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【阪急杯】相手のポジションに左右されない 馬との間合いを重要視する佑介騎手らしさ

  • 2019年02月28日(木) 18時01分
哲三の眼

▲スマートオーディンを久々の勝利へと導いた藤岡佑介騎手(c)netkeiba.com


一般的に競馬を見ている私たちは、内をついてロスなく立ち回れるのが騎手の巧みな技術…なんて思いがちですが、哲三氏が考える“ロス”はまったく解釈が異なります。“ロス”というのは、ただ単に走る距離ではなく、無駄に手綱を抑えたりと、馬のエネルギーを不必要に消費してしまう、表面上には見えにくい箇所に存在する“ロス”なのです。そんな“ロス”を最大限に抑えるレースを、対照的な展開で立て続けに披露した佑介騎手。哲三氏も唸る、佑介騎手の巧みな臨機応変さは必見です。(構成:赤見千尋)

一球入魂ではなく、先々に繋がる騎乗を


 先週は(藤岡)佑介が大活躍でした。阪急杯を11番人気のスマートオーディンで差し切ったのはさすがでしたし、さらに僕が好きだなと思った乗り方が、同じ日曜日の9レース。4番人気ロードゴラッソで好位から突き抜けたレースです。

 途中から外に出して、早め早めにペースアップして伸びて来たわけですが、もしかしたら「大雑把な勝ち方だな」と感じた方や、「せっかく内を取ったのなら内を突いてくればいいのに」と思う人もいるかもしれません。その意見も間違っていないし、そうした方がいい状況の時もあるけれど、今回のレースでは、僕はこの乗り方を選択したことがすごくいいなと感じました。

■2月24日 伊丹S(5番:ロードゴラッソ)

 まず、スタートを決めてから1コーナーまでの位置取り。スタートしてしばらくは3番の馬の方が前にいて、そのままのポジショニングならば、3番の横につけるか、後ろにつけるか、という場面なのですが、佑介はそこから押して3番の前のポジションを取りに行った。

 ロードゴラッソは4番人気でしたがダート替わり2連勝中で、ここでは力が抜けているという自信もあったのではないでしょうか。ここでいいポジションを取って楽になったことで、早めに押し上げて行って4コーナー辺りで勝負を決めてしまった。早めスパートの所に目がいきがちだと思いますが、その前に余裕を作れているからこそのレース運びでした。

 さらに、最初にしっかり内ラチ沿いを

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1970年9月17日生まれ。1989年に騎手デビューを果たし、以降はJRA・地方問わずに活躍。2014年に引退し、競馬解説者に転身。通算勝利数は954勝、うちGI勝利は11勝(ともに地方含む)。

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