
▲トレセンの中村調教師の指定席、競馬界の発展のための提言とは
2月28日付けで引退となる中村均調教師。若干28歳の若さで調教師試験に一発合格。調教師人生は42年におよび、トウカイローマン(オークス)やビートブラック(天皇賞・春)を輩出しました。2/25(月)~28(木)の4日連続でお届けしてきたインタビューも、今回が最終回です。
50年近く競馬に携わってきた中村調教師。競馬界の移り変わりの中で感じてきたことが、若手騎手を育てることの難しさでした。これからの競馬界の発展のために、中村調教師が考えるプランとは。そして最後は、厩舎を引き継ぐ愛弟子へ、まだ伝えていなかった特別な思いも明かします。
(取材・文=不破由妃子)
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【新規開業】厩舎を引き継ぐ愛弟子の長谷川浩大調教師のインタビューも好評掲載中弟子が継いでくれることは調教師冥利に尽きる
──いよいよ3月1日に長谷川浩大厩舎が開業となるわけですが、技術調教師としての期間を置かずに開業を許された背景には、どんな事情があったのですか?
中村 これもちょっと運命的なんですよ。後継指名制度というのがあって、本来なら1年間、技術調教師として勉強したあとじゃないと引き継げないんです。ところが、調教師さんがひとりお亡くなりになって、思いがけず馬房が空いたんです。それで特例で引き継ぎが可能となって。長谷川が引退したときに、たまたま厩舎スタッフの枠が空いたこともそうですが、神様がね、こうして縁をつないでくれたのかなと思いましたね。
──唯一の弟子が厩舎を継いでくれるなんて、調教師冥利に尽きますよね。
中村 本当ですね。長谷川にはね、「もう一度、面倒をみてください」と言われたときと4回目で調教師試験に受かったとき、2回も感動させられましたわ。あえてというのもあるけれど、助力も助言もしてやらなかったのにねぇ。
いろいろなことがありましたが、ここまでこられたのは、ひとえに本人の努力の賜物ですよ。僕にもたくさん叶えられなかったことがありますからね。そういう思いも引き継いで、僕以上の成績を挙げてくれることを祈っています。
──先生の背中を見てこられたからだと思いますが、いつかは弟子を取りたいとおっしゃっていました。