▲ジェンティルドンナ以来の3歳牝馬でのJC制覇を狙うアーモンドアイ (撮影:下野雄規)
今から6年前の2012年、牝馬三冠を達成したジェンティルドンナは、果敢にもジャパンCへと駒を進めた。初の古牡馬相手のGIだったが、3番人気という支持を得た。結果は、長い叩き合いの末、ハナ差しのいで見事勝利。レース史上初の3歳牝馬による優勝を成し遂げた。しかも、2着に破った相手は前年の三冠馬オルフェーヴル。今年、同じ道を歩もうとしているのがアーモンドアイ。偉大な先輩に次いで、彼女も歴史の道を拓くか。須田鷹雄氏が2頭の名牝を徹底分析する。
(文:須田鷹雄)
騎手も含めて見たときのスタイルに大きな違い
ジェンティルドンナとアーモンドアイ。2頭はともに三冠制覇を成し遂げた強い牝馬同士ではあるが、冷静に見てみるとそのパーソナリティには違いがあるように思える。
まず第一に、2頭は血統的な仕組みが真逆な関係にある。ジェンティルドンナは母ドナブリーニがチェヴァリーパークSなど、6ハロンで活躍した短距離馬。それでいて2400mを楽にこなしたのは、ステイヤー的な資質にも秀でるディープインパクトとの配合だったからだろう。
▲2012年のJC、オルフェーヴルとの叩き合いの末にジェンティルドンナが勝利 (撮影:小金井邦祥)
▲2013年のJCも優勝、レース史上初の連覇を果たしたジェンティルドンナ (撮影:下野雄規)
アーモンドアイは逆に、父ロードカナロアがご存知の通りの短距離馬。母フサイチパンドラは筋金入りのステイヤーというわけではないから、オークスの時点で距離を疑うこと自体は間違いではなかったといまでも思う。仮に全弟全妹を何頭か作ったとしたら、その中には距離に限界のある馬も混ざるはずだ。しかし結果的に、アーモンドアイについては母方が距離延長時のサポートとなった。
スピードとスタミナを父母どちらに頼るのかによって適性も変わるものなのか、それとも最終的に同じところに着地するのかは、正直なところ分からないし、科学的に説明できるものでもないだろう。ただ、結果として2頭の競馬には少し違いがあるようにも見える。