▲最低人気ながら2着に激走したトーセンバジル
(10月4日号 文=ポール・シムズ)
“まるでワープしたような感覚”
メルボルンで先週末に行われた2つのG1レースで、日本産馬がいずれも2着に好走した。
ムーニーヴァレイ競馬場で先月28日に行われたG1モイアステークス(芝1000m、1着賞金50万豪ドル)に出走したブレイブスマッシュ(牡5、ダレン・ウィアー調教師)は、中団やや後方よりを追走し、直線に入ると鋭い末脚で迫ったが、勝ち馬ヴィッドーラ(牝5、父アイアムインヴィンシブル)に1.1/4馬身差及ばず、それでも初の1000m戦で2着と健闘した。
鞍上のヒュー・ボウマン騎手はレース後、「2週間後には、(次走の)ジ・エヴェレスト(10月13日、ランドウィック競馬場、芝1200m)が控えていますが、今日のようなパフォーマンスができればとても大きなチャンスがあると思います」とコメント。
一方、豪州へ移籍後2戦目を迎えたトーセンバジル(牡6、ダレン・ウィアー調教師)は先月29日、コーフィールド競馬場で行われたG1アンダーウッドステークス(芝1800m、1着賞金75万豪ドル)に参戦。最低人気ながらゴール前は猛然と追い込んで、勝ち馬からわずか0.1秒差の2着となった。優勝したのは、今年初めにエイダン・オブライエン厩舎から豪州のリアム・ハウリー厩舎へ移籍したホームズマン(セン4)。
9月15日にフレミントン競馬場で行われたG1マカイビーディーヴァステークス(芝1600m)で11着と大敗し、豪州初戦を勝ち星で飾ることができなかったトーセンバジルだったが、巻き返しを計ったこの2戦目で大きな進化を見せた。
手綱を取ったジョン・アレン騎手は、「最後の末脚はすごかったですね。ゴールまでの残り100mはまるでワープしたような感覚でした」と話した。
トーセンバジルとホームズマンは、10月13日にコーフィールド競馬場で行われるG1コーフィールドステークス(芝2000m)で再び対戦する予定だ。
ウィンクス、28連勝をかけて出走
フレミントン競馬場で10月6日に行われるG1ターンブルステークス(芝2000m、1着賞金50万豪ドル)に、世界ランキング1位のウィンクス(牝7)が出走を予定している。2015年の5月から続いている不敗神話を27まで伸ばしているウィンクスは、史上初となるG1コックスプレート4連覇へ向けた最終ステップレースでの連勝記録更新に、関係者やファンのみならず、競馬界全体から大きな期待が寄せられている。
▲コックスプレート4連覇へ向けたステップレースに出走するウィンクス
そして、ウィンクスの母ヴェガスショウガール(牝16)が先週、ディープインパクトと交配したことが明らかになった。ヴェガスショウガールを所有するジョン・カミラリ氏は、自身が所有する他の繁殖牝馬、アタイムフォージュリア(9歳)とペロン(9歳)とともにディープインパクトと交配を行うため、9月に3頭を日本へ輸送した。
来秋誕生予定の仔馬が牝馬の場合、カミラリ氏がオーナーとして所有し、牡馬の場合は、2年後の豪州イヤリング市場に上場される可能性が高く、歴史的名牝を生んだ母とワールドクラスな種牡馬の夢の配合だけに、世界中のバイヤーが熱い視線を送ることは間違いないと今から断言しておこう。