・高野友和 父Kingman、母Phiz)
昨年の仏アルカナ1歳セールにて34万ユーロ(当時の邦貨で約4400万円)で落札された。母Phizは「Galileo×Surumu」という組み合わせのドイツ産馬で、現役時代はパークヒルS(英G2・14f132yds)で2着となるなど芝中長距離を得意とした。父KingmanはInvincible Spiritの最高傑作で、現役時代に愛2000ギニー(G1)、セントジェームズパレスS(英G1)、サセックスS(英G1)、ジャックルマロワ賞(仏G1)と欧州マイルG1を4連勝。
2014年にカルティエ賞年度代表馬に輝いた。母Zendaは仏1000ギニー馬。これも名種牡馬であるOasis Dreamの甥にあたり、なおかつ父系も同じなので、同馬とKingmanは血統構成の50%が同一。種牡馬として成功しないわけがない、という傑作だ。今年の2歳世代が初年度産駒で、6月19日に英アスコット競馬場で行われた今年最初の2歳重賞、コヴェントリーS(英G2・芝6f)を産駒のCalyxが制覇して幸先のいいスタートを切った。
日本ではヨークテソーロとダノンジャスティスの2頭が出走し、いずれも新馬勝ちを果たしている。仕上がり早のスピード血統で、初戦から能力を発揮できるのでデビュー戦に注目したい。芝向きのマイラー。
●チャリオット(牝 栗東・松下武士 父Dark Angel、母You've Got It)
2代母Songは不出走馬ながら、Yesterday(03年愛1000ギニー-G1)、Quarter Moon(01年モイグレアスタッドS-愛G1)の全妹にあたる良血。母You've Got Itは未勝利馬。父Dark Angelは2歳時にミドルパークS(英G1・芝6f)を制したスピード馬で、種牡馬入りした当初は注目度が低く、繁殖牝馬のレベルも決して高いものではなかったが、Lethal Force(2013年カルティエ賞最優秀スプリンター)、Mecca's Angel(15、16年ナンソープS-英G1)、Harry Angel(17年ジュライC-英G1、17年スプリントC-英G1)、Persuasive(17年クイーンエリザべス2世S-英G1)など次々と大物を送り出し、17年の英愛種牡馬ランキングはGalileoに次いで第2位。
イギリスを代表する名種牡馬の1頭にのし上がった。これだけの逸材にもかかわらずこれまで輸入された産駒はゼロ。本馬が日本で走る初めての競走馬となる。母は「Sea The Stars×Sadler's Wells×Darshaan」というコテコテのスタミナ血統なので、父Dark Angelのスピードでどこまで動かせるか注目したい。芝向きのスプリンター〜マイラー。
●フォレブルート(牝 栗東・安田隆行 父ロードカナロア、母プリームス)
母プリームスはフジキセキとDeputy Ministerのニックスから誕生し、現役時代にダ1600〜1800mで3勝を挙げた。2代母レジェンドトレイルはシンコウラブリイ(93年マイルCS-GIなど重賞6勝)やハッピーパス(03年京都牝馬S-GIIIの勝ち馬でコディーノ、チェッキーノの母)の半妹にあたる良血。
父ロードカナロアは現3歳世代の初年度産駒から二冠牝馬アーモンドアイ、スプリングS(GII)の勝ち馬ステルヴィオを出し、2世代目は早くもケイデンスコール(18年新潟2歳S-GIII)、ファンタジスト(18年小倉2歳S-GIII)と2頭の重賞勝ち馬を出し絶好調だ。「ロードカナロア×フジキセキ」はマーガレットS(OP)など3戦全勝のアンフィトリテと同じ。芝向きのスプリンター〜マイラーだろう。
●モアナアネラ(牝 栗東・石坂正 父キングカメハメハ、母ジェンティルドンナ)
母ジェンティルドンナは牝馬三冠を含めてGIを7勝、年度代表馬に輝き、JRA顕彰馬にも選出された。本馬が初子となる。母は引退時の馬体重が470kgと、ディープインパクト牝馬にしては大きめだった。一般的に初子は小さく出る傾向があるが、現時点で450kgを切るくらいなので悪くない。
ディープインパクト牝馬が母馬となったときに一番のネックは、総じてサイズの小さな産駒が生まれること。本馬はこの部分をクリアしているので、あとはどのくらいの能力を持っているかが問題となる。「キングカメハメハ×ディープインパクト」はヴァナヘイム(16年京都2歳S-GIII・2着)が出ている。芝向きの中距離タイプ。
●リャスナ(牝 栗東・高野友和 父ディープインパクト、母ココシュニック)
富士S(GIII)を勝ったほか、天皇賞・秋(GI)、大阪杯(GI)、クイーンエリザベス2世C(香G1)でも2着と健闘したステファノス、クイーンC(GIII)2着馬フィニフティの全妹。「ディープインパクト×クロフネ」はこの2頭以外にもシャイニングレイ(14年ホープフルS-GII、17年CBC賞-GIII)、カワキタエンカ(18年中山牝馬S-GIII)、ポルトドートウィユ(15年京都新聞杯-GII・2着)などが出ており、デビューした25頭中20頭がJRAで勝ち上がっている。
本馬は残り4分の1の部分に Mr.Prospector、Buckpasser、Danzigという良質かつディープインパクトと相性のいいアメリカ血統を抱え、ほぼ失敗は考えづらいという配合構成。5月11日生まれだが能力が高いと思われるのでPOG期間中でも十分やれるだろう。