▲福永祐一騎手、川田将雅騎手との知られざる関係とは!?
デビュー4年目を迎える藤田菜七子騎手。アクションは大きくないのに馬がスーッと伸びる…そんな菜七子騎手の騎乗には、ならではの“何か”があるのではないか? フィジカル面の変化を探る中で名前の挙がったのが、福永祐一騎手と川田将雅騎手の存在。妹分の菜七子騎手の成長を願う先輩たちとの、温かいエピソードが明かされます。
(取材・文=不破由妃子)
レースの合間に実践的な指導
──デビュー4年目を迎えて、フィジカル面での変化は感じますか? 確か以前お話を伺った際には、下半身の強化が課題だとおっしゃっていましたが。
菜七子 私なりに取り組んではいますが、まだまだですねぇ。いや、デビューした頃よりは……ん〜、やっぱりまだまだです(苦笑)。
──最近の菜七子騎手の騎乗を見ていると、追い出してからの馬との距離がすごく近くなったように思います。その距離を保ったまま力強く追えるのは、下半身がブレていない証拠なのではないかと思いまして。
▲ゴール前の菜七子騎手の騎乗フォーム (撮影:下野雄規)
菜七子 ありがとうございます。騎乗フォームに関しては、そこまで変えようという意識を持って乗っているわけではないんですけど、2月のはじめにたくさん掲示板に載った日があって、そのときにも「すごく追い方が良くなったね」っていろんな方に声を掛けていただきました。
──あと、菜七子騎手が勝ったレースや上位にきたレースのゴール前でいつも思うのが、アクションはそれほど大きくないのに馬がスーッと伸びてくる。上手く言葉にできませんが、そのあたり、菜七子騎手ならではの“何か”があるのかなと。
菜七子 どうなんでしょう(笑)。ただ、私の考えとして、やっぱり走るのは馬なので、その馬が体全体を使って大きく走っているときは、できるだけ邪魔をしたくないなとは思っています。
▲「馬が体全体を使って大きく走っているときは、できるだけ邪魔をしたくない」
──いろんな方に「良くなったね」と声を掛けられたというお話でしたが、そういう変化をきちんと見ていてくれる人が周りにたくさんいるというのは、すごくいい環境ですね。
菜七子 はい。ものすごくうれしいですし、もっともっと頑張ろうと思えます。誰の乗り方という具体的なものではないんですが、もともとデビューしたときからなんとなく自分の理想とする乗り方があったんです。
デビュー当時はまったくできていなかったんですが、今はやっと少しずつ近づくことができているかなって。トレーニングについても、パーソナルトレーナーを付けて取り組んでいるので、そういう成果も少しずつ出てきたのかなと思ってます。
──同じ事務所ということで、福永騎手や川田騎手と行動を共にする機会が多いと思いますが、何かアドバイスをもらったりしますか?
菜七子 はい。本当にいつも気に掛けてくださっていて、同じ競馬場で乗っているときはパトロールビデオを見ながら、「もっとここはこうしたほうが良かったね」とか、乗り方についていろいろ教えていただいています。
中山競馬場のジョッキールームに木馬があるんですけど、その木馬を使って鞭の使い方を祐一さんに教えていただいたことがあって、そのとき将雅さんも一緒に見てくださって。レースの合間なのに、すごく丁寧に教えていただいて、本当にいい環境で騎手をやらせてもらっているなと思いました。
▲事務所の先輩でもある福永騎手(左)と川田騎手(右)
──レースの合間に福永騎手と川田騎手から実践的な指導が受けられるなんて、ものすごく貴重ですよね。
菜七子 ホントですよね。たとえば、土曜日は違う競馬場で乗っていて、日曜日は同じ競馬場だったりすると、「昨日のあのレース良かったね」とか、その日のことじゃなくてもアドバイスや指摘をしてくださるんです。そういうときは、「ホントに見ていてくれているんだな」と思って、ありがたいのはもちろんですが、すごく心強いです。
──お二人とも、菜七子騎手の競馬に対する姿勢を評価されているからこそでしょうね。兄弟子の野中騎手もアイルランド修行を敢行されるなど、ダイレクトに刺激をくれる先輩が周りにたくさんいますね。
菜七子 はい。野中先輩にもいろいろ教えていただきました。言葉も通じないところにひとりで何カ月も行くこと自体、すごく勇気がいる決断で、改めてすごいなと思いました。おっしゃる通り、そういう先輩が身近にいるのはいい刺激になりますし、本当に尊敬の気持ちしかありません。
(次回へつづく)
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▲(写真提供:ホリプロ)