▲あるエピソードから笹川騎手の紳士っぷりも明らかに!
今回はジョッキーとしての悩みについて。デビュー6年目となり、周囲からの期待も強まるなか、自身の課題を乗り越えるために取り組んでいるルーティンを明かします。互いのプライベートについての話題では、木之前騎手が恋愛観を告白。地方ジョッキー同士の結婚が相次ぐなか、その胸の内は? さらに5年後の自分に向けた、ジョッキーとしての決意表明も!(構成:赤見千尋)
仕事にプライベートに悩みは尽きず?
――デビューして5年目、今試行錯誤している部分はありますか?
木之前 わたしは判断が遅い気がするんです。なんでこんなところに行っちゃうんだろうとか。ちょっと優柔不断なんですかね。
笹川 そういうところはあるかもね(笑)。
――でも積極的な騎乗も多い印象です。
木之前 上手くいく時もあるんですけど。昨日3番人気の馬に乗ってて、力のある馬で。ちょっと緊張しちゃったんですけど、勝ててよかったです。
笹川 緊張はするでしょう。僕もけっこう緊張するから。
木之前 うそ〜! 全然顔に出ないじゃん。
笹川 いや、めっちゃしてるって。メンタル弱いから。
木之前 メンタル強くなりたい! 緊張するといつもより体が強張ったりしちゃうし。
笹川 気にしている時点でダメだよね。上手く行く時って考えすぎてないというか、体が自然に反応するから。
木之前 確かに。考えすぎてる時の方が上手くいかない…。
▲笹川騎手の指摘に「確かに。考えすぎてる時の方が上手くいかない…」
笹川 今メンタルトレーニング的なことを自分で調べて勉強してるの。
木之前 なんか赤い色を見るといいって言わない? 気持ちが燃え上がるというか。
笹川 そうなの?
木之前 一時期わたし赤いステッキ使ってた。次、赤使ったら?
笹川 赤は的場さんじゃん。俺、道具は基本青なんだよね。ステッキ自体は黒なんだけど、テープが青。全部青が多いな。最近はメンタル面もだいぶコントロールできるようになって。前はいい時もあれば、全然勝てない時があって波が大きかったんだけど。
木之前 わたしも波は大きい。性格的に、周りの人に流されやすいというか。自分を持ってないんですよね、多分。自分の考えがあるけど、周りに言われるとそうかってなって思っちゃったり。5年目になって、これは正しい正しくないってことが、自分で判断できるようになってきたかな。こう言われているけど、そんなの関係ないなとか流せるようになったから。
――今目指している騎手というのはいますか?
笹川 リーディング上位の人はみんな上手いです。中央の騎手もそうだし、モレイラ騎手もすごいですよね。一緒に乗った時、すごく紳士的で感激しました。
僕、騎乗した後にノートを書いているんですけど、その時に使っている下敷きに、バレットがサインをもらってくれて。それを見るたびに頑張るぞって思えるんです。
▲J.モレイラ騎手が7月に大井で初騎乗(撮影:高橋正和)
木之前 いいな。わたしも最近ノート書き始めた。
笹川 続かない気がしたから、「僕が書くのやめそうになったら、怒ってください」ってバレットに頼んで。なんとか続いてる。今5か月くらい続いてるかな。書かなくても覚えているけど、書くと細かいところまで鮮明に思い出すので。
木之前 細かい部分とかは書いた方がしっかり覚えているよね。
――お2人とも騎乗ノートを書いているそうですが、何がきっかけで始めたんですか?
笹川 モレイラ騎手でもやっているのに、もっと下の自分がなんでやっていないんだろうって思って。
木之前 わたしも似たようなことを言われたのがきっかけです。何か変わるかなって。自分のためになることだし
――ノートを書いているとは、『ギャロップ翼(17年4月〜18年3月)』連載当時にはなかったお話ですね。しかも下敷きを使っているとは、なんだか学生みたいで微笑ましいです。
笹川 ノートも下敷きも、全部バレットさんが用意してくれたんです。バレットって重要ですよね。馬具の準備をしてくれるというだけじゃなくて、精神的にもすごく重要だと思う。僕、今担当してくれている人にすごく助けられていて。レースで上がってきて気が立っている時とかも、バレットさん見て気持ちが鎮まるというか。女性の方にやってもらっているんですけど、女性の前で怒れないなって思うんです。
木之前 紳士!
▲笹川「女性の前で怒れないなって思うんです」 木之前「紳士!」
笹川 いやいやいや! でもホント、気持ちの部分が全然違うかもしれない。
木之前 名古屋はいないから。バレットもいないしエージェントもいないし。同じ競馬だけど、ちょっと違う世界っていう気がする、なんとなく。
――プライベートな話を伺いますが、笹川騎手はご結婚されていますし、同期の中でも既婚の方が多くなってきました。先日、別府真衣騎手もご結婚されましたが、木之前騎手はいかがですか?
木之前 全然ですね。まだ憧れとかも沸かないです。まぁいつかっていうのは漠然とありますけど、今は仕事が楽しいです。
――ジョッキーと結婚する女性騎手も多いですけど。
木之前 わたしは……、イヤですね。
笹川 なんで?
木之前 わたしの考えがあるのに、違う意見を言われたら「ハァ?」ってなっちゃうから(笑)。
▲木之前騎手の意外な一面!?「違う意見を言われたら“ハァ?”ってなっちゃう(笑)」
笹川 確かに、乗り役同士は難しいかもね。俺、家で競馬の話絶対しないもん。
木之前 幼馴染と結婚したんだもんね。それもすごいよ。
笹川 早めに結婚して良かったかなとは思う。そうじゃなかったら遊んじゃってたかもしれないし。
――男性的には遊びたいのでは?
笹川 21歳で結婚して、遊び自体を知らなかったので。いいタイミングだったし、結婚して良かったですね。僕自身は結婚してサポートしてもらえるのがすごくいいけど、木之前の場合は女性だからなぁ。相手にサポートしてもらう感じになるのか、その辺は難しそう。
木之前 そうだよね。朝1時半に起きているし、休みの日も休みたい方が強いからなぁ。今はとにかく仕事が一番です。
5年後の自分に向けて
――デビューの頃に想像した自分と、実際の今の自分というのは?
笹川 上手く行きすぎてますね。ここまで上手くいくとは思っていなかった。本当に周りの方々のおかげです。
木之前 わたしは全然下手だったし、5年後どうなっているかというか、不安でいっぱいでした。当時から比べたら、すごく上手くいっていると思います。わたしも人に恵まれました。
――ここから5年後、どういう自分になりたいですか?
笹川 リーディングを獲りたいです。けっこう周りから言ってもらうので。(坂井)英光さんからも、「これで獲れなかったら、お前の努力が足りない」って。本当にいい環境にいさせてもらって、感謝しています。周りの方々のお陰で今の自分があるので、今は努力を重ねて成長して、5年後にはリーディングを獲れるジョッキーになりたいです。
▲5年後の自分に強い決意「リーディングを獲れるジョッキーになりたい」
木之前 わたし……、あんまり大きなこと言えない。
笹川 言った方がいいでしょう。目指す目標だから。
木之前 消極的かもしれないけど、自信がない。いい時とダメな時の波がありすぎて…。だから、いつでもある程度の基準で乗れたらいいのにっていう。
笹川 それを繰り返して成長するって言われるよ、俺も。
木之前 そんなこと言ってくれる人がいるんだ。羨ましい。
笹川 下がったら上がるしかないって。
木之前 確かに。でも気持ちの持ち方が難しいよね。
笹川 大好きな競馬がつまらなくなるよね。すごく疲れるし。
木之前 そうそう。そのトンネルからなんとかかんとか抜け出してきて。結局、馬に乗るのが好きなんだよね。勝った時の嬉しさは格別なので。
▲日々の迷いも正直に「結局、馬に乗るのが好きなんだよね」
笹川 あの感覚はお金とかじゃないよね。言葉では言い表せないけど、独特な、めちゃくちゃ嬉しい!
木之前 超嬉しい!!
――ではお2人でエール交換をお願いします。
笹川 ここまでやれているのはすごいと思う。このままケガなく頑張って、自分が納得できるような騎乗をしていけば、もっと成績も上がっていくと思うので頑張って!
木之前 翼っちは絶対リーディング獲ると思う。陰ながら応援することしかできないけど、ずっと見てます!
※次回の掲載は10月29日(月)18時予定です
『#祝7152勝キャンペーン〜的場騎手が選んだBEST20 投稿展』を開催!
次開催の大井競馬場では、地方競馬通算7152勝達成を記念して行われた、的場文男騎手にお祝いのメッセージを送るTwitterキャンペーン『#祝7152勝 的場騎手にお祝いのメッセージを送ろう』に寄せられた1千を超える投稿の中から、的場騎手が特にうれしいと感じたBEST20の画像を展示します!
▲展示イメージ
実施日:10月29日(月)〜11月2日(金)
時間:開門〜
場所:L-WING 1階
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