世界の舞台に繋がる全日本2歳優駿
12月19日(水)川崎競馬場で行われる『第69回全日本2歳優駿』。昨年から、日本馬を対象としたケンタッキーダービー出走馬選定ポイントシリーズ「JAPAN ROAD TO THE KENTUCKY DERBY」の構成競走となりました。それに伴って川崎競馬場に今開催17日(月)から「ケンタッキーダービーを感じられる空間」をテーマにした「ケンタッキーラウンジ」が1号スタンド3階にオープン!
「ケンタッキーダービーを感じられる空間」がテーマ(撮影:荘司典子)
ケンタッキーダービーの優勝馬は薔薇のレイが掛けられ、赤い薔薇が公式の花となっています。ケンタッキーダービーが開催されるアメリカ・チャーチルダウンズ競馬場のイメージでデザインされたラウンジ内は薔薇が各所に装飾され、品格あふれる雰囲気。場所はゴール前の特等席で利用料金は1日1000円(ワンドリンク付き)。世界の舞台に繋がる全日本2歳優駿の観戦にぜひ足を運んでいただきたい新しいスポットです(詳しくは
川崎競馬HPをご参照ください)。
雰囲気も良くゆったりと競馬が楽しめる空間に(撮影:荘司典子)
ケンタッキーダービーは赤い薔薇が公式の花(撮影:荘司典子)
JRA、ホッカイドウ競馬、南関東と今年も各地の高レベルな2歳トップホースたちが集結し、文字通り頂上決戦となった今年の全日本2歳優駿。それではJRA勢から見ていきましょう。
上位人気必至なガルヴィハーラは2戦2勝の無敗馬。昨年の覇者・ルヴァンスレーヴと同じ萩原清厩舎所属で、前走・プラタナス賞(東京・2歳500万下)から3戦目でここというローテーションも同じ。ルメール騎手が騎乗して駒を進めてきたガルヴィハーラ、メイクハッピー、デルマルーヴル3頭の中から今回この馬に騎乗。スタートの出が遅く後方からの競馬になりがちという不安材料はありますが、ルメール騎手が馬群をどう捌いてくるか注目です。
C.ルメール騎手が騎乗するガルヴィハーラ(写真は18年プラタナス賞優勝時、撮影:下野雄規)
前走・兵庫ジュニアグランプリを制したデルマルーヴル。デビュー戦は4着でしたがその後はここまで3連勝中。スタートが遅めの上に、兵庫ジュニアグランプリではスタート直後、隣の馬にぶつけられるという不利もあって位置を下げての競馬に。道中も外を回らされ決してスムーズなレース運びではありませんでしたが、徐々に位置を上げ最後の直線だけで他馬を突き放してゴール。くじけない精神力の強さと、小回りコースを経験して掴んだダートグレード競走のタイトルは大きな意味があり、ここでも中心視。鞍上は初コンビのミルコ・デムーロ騎手。騎手自身の連覇もかかっています。
重賞連勝を狙うデルマルーヴル(写真は18年兵庫ジュニアグランプリ優勝時、撮影:稲葉訓也)
牝馬メイクハッピーも2戦2勝の無敗馬。スタートが良く2戦ともまさに「テンよし、中よし、終いよし」の大人びたレースぶり。まだ荒削りな馬が多い2歳馬たちの中でこれは大きなアドバンテージ。2枠2番からどんな戦法に出るか目が離せません。鞍上はクリスチャン・デムーロ騎手。兄ミルコ・デムーロ騎手との兄弟対決にも注目。
すでに完成度の高いメイクハッピー(写真は18年カトレア賞優勝時、撮影:下野雄規)
ノーヴァレンダは牝馬ダートグレード戦線で活躍しているブランシェクール(TCK女王盃2着・レディスプレリュード2着)の全弟。姉同様500kgを超える大型馬で、初の小回りコースへの対応がポイント。ここまで2番手からの競馬で2連勝中で、7枠12番からの位置取りも鍵となりそう。
500kgを超える大型馬ノーヴァレンダ(写真は18年もちの木賞優勝時、(c)netkeiba.com)
ショウナンガナドルは6戦2勝(うちダートでは3戦2勝)とJRA勢の中では一番キャリアが豊富。2勝はともに1200mで、初めてのダート1600mが果たしてどうか? 2走前・オキザリス賞ではデルマルーヴルの3着に敗れており、巻き返しなるでしょうか。
キャリアが豊富なショウナンガナドル(写真は18年2歳500万下優勝時、撮影:下野雄規)
虎視眈々と制覇を狙う地方馬たち
2013年ハッピースプリント以来の勝利を目指す地方所属馬たちもバラエティーに富んだ強豪が揃いました。
中でも大注目は3戦3勝無敗・船橋のミューチャリー。すべて2着以下に大きな着差をつけての勝利。中でも前走・鎌倉記念は1500mで1分33秒6という鎌倉記念レコードでの勝利。これは同日、同距離で行われた古馬のレース(道志川特別A2・B1)の勝ちタイム1分34秒8より1秒2も早く、しかもゴール前は追わずに持ったままで叩き出したもの。この馬のポテンシャルの高さを考えると、JRA勢をあっさり撃破する可能性も大。父パイロはハセノパイロを始め地方競馬で活躍馬を輩出。さらに祖母ゴッドインチーフはプリモディーネ、トゥザヴィクトリー、ウメノファイバーらとともに1999年のJRA牝馬クラシック戦線を彩った1頭。血統的魅力も充分で、今回の地方勢の大将格と言っていいでしょう。
ハッピースプリント以来の地方馬による制覇を狙うミューチャリー(写真は18年鎌倉記念優勝時、撮影:高橋正和)
前走・北海道2歳優駿で一騎打ちを演じたイグナシオドーロとウィンターフェルも注目の2頭。イグナシオドーロは7月のブリーダーズゴールドジュニアCで重賞初制覇。スタートが早い逃げ馬で、3枠3番に入った今回もおそらくレース展開の鍵を握る馬。鞍上・阿部龍騎手は「状態面は自信を持って臨めそう。あとは馬の力を出し切ることだけを考える」とコメント。自分の競馬に徹しどこまで粘れるか、その走りに期待です。
ウィンターフェルは芝に挑戦したコスモス賞(札幌・OP・7着)を除けば、ダート戦でオール連対。今回鞍上には南関東競馬を知り尽くした森泰斗騎手を迎えています。
ホッカイドウ競馬勢でもう1頭。5戦4勝【4-1-0-0】のエムオータイショウはサッポロクラシックC、イノセントCを含む現在3連勝中の勢いある存在。さらに川崎のヒカリオーソは鎌倉記念で4着ののち平和賞を勝利。父フリオーソが制した舞台での走りに注目です。
甲乙つけがたい好メンバーが揃った今年の全日本2歳優駿。「川崎から世界へ」という意味ではこれまでも1997年の勝ち馬アグネスワールドはのちにフランスのアベイ・ド・ロンシャン賞、イギリスの伝統の一戦ジュライCを制覇。1999年の覇者アグネスデジタルは香港Cを制覇。2002年の覇者ユートピアはドバイのゴドルフィンマイルを制覇するなどすでにこのレースの勝ち馬たちが海外で結果を出しています。名実ともに世界への架け橋となる、川崎から世界を目指す2歳ダートチャンピオン決定戦。若駒たちの輝かしい未来を見据えた戦いに心が躍ります。
※次回の更新は12月23日(祝・日)18時。翌日に名古屋競馬場で行われる「名古屋グランプリ」のコラムをお届けします。 ■
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