恐れていた事態に、やはりなった。先週、「接近中の台風が通過した後の猛暑が心配」などと書いたら、翌26日その台風7号が房総半島をかすめ、以後27日からは、うだるような真夏日が続いている。27日、開催初日の川崎競馬は、午後2時過ぎに場内気温37℃を記録したらしい。繰り返しアナウンスがあった。「気温、湿度ともきわめて高い状況ですので、熱中症に十分ご注意のうえ競馬観戦をお楽しみください――」。汗を拭きながらペットボトルの水ばかり飲んでいる。競馬に“熱中”できる環境では正直ない。
「冷房が苦手な方」と先週書いた。矛盾するが、さすがにこの時季の日盛りは、キンキン状態の冷房が恋しくなる。汗だらだらで競馬場のゲートをくぐり、スタンドの冷気に触れるその一瞬。瀕死状態にあった細胞が、にわかに生き返るような快感がある。とりわけ大井競馬場のLウイング(新館)など、外気より10℃以上低温かもしれない(記者の体感)。ただ、不思議なことに、このゾーンは女性客が意外に少ない。そこに“定住”するのは、熟年の男性ファンが大半である。去年もおや…と思ったことだから、偶然ではたぶんない。
そういえばビルのオフィスなど、男性社員と女性社員では、冷房の“温度設定”が違うと聞いた。男性は22℃、女性は26〜28℃。男性が多い職場はどうしても22℃にされてしまうから、女性は真夏にカーディガンをはおり、ひざ掛けを使ったりする。暑さに弱いか、寒さに弱いか。「クールビズ」で一挙に解決する問題でもないだろう。もう一つあげると、夏の通勤、「弱冷房車」。空気が生ぬるくて汗が引かず、記者など敬遠してしまうのだが、女性は好んで乗っている、そういう気がする。最近、私鉄で増えてきた「女性専用列車」、あれはどうなのだろう。やはり設定温度が高めなのか。一度乗って確かめたい。もちろん確かめるには度胸がいるが。
その川崎競馬。連日、牝馬の活躍が目立っていた。とりわけ7月30日は、全10レース中8レースまで牝馬が連対、計14頭が1〜2着という珍しい結果が出た。ダートの地方競馬はおおむね「牡高=牝低」で、それも南関東は、近年牝馬のレベルが相当怪しい。猛暑、酷暑、少なからず因果関係はあるだろう。もっとも、この日は新馬戦が3鞍組まれ、評判の3頭がデビュー勝ち、そのうち2頭が牝馬だった。今週の大井デビュー組も合わせ、次週、そのプロフィールは紹介する。
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サンタアニタトロフィー(8月3日大井 サラ3歳上 ハンデ 南関東GIII 1600m)
◎ケイアイミリオン (52.5・内田博)
○ベルモントストーム (54・石崎隆)
▲スピニングアロー (56・張田)
△ウエノマルクン (56・鈴木啓)
△ベルモントソレイユ (56・御神本)
△ロッキーアピール (56・山崎)
△ブルーオオマサ (54・山田信)
正直“夏枯れ”というメンバーになった。主役を期待されたブルーローレンスが回避(短期放牧・充電)したこと。牝馬勢の大半が前日準重賞「クリスタルナイトカップ」に回ったこと。恵まれたのはJRA・5勝、ドンピシャリのタイミングで転入したケイアイミリオンだろう。前走大井2戦目を4馬身差圧勝。当時1600m・1分38秒3の時計自体が既に重賞レベルに届いている。JRA時は都合5度の長期休養があり、7歳馬ながらまだまだフレッシュ。52.5キロ、内田博幸騎手なら自在に捌いてチャンスをつかむ。
ベルモントストームは期待値が高く、個人的にも好きな馬だが、近況にまだまだ不満。前走テレビ埼玉杯、差して2着がここにつながるかどうか。軽量の相手に先手を打たれると逆転まで難しい。裂蹄が完治したスピニングアロー、底力があるウエノマルクン、展開ひとつの快速馬ロッキーアピール。ここは◎ケイアイ→○ベルモントの1、2着固定、以下▲△5頭に流す、3連単を買ってみる。
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05クリスタルナイトカップ(8月2日大井 サラ3歳上牝馬 ハンデ 準重賞 1600m)
◎アイチャンルック (55・真島)
○セイエイシェーン (53・的場文)
▲カネマサヴィーナス (54・石崎隆)
△マイキャンディー (54・山田信)
△エトワールフルーヴ (52・酒井)
△ナースメイド (52・張田)
△マルダイメグ (54・桑島)
その前日「クリスタル」は、牝馬同士で人気が大きく割れそうだ。狙いはアイチャンルックとみる。昨秋ロジータ記念勝ちはもちろん、遡って黒潮盃2着、アジュディミツオーを差した瞬発力がとにかく強烈。以後の意外なスランプは、押せ押せのローテーションが響いたものなら納得だろう。この相手なら地力上位。今回初コンビの真島騎手だが、プレッシャーのかかる状況でもなく(おそらく3〜4番人気程度)、むしろ白紙で乗れるぶん、持ち味が引き出せるとイメージした。ようやく水に慣れてきた北関東No.1牝馬セイエイシェーン、浦和桜花賞勝ちカネマサヴィーナス、意外性を秘めるマイキャンディー。ここは馬複、馬単で、十分高配当が期待できる。