8月、お盆どきの一週間とは、記者にとって毎年ホッと安らげる季節である。いや、こういう仕事だから夏休みはとりづらく、どこかへ遠出したりということもほとんどない。ホッとする理由は何か。首都圏の人口密度が、この数日だけ、にわかに低くなるのである。先週土曜日(13日)、大井競馬場への行き帰り、乗車したモノレールの閑散に改めて驚いた(記者は通常京浜急行を利用)。羽田空港→浜松町、夕刻からはガラガラに近いだろう。海外へ、あるいは故郷へ、みなさんすでに旅立っているということ。ヒガミでも負け惜しみでもなく、きわめて快適。ヒートアイランド・トーキョーは、やはり人間が集中しすぎだ。
身勝手な話と断って書く。電車(交通機関)は空いていて、競馬場は活気があることが、記者などの理想パターン。続く不況下、今さらながら馬券売り上げ増は期待できず、しかし、日曜日辺りからファンの出足は戻ってきた。今週は大井→川崎、開催替わりのナイターで重賞2鞍。さらに、15日盛岡「クラスターC」、16日佐賀「サマーチャンピオン」、17日旭川「ブリーダーズGC」と、連日交流重賞の場外発売がある。記者個人は「ブリーダーズGC」に興味が湧く。王者タイムパラドックス、新鋭サカラートのJRA勢に、船橋から移籍した長距離走者アイディンワンダーがどう戦うか。川崎の内馬場、芝生で寝ころびつつ観戦する。真夏の愉しみ。ささやかながらすでに定番となってしまった。
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黒潮盃(8月16日大井 サラ3歳 別定 南関東G2 1800m)
◎ドラゴンシャンハイ(55・石崎隆)
○ブラウンコマンダー(56・張田)
▲ボンネビルレコード(55・的場文)
△マズルブラスト (55・内田博)
△トウケイファイヤー(55・有年)
△フジノウェーブ (55・安藤光)
△キョウエイペガサス(55・山田信)
ベルモントギルダー(55・石崎駿)
ジルハー (55・今野)
ドラゴンシャンハイはデビューから4戦全勝。3戦目に挑戦したJRA500万下(東京)を豪快に差し切り、前走初重賞・東京湾Cも自然流の逃げで圧倒的な強さだった。当時1800m・1分52秒1。軽い馬場にせよ昨年アジュディミツオー(52秒2)と同レベル。仮に今、「南関3歳フリーハンデ」をつけるなら、シーチャリオット、メイプルエイト、そのNo.3当然だろう。「中間裂蹄が出て調整に狂いが生じた。ベストにはもうひと息」(出川龍一師)。依然100%には届かない同馬らしいが、それでもこの状態で、前走も前々走も、“不可能”を“可能”にしてきた。一枚スケールが違う馬と考えたい。抜群の競馬センスと勝負根性が大きな売り。まして鞍上・石崎隆なら、初コースもさして減点にならないだろう。
JDダービー3、4着の、ボンネビルレコード、ブラウンコマンダーの比較は爆発力でブラウンをとった。コマンダーインチーフ×トニービン、小柄でも勝負どころでビュッと切れる。ボンネビルも上昇中だが、現実に1勝馬で、まだ線の細いイメージがある。マズルブラストは羽田盃→東京ダービー3、3着ながら、JDダートで意外な失速。自分のフォームで競馬をして(好位差し)、巻き返しがあるかどうか。記者個人的にはマイラーの印象が拭えない。トウケイファイヤーは人馬とも仕切り直し。道中の折り合いなど、結果より内容優先の競馬になるか。少し捻れば、前走JRA500万下、小差3着と健闘した笠松フジノウェーブ。
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スパーキングサマーC(8月18日川崎 サラ3歳上 別定 南関東G3 1600m)
◎マクロプロトン (53・内田博)
○サンポンド (53・的場文)
▲サクラハーン (55・佐藤隆)
△ティーケーツヨシ(55・酒井)
△マキノヒリュウ (53・山田信)
マクロプロトンは、今季最大の上がり馬だ。年明けからあっという間の8連勝。出発点C1からノンストップでA級まで昇りつめた。ことごとく3〜4コーナー、圧巻の大外まくり。父ヒシアリダーはカコイーシーズと同型で、いかにも血筋を感じさせるパワーがある。前走TRに位置づけられた準重賞「スパーキングサマーチャレンジ」も結果楽勝。1600m・1分40秒8が出ていればオープンの壁など杞憂だろう。鞍上・内田博騎手。毎回いかにも自信にあふれた騎乗とみえる。
サンポンド、サクラハーンの逃げ争い。マクロプロトンが末脚勝負だけに、主導権を取った方がそのまま2着に流れ込む。目下の勢い、ホームの利でサンポンド上位。的場文騎手はこういう競馬でガッツを前面に出してくる。この2頭が予想以上に競り合うと、漁夫の利を得てティーケーツヨシ。実績互角マキノヒリュウは、まだ昨シーズンのデキにないか。マクロプロトンを頭に、→サンポンド→ティーケーツヨシの3連単。いずれにせよ馬券はきっちり絞りたい。