2020年イギリスダービーの第一次登録馬が発表される
大挙75頭登録クールモア勢に対し、日本産馬も面白いメンバー
現在の1歳世代が走る、2020年6月6日に行われる第241回G1英国ダービー(芝12F6y)の第一次登録が12月4日に締め切られ、その登録馬リストが12日(水曜日)にエプソムダウンズ競馬場から発表された。
10月に行われたタタソールズ・オクトーバーセールにて、350万ギニー(当時のレートで約5億4400万円)の最高値で購買された父ドゥバウィ・母ダーレミの牡馬など、総勢で356頭の登録があったことが明らかになった。
種牡馬別に見ると、リーディングサイヤー・ガリレオの仔が56頭登録されて断然の首位で、以下、今年2歳の初年度産駒からG2カルヴァドス賞(芝1400m)など2重賞を制したビヨンドリーズン(牝2)が出たオーストラリアが24頭、現在の1歳世代が4世代目の産駒となるフランケルが22頭と続く。
馬主別で見ると、75頭を登録したクールモアのパートナーシップが、こちらも断然の首位。以下、シェイク・ハムダンが22頭、アガ・カーン殿下が19頭と続く。唯一獲っていないクラシックがこのレースで、英ダービー制覇が悲願となっているエリザベス女王も、母が準重賞勝ち馬ゴールデンストリームの牡馬(父ドゥバウィ)をはじめ、5頭をエントリーしている。
そして、356頭のリストには4頭の日本産馬も含まれているので、順次ご紹介していこう。
父ディープインパクト・母ドバウィハイツの牡馬は、社台ファームの生産馬だ。G1ゲイムリーH(芝9F)、G1イエローリボンS(芝10F)という2つのG1を制している母の5番仔で、18年のセレクトセール1歳部門に上場されたところ、(株)サトミホースカンパニーが1億8千万円(税抜)で購買。英国のマイケル・スタウト厩舎からデビューすべく、10月3日に既に日本を離れている。
父ゴールドシップ・母シーギリヤガールの牝馬は、ビッグレッドファームによる生産馬。札幌のオープン特別すずらん賞(芝1200m)を含む4勝を挙げた母の2番仔にあたり、現役時代に6つのG1を制した父ゴールドシップの初年度産駒の1頭となる。
父アサクサキングス・母シプカクラッチュの牡馬は、田中春美牧場の生産馬。G1菊花賞(芝3000m)勝ち馬である父の、5世代目の産駒の1頭となる。今年8月のHBAサマーセールに上場されたところ、ビッグレッド傘下のブルースターズファームに410万円(税抜)で購買されている。英国ダービー制覇が夢の1つと公言する岡田繁幸氏の組織からは、毎年のように同競走への登録があるが、今年のエントリーがゴールドシップとアサクサキングスというのは非常に興味深いチョイスである。
父ディープインパクト・母キスドバイエンジェルズ(その父ガリレオ)は、クールモアによる日本における自家生産馬だ。エイダン・オブライエン厩舎から3歳4月にデビューし、初戦のメイドン(芝8F)で2着に敗れたにも関わらず、次走はG3デリンズタウンスタッド千ギニートライアル(芝8F)に挑み、見事に制して重賞で初勝利を挙げたのが、本馬の母キスドバイエンジェルズである。
その後のG1愛千ギニー(芝8F)、G1愛オークス(芝12F)ではいずれも大敗し、4戦しただけで現役を退くと、16年に日本で繁殖入り。ディープインパクトを受胎し、17年2月7日にノーザンファームで生まれたのが、20年の英ダービーに登録された牡馬だ。同馬は17年11月14日に日本を出国し、愛国に渡っている。
ちなみに、キスドバイエンジェルズの1歳年下の全妹で、16年に5つのG1を制しカルティエ賞年度代表馬に選出されたマインディングも、現在日本におり、初仔となるディープインパクトの仔を受胎中だ。20年の英ダービー登録馬356頭には、英国産のロードカナロア産駒も1頭含まれている。
ファハド殿下のカタール・レーシングが所有する、父ロードカナロア・母リップルスメイド(その父ダンシリ)の牡馬で、同馬の母は英国で現役生活を送り、LRヘンリージーS(芝6F17y)、LRフラングフィリーズS(芝6F)と2つの準重賞を含めて6勝を挙げている。英国で3シーズンにわたって繁殖生活を送った後、14年から拠点を日本に移し、15年に産んだ日本における初仔が、今年のG1秋華賞(芝2000m)2着馬ミッキーチャームである。
今年の2歳世代にも父ディープインパクトの牡馬(競走馬名ダノンバリアント)がいて、16年の種付けシーズンにはロードカナロアを交配されて受胎。リップルスメイドは17年1月17日に日本を離れ、同年3月10日に英国で産んだのが、英ダービーに登録された牡馬である。
彼らのデビューは、まだ早くても数か月先のことで、クラシックを走るのを見るまでには1年半近く待たなくてはならないが、その動向を出来るだけフォローしていきたいと思っている。