▲栗田博憲元調教師。写真は2013年東スポ杯2歳Sにて(C)netkeiba.com
2月28日をもって調教師を定年引退した栗田博憲“元”調教師。約39年間のトレーナー生活で積み上げた勝利数はJRA通算645勝。ヤマニンゼファーやシンコウフォレスト、イスラボニータといった活躍馬をターフに送り出してきた伯楽だ。これまでの競馬人生を振り返るとともに、携わってきた名馬の思い出、これからの競馬との関わり方についてなど、話を聞かせてもらった。
(取材・文=東京スポーツ・藤井真俊)
調教師生活、やるべきことはやった
――いよいよ明日(取材日は2月27日)で定年ですね。
栗田 そうね。部屋なんかはもうほとんど片付けてしまったよ。あ、ごめんなさい。お客さんだ。
――綺麗な花束ですね。先ほども違う人がプレゼントを持って厩舎を訪ねていらっしゃいました。
栗田 最後までありがたいよね。皆さんには本当に感謝しています。
――今日は夕方に川崎の交流レースで管理馬が出走します。これが正真正銘の厩舎のラストラン(ビーサプライズド=結果は3着)ですね。
栗田 私はこれまであまり交流レースは使ってこなかったんだけどね。それなのに最後が交流レースというのは、何だか不思議な感じがしますよ(笑)。
――人生の半分以上を調教師として過ごしてこられたわけですが、改めて現在の心境をお聞かせください。
栗田 やるべきことはやった、という感じですかね。オーナーや牧場関係者、それから厩舎スタッフ…。いい方たちと巡り会えて、それなりに成績を残させてもらって、重賞やGIも勝たせてもらいましたから。自分の中ではマズマズ…いや、満足しています。
――もともと競馬とは無縁の世界の出身と聞きました。
栗田 はい。馬との関わりは大学(日本獣医畜産大学=現日本獣医生命科学大学)で馬術部に入ったのがきっかけですね。卒業後は“馬に乗って、あとは酒でも飲めれば”なんて思ってたんだけど(笑)、縁あって成宮明光調教師を紹介して頂いて。競馬場に入ってからは、周囲の勧めもあって調教師を目指した感じです。
これまで手掛けた名馬との思い出