▲負傷の度に心折れずに立ち上がってこれた理由とは?(撮影:高橋正和)
地方競馬最多勝利記録を更新し、“日本一の騎手”となった的場文男騎手のルーツやターニングポイントに迫る短期集中連載。第2話はジョッキー人生で幾度となく経験してきたというケガの歴史ついて。ケガが付きものの職業と頭では理解しつつも、「ものすごく悔しかったケガは2つある」と言う的場騎手。今もなお身体に残る傷をうち明けつつ、心折れずにジョッキーを続けてこられた理由を明かしてくれました。(取材・文:不破由妃子)
歯を失い、内臓破裂…それでも「馬に乗れる喜びしかない」
──ターニングポイントといえば、大きなケガも何度かありましたね。
的場 骨折も10回以上したし、歯がなくなったり、内臓が破裂したり。今考えると、けっこうひどい目に遭ってきましたよ(苦笑)。なかでも、ものすごく悔しかったケガが2つあって、ひとつ目はレースで落馬して馬に顎を蹴られた事故。上の歯が9本抜けて、顎は複雑骨折でグラグラだった。4コーナーでの出来事だったんだけど、フッと見たら、砂の上に自分の歯がいっぱい落ちていてね。朦朧としながらも、泣きながら拾いましたよ。しかも、最初に運ばれた病院では、「うちでは治療しきれない」と匙を投げられた。
──その後、治療はどうされたんですか?
的場 大学病院に転院したんですけど、下の歯は顎の骨がやられているからインプラントはできなくて、上だけインプラントにしました。3〜4カ月でレースには復帰したけど、結局、治療が全部終わるまでには2年くらいかかったかな。でね、ついこの前、川崎でレースに乗っているとき、歯を食いしばりすぎてそのインプラントが取れちゃったんですよ。後で探しに行ったんだけど、いまだに見つからない。だから今、歯がないの(笑)。ほら、見て。
▲「ついこの前、インプラントが取れちゃったんですよ。だから今、歯がないの(笑)」
──あ、ホントですね(笑)。笑い事ではありませんが。
的場 そうだよ、笑い事じゃない(苦笑)。もうひとつの大きなけがはその4年後、パドックで馬に蹴られて、脾臓と腎臓が真っ二つに割れたんです。
──新聞などでも大きく報じられたので覚えています。
的場 たしか2時ごろのレースだったと思うけど、もうね、苦しいのなんのって。なにしろ内臓が破けて、肋骨も7、8本折れていましたからね。病院に着いてから意識がなくなったんだけど、意識がなくなる間際に「命が危ないので緊急手術に入ります」っていう医者の声が聞こえたんです。あとで聞いたら、2000ccくらい出血すると命が危ないらしいけど、僕の場合は2200cc溜まってたって。さすがの医者も、手術中に命を落とす可能性もあるという覚悟で手術に臨んだらしいです。でも、おかげで奇跡的に助かって。生命力はありますよね(笑)。
──お話を聞けば聞くほど満身創痍ですね。
的場 そうですね。その手術のあとは、3日間ほど集中治療室に入りました。一般病棟に移っても、25日間は飲まず食わずでね。体には管がいっぱいついているし、トイレにも行けなくてつらかったなぁ。とにかく早く風呂に入りたかった(笑)。
──生死をさまよったといっても過言ではないケガをされて、ジョッキーを辞めようとは思わなかったんですか?
的場 それがね、命が助かったことがわかったとき、真っ先に「これでまた馬に乗れるな」って思ったんです。辞めるどうこうより、また馬に乗れるんだという喜びしかなかったから。
──“ジョッキー・的場文男”を象徴するようなお話ですね。馬に乗ることそのものが原動力になっていらっしゃる。
的場 5000勝の頃は7000勝も勝てるとは思っていなかったけど、いつの日からか7000という数字が目標になって、それがあったから頑張れた。幸せなことですよね。それ以前に、僕はなんでも一生懸命にやるタイプでね。さっきも話したけど、若い頃からとにかくがむしゃらに頑張りましたよ。その結果、21回も大井のリーディングを獲ったんです。富士山は遠くから見ると頂上の平坦部分が長いでしょ? あの距離が僕にとっての21年なのかもしれませんね。今はもう62歳ですから、河口湖のすぐそばまできてますけどね(笑)。
▲「僕はなんでも一生懸命にやるタイプ。もう、河口湖のすぐそばまできてますけどね(笑)」
※次回は12月28日(木)18時公開予定です
年末のTCK開催は『ラーメンフェス2018@TCK』!
TCK(TOKYO CITY KEIBA)では、毎年恒例の年末ラーメンイベントとして、「自称日本一ラーメンを食べた男・大崎 裕史監修 ラーメンフェス2018@TCK〜オリジナル定食作っちゃう?〜」を、12月25日(火)〜27日(木)、12月29日(土)〜31日(月)の期間、競馬場内のUMILE SQUARE(ウマイルスクエア)で開催します。
今年はラーメン評論の第一人者として活躍する大崎裕史さんの全面監修が決定! 全国から選りすぐりの名店8店が大集合します。さらにサイドメニューのバリエーションもパワーアップ! 餃子や唐揚げなどの定番に加えて、炒飯と点心の名店も初登場します。また、自分好みのラーメンとサイドメニューを組み合わせてオリジナル定食を作ると、豪華賞品が当たる抽選会にもご参加できます!
平成最後の年末は、TCKでおいしいラーメンと熱いレースを是非お楽しみください。
▲今年も名店が集結!『ラーメンフェス2018@TCK』
■実施期間
12月25日(火)〜27日(木)、12月29日(土)〜31日(月)
■営業時間
12月25日(火)・26日(水) 14時00分〜21時00分
12月27日(木) 13時30分〜21時00分
12月29日(土)〜 31日(月) 10時00分〜18時00分
※ラストオーダーは営業終了30分前となります。
※12月28日(金)は休業日です。
■場所
大井競馬場(品川区勝島2-1-2)“UMILE SQUARE(ウマイルスクエア)”
■出店店舗
<ラーメン8店舗>
・札幌みその(北海道)
・新旬屋 麺(山形)
・東京スタイルみそらーめん ど・みそ(東京)
・鯛塩そば灯花(東京)
・龍介(茨城)
・寿製麺よしかわ(埼玉)
・濃厚つけ麺・ラーメン 八重桜(東京)
・麺や厨(静岡)
<サイドメニュー4店舗>
・中華 味一(チャーハン)
・元祖唐揚げ専門店 田中屋(唐揚げ)
・神戸南京町 皇蘭(点心)
・金泉軒 包味(餃子)
■入場料
100円(大井競馬場への入場料として)
※25日(火)、26日(水)は入場無料となります。
※雨天時も開催します(TCKの開催に準じます)。