キタサンミカヅキ一歩リードも、門別の怪物なども候補に
今年も残り1カ月を切って、NARグランプリの表彰が気になる時期になった。表彰馬の選定に大きく関わるのが、中央の芝も含めてグレード重賞のタイトルで、今年ここまでにグレード重賞を勝ったのは以下のとおり。
兵庫・エイシンヴァラー(黒船賞JpnIII)
兵庫・エイシンバランサー(サマーチャンピオンJpnIII)
浦和・ノブワイルド(オーバルスプリントJpnIII)
船橋・キタサンミカヅキ(東京盃JpnII)
北海道・アークヴィグラス(エーデルワイス賞JpnIII)
北海道・ウィンターフェル/イグナシオドーロ(北海道2歳優駿JpnIII)
北海道2歳優駿は、ご存知のとおり誤審があり、記録としてはウィンターフェルが1着だが、実際に1位入線していたのはイグナシオドーロということで併記した。
残念ながらここまで地方馬でGI/JpnIを勝った馬はなく、唯一JpnIIを制しているのが東京盃を勝ったキタサンミカヅキ。京都で行われたJBCスプリントでも、キタサンミカヅキは地方馬として唯一見せ場があっての3着。そのほかにもさきたま杯、東京スプリントでの2着もあり、3着以内を一度も外していないという、8歳にして安定した成績もすばらしい。このあとGI/JpnIを勝つ馬が出てこなければ、年度代表馬(4歳以上最優秀牡馬、最優秀短距離馬も)となる可能性はかなり高い。北島三郎さんは昨年、キタサンブラックでJRA賞の年度代表馬を受賞しており、今年はNARグランプリで年度代表馬ということになるかもしれない。
2歳最優秀牡馬/牝馬は、地方馬がJpnIの全日本2歳優駿を勝てばその馬で間違いないが、そうでない場合、牡馬は難しい。前述のとおりJpnIIIのタイトルがウィンターフェルなのかイグナシオドーロなのか。実際に先着しているのがイグナシオドーロで、ほかに重賞勝ち(ブリーダーズゴールドジュニアC)もあるので、イグナシオドーロ優位といえるかもしれない。2頭ともに全日本2歳優駿に出走予定で、勝たずともどちらかが3着以内に入れば、その結果は重視されるだろう。JRAのコスモス賞を勝って札幌2歳Sで2着のナイママも候補になるだろうが、グレードタイトルがないのはちょっと弱い。
2歳牝馬ではエーデルワイス賞を勝って目下重賞4連勝中のアークヴィグラスが実績的に抜けている。
3歳牡馬ではグレード重賞で3着以内に入った馬がなく、羽田盃、東京ダービーの勝ち馬も異なるので難しい。東京ダービーは2着だが、ジャパンダートダービーで地方最先着の4着で、古馬相手のマイルグランプリを勝ったクリスタルシルバーは候補となりそうだ。また12月10日に行われるダービーグランプリを勝った馬が、ほかに地元の“ダービー”のタイトルでもあれば有力候補となるだろう。
3歳牝馬では、JpnIIの関東オークスで2着のゴールドパテック、3着のクレイジーアクセルがまず候補となる。ゴールドパテックは重賞勝ちがないが、グランダム・ジャパン3歳シーズン優勝は大きなアドバンテージ。一方のクレイジーアクセルは牡馬相手の東京湾Cを勝ったということは評価されるだろう。全国交流のロジータ記念を勝ったクロスウィンドには門別・王冠賞勝ちもあり、有力候補となりそう。浦和・桜花賞を勝ったプロミストリープ、東京プリンセス賞を勝ったグラヴィオーラは、それぞれ重賞タイトルがその1つでは候補になるかどうか。今年重賞7勝のサムライドライブも候補にはなりそうだが、全国交流のタイトルがないのがちょっと弱い。
4歳以上牝馬では、JpnIIのレディスプレリュードで2着だったブランシェクールがグレード実績では最上位だが、重賞どころか1勝もしていないところが弱い(TCK女王盃2着は中央在籍時のため評価対象外)。JpnIIIのTCK女王盃3着のラインハートにも勝ち星がない。ならば全国を駆け巡って重賞3勝、グランダム・ジャパン古馬シーズン女王の座を射止めたディアマルコがかなり有力な候補となりそうだ。
4歳以上牡馬は年度代表馬で述べたとおりだが、今シーズン門別で重賞6戦全勝のスーパーステションが、選択肢にあるJpnIIの名古屋グランプリを勝つようなことがあれば有力候補として浮上してくる可能性がある。
最優秀ターフ馬は、前述のナイママか、ジャパンCで7着に健闘したハッピーグリンか。そのハッピーグリンは、世界の舞台とはいえ7着という着順は評価の対象になるのかどうか。とはいえ、中央の芝で条件戦とはいえ2勝を挙げ、オープンの巴賞でも僅差の3着、さらに盛岡の芝重賞・OROカップのタイトルはアピールポイントになる。両馬ともグレード重賞のタイトルがないのがどうかだが、昨年のダブルシャープは、2歳オープンのクローバー賞を勝って札幌2歳S・3着という成績で選出された。
ナイママは、コスモス賞勝ちに札幌2歳S・2着なら、少なくともダブルシャープの成績を上回っている。あとはグレード重賞で入着がないハッピーグリンとの比較ということになりそうだ。NARグランプリの馬の表彰は、『優秀馬選定委員会』で議論のうえ、挙手による多数決で決定されるが、“話題性”ということが加味されるならハッピーグリンだろうか。
ばんえい最優秀馬は、ばんえい記念を含め重賞5勝のオレノココロが断然だ。