東京は夏がひと休みしている。先週の梅雨明け宣言以来、逆に真夏日、熱帯夜から解放された。まあしかし、東海以西は連日35度以上の猛暑というから、これで済むわけもないだろう。とりわけ接近中といわれる大型台風7号、これが通り過ぎた頃を想像するとなにやら不気味。そういえば先月28日、観測史上6月最高37.8度(練馬区)が記録された。フェーン現象による猛暑は暴力的という言葉が似合う。いずれにせよ日本の夏、都会の夏は、もはや健康的ではありえない。
ヒートアイランド。昔の夏はこんなに暑く寝苦しかったかと思い出す。普通の家庭に冷房はまだなかった。かわりに昼間はスダレがあり、夜は蚊帳が吊られていた。打ち水などという、素朴で伝統的な対暑策もあったっけ。大きなバケツに氷水とスイカを入れて冷やしておく。夕方が楽しみだった。とにかく自然流の生活で何とか凌げたという記憶がある。今はダメだ。家々が競って熱気を外に出す。戸外でほっと息をつけない。
冷房に弱くなったのは年齢のせいもあるだろうか。電車の中で、車の中で30分も冷やされると決まって体がだるくなる。わが社編集部内も例にもれない。OA機材が多いから、ほぼ一日中キンキン状態を余儀なくされる。この時季、記者はナイター競馬場への出勤が早くなる。内馬場などへ出かけ、芝生にゴロリと寝転んでいたりする。頭の中が白くなるような光と熱気。それでも体調はそのほうがむしろいい。
真夏の食生活。暑さに対して前向きか後ろ向きか、2種類あるという。レバニラ、ウナギ、キムチビビンバなどで対抗するか、それとも、冷や奴、ソーメン、トコロテンなどに逃避するか。記者はここ数年来、後者の方に落ち着いてしまった。中でもソーメンがいいですね。朝からソーメン。シソとミョウガとゴマを大量にぶち込む。清涼感がもちろんいいし、さらにトマトなど添えると栄養不足の気もしない。おろしニンニクを少し入れても案外イケるが、これは体温が上がりそうだ。
近所の沖縄料理店。女性が一人で食事をしている。日テレの松本志のぶアナ風の美人である。豚の角煮とゴーヤーチャンプルで、丼2杯のご飯を食べた。涼しい表情で黙々と箸を使う。けっこう凄い。そのあと豚足(足てびちという)を注文して、それもするりと平らげた。美人がああいうものを食べている光景というのは、なにやら不思議なショックがある。私?私はトーフヨーとソーミンチャンプルをいただき、しかも(アルコール度数が)50度という「どなん」を呑みすぎて、間もなく前後不覚になった。
春ごろ発表された“長期予報”では、今年は冷夏のはずだった。6月以降、少しずつ修正されて、今は「例年並み」に落ち着いている。気象予報士が民間に下り、資格制と改められ、もう10年ほどになるだろうか。あまり変わらないなと正直思う。ユニークな予報など、結局誰もできないということ。天気図を見て、過去に照らして考えれば10人が10人、だいたい同じ予報になってしまう。友人にそんな話をした。友人は笑った。「お天気お姉さんの美人度が上がったんだって。それはそれでいいじゃないの」。さらに追い討ち。「オタクたち競馬の予想者だって、みんなそんな感じにみえるよ」。ごもっとも。他人に皮肉を言う立場ではなかった。
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今週と来週、南関東では重賞がなく、ムダ話を書いてしまった。「2歳馬情報」を続ける。浦和(7月19日)、船橋(7月22日)で、2勝馬が登場した。いずれも完成度が高そうなタイプ。認定権利を持つ以上、JRA馬が手薄なうちに、新潟、北海道への挑戦という選択肢もあるだろう。
▼フリオサクセス(牡、浦和・中矢攻厩舎)
2連勝とも、教科書通りの好位差し。逃げ馬の直後でぴたりと折り合い、鞍上・石崎隆騎手のGOサインと共に力強く競り勝った。475キロ、かっちりまとまった筋肉質の馬体。一見早熟だが、チーフベアハート×シンボリルドルフの血統背景からは、成長力、距離への対応力もそれなりにイメージできる。2戦した800m、48.8→48.3秒の時計は相手なり。競馬センスのよさが頼もしい。
▼グッドストーン(牡、船橋・岡林光浩厩舎)
デビュー2連勝。こちらも2〜3番手から抜け出す競馬で完成度の高さを示した。ディアブロ×コマンダーチーフ。南関東クラシック血統としていいだろう。2戦目1200m・1分17秒4はいかにも平凡だが、時計がかかる馬場だったこと、先頭に立ってソラを使うようなところがあったこと。もまれる競馬をクリアした精神力は強みで、距離延長も現時点で不安ない。メイプルエイト筆頭に勢いがある岡林厩舎。今年も駒がそろっている。