▲メジロドーベルで連覇した吉田豊騎手、京都2200mのポイントとは? (撮影:下野雄規)
GIが行われる舞台を、実際に勝った経験のある騎手やそのコースを得意としている騎手に解説していただくというこの企画。エリザベス女王杯のコース解説をしていただくのは、1998年と1999年にメジロドーベルで連覇を果たした吉田豊騎手です。特に2度目の勝利はドーベルのラストラン。有終の美の思い出を振り返ると共に、コースの攻略ポイントを教えていただきました。
(取材・文:佐々木祥恵)
道中は折り合いに専念できるコース
――メジロドーベルで2度、京都2200mのエリザベス女王杯に優勝していますけど、このコースにはどのようなイメージがありますか?
吉田 例えば中山コースですと、折り合いに専念して道中進んで、手応えがある場合は、3、4コーナーあたりからどこに出そうかなとかいろいろと考えるのですが、京都の2200mでは道中は折り合いだけに専念できるイメージがあります。僕の場合、メジロドーベルだったから余計というのもありますが、道中いかにリズム良く走らせるかというのがあったので、折り合いに専念できるのは良かったですね。
――ドーベルは、前向きな走りをしていましたね?
吉田 そうですね。前向きなので先ほども言ったように、リズム良く走らせて折り合いに気を付けるというのを心がけていました。初めてドーベルで勝ったエリザベス女王杯は1枠でしたので、インでずっと我慢をして、最後は内から伸びてきました。
京都外回りコースは4コーナーを回って直線の入り口が独特の形状をしていますので、中山と違ってゴチャゴチャしませんし、コーナーの遠心力で馬群がバーッと開くので、インで我慢していると内側が開くんです。
2回目に優勝した時にはドーベルの引退レースでもあったので、馬自体はピークではなかったんです。その分折り合いもホントスムーズでしたし、どちらかというと乗りやすいくらいでしたけどね。
▲ドーベルの全21戦の手綱を吉田騎手が握った、写真は1998年のエリザベス女王杯優勝時 (撮影:高橋正和)
――このコースの攻略のポイントは何でしょう?
吉田 枠順と道中の折り合いですね。先ほども言ったように、インで我慢していると内側が開いて直線でバラけますので、直線までいかに脚をためていけるかですね。
――ということは内枠の方が良さそうですね?
吉田 そうですね。良い位置を取りたい馬は、その分枠順に左右されると思います。
――メジロドーベルが最初にエリザベス女王杯を勝った時には、内ラチ沿いを通って上がり33秒5という鋭い脚を使っていましたが、そのような脚を使うにはどのようなレースが理想でしょう?
吉田 ペースにもよりますが、ある程度良い位置のやっぱりインコースに付けているのが1番良いと思います。最後は瞬発力勝負になるでしょうから、道中脚をためられて、一瞬の脚を使えないときついと思います。一瞬の脚があれば、直線に向いた時にパッと開いたところにスッと入れますからね。
一瞬の脚がないと、コーナーを回ってインが開いた時にモタモタしているうちに開いた場所がまた閉まってしまいます。一瞬の脚があると、そこでビュッと入れちゃいますからね。