勢いか意地か、世代間激突の注目の一戦
新年度がスタート。各地で新人騎手たちのデビューも相次ぎ、新しい風が吹いている地方競馬。4月10日(水)には2019年度最初のダートグレード競走『第30回東京スプリント』が大井競馬場で行われます。
昨年は1着グレイスフルリープ(8歳)、2着キタサンミカヅキ(8歳)、3着ネロ(7歳)という結果でベテラン勢が上位を占めましたが、今年はJRAからフレッシュな4歳勢が参戦。ダートスプリント戦線の世代交代なるか大注目の一戦です。
昨年勝利したグレイスフルリープは秋にJBCスプリントのビッグタイトルを手にした(写真は18年JBCスプリント優勝時、(c)netkeiba.com)
昨年2、3着だったキタサンミカヅキとネロは東京盃でワンツーフィニッシュ(写真は18年東京盃出走時、撮影:高橋正和)
JRA勢5頭中3頭が4歳馬。その中でも人気・実力・話題性ともにナンバーワンは、藤田菜七子騎手とのコンビで臨むコパノキッキング。昨年2月のデビュー以来10戦7勝【7-1-0-2】、1200m以下に限れば6戦6勝(うち1200mで4勝)無敗という生粋の短距離馬。
女性騎手初のダートグレード勝利がかかる藤田菜七子騎手鞍上のコパノキッキング(写真は19年フェブラリーS出走時、撮影:下野雄規)
昨年12月にカペラSで重賞初制覇を果たすと、続く1400mの根岸Sも連勝。前走、1600mのフェブラリーSではさらなる距離延長が不安視される中、5着に大健闘。道中後方から脚をため、直線外から追い上げ、勝ち馬とは差があるもののGIの舞台で見せ場たっぷりの走りを見せてくれました。地方競馬参戦は初めてですが、スプリント能力の高さと勢いがあり、適距離に戻る今回は最有力候補と言っていいでしょう。
ホウショウナウも勢いある4歳馬。デビューから7戦5勝【5-0-1-1】。1400mで4勝したのち、前走・ジャニュアリーS(中山・OP・ダート1200m)で距離短縮も問題なく1600万下・オープンを連勝。今回、ユニコーンS(ルヴァンスレーヴの4着)以来となる重賞挑戦で、4歳世代のレベルの高さを見せて欲しいところ。鞍上はミルコ・デムーロ騎手です。
ホウショウナウはレベルの高い4歳世代の実力を見せつけることが出来るか(写真は19年ジャニュアリーS優勝時、撮影:下野雄規)
もう1頭の4歳馬はヒロシゲゴールド。“逃げ”に脚質転向してから頭角を現し、現在3連勝中。勝った3戦とも直線でもスピードは衰えず快勝。重賞初挑戦、地方競馬初参戦と初物づくしですが、スムーズな競馬ができれば逃げ切りも考えられ、こちらも首位候補の1頭。鞍上・武豊騎手は昨年のグレイスフルリープに続いて連覇がかかる一戦。2017年のJRAブリーズアップセール出身馬で、今年も23日に行われる同セールを目前に控え、俄然注目が集まります。
脚質転換をはかってから3連勝と勢いに乗るヒロシゲゴールドも侮れない(写真は19年大須特別優勝時、(c)netkeiba.com)
昨年の北海道スプリントCを制している7歳馬テーオーヘリオス。近走は今ひとつの成績が続いていますが、重賞ウイナーの意地を見せてくれるでしょうか?
近走不振もダートグレード競走を勝った実績が有るテーオーヘリオスの巻き返しに注意(写真は18年天王山S優勝時、(c)netkeiba.com)
5歳牝馬のアシャカダイキも地方競馬初参戦。前走・春風S(中山・1600万下・ダート1200m)で10番人気を覆し、直線で良い脚を使って勝利。有力馬たちが同脚質ですが、この馬も一緒に上がってくれば上位争いに加わってくるかも。
前走10番人気での勝利ながら決め手は侮れないアシャカダイキ(写真は19年春風S優勝時、撮影:下野雄規)
2013年ラブミーチャン以来の勝利を狙う地方勢の総大将はNARグランプリ2018で年度代表馬に輝いた船橋のキタサンミカヅキ。昨年はゴール前追い詰めたものの逃げ粘るグレイスフルリープに届かず2着。その後も好走が続き、プラチナC、アフター5スター賞、東京盃と3連勝。JBCスプリントでは中団から差を詰めるもグレイスフルリープの0.4秒差3着。
キタサンミカヅキは中央馬相手でも実績、実力ともに全く引けを取らない(写真は19年東京盃優勝時、撮影:高橋正和)
2018年は9戦して【3-3-3-0】すべて馬券圏内という安定した走りを見せてくれました。年明けの根岸S(9着)では見せ場なく終わりましたが、東京盃を連覇している得意の舞台・大井の1200mでコパノキッキングへのリベンジなるか? 父は先日亡くなったキングヘイロー。天国に捧げる勝利を狙います。
さらにJRAから移籍してきた注目馬、船橋に転入3戦目を迎える7歳馬アクティブミノル。2015年セントウルS(阪神・GII・芝1200m)を制している芝の短距離重賞ウイナー。前走は大井のオープンでアピアの2着。実力があるのは間違いないベテランが、新天地で再び結果を出すことができるでしょうか?
アクティブミノルは中央在籍時にGII勝ち。実績は確実なだけに怖い一頭(写真は19年柏の葉OP出走時、撮影:高橋正和)
JRAから転入2戦目となる大井のショコラブラン。2017年かきつばた記念3着、北海道スプリントC2着などダートグレード競走でもお馴染みの存在。転入初戦の前走・フジノウェーブ記念は休み明け+12kgで4着。馬体が絞れてくれば面白い存在。
中央在籍時もダートグレード競走で活躍。一度叩いて上積みが有れば上位争いは可能(写真は19年フジノウェーブ記念出走時、撮影:高橋正和)
昨年の東京盃で5着だった船橋のキャンドルグラス。地方馬同士なら上位争いをしている信頼性の高い1頭。今回もひとつでも上の着順を狙いたいところ。
キャンドルグラスは重賞勝ちは無いが、地方馬同士なら崩れず走れている(写真は19年フジノウェーブ記念出走時、撮影:高橋正和)
【今回のイチオシ馬!】
コパノキッキングは1200m以下で圧倒的な強さを見せる本物の短距離馬。ここを勝てば今年のスプリント戦線に君臨すること間違いなし。“藤田菜七子騎手重賞初制覇”の場面をぜひ見たいと思います。
【チョット気になる馬】
キタサンミカヅキを穴馬として挙げるのは申し訳ないのですが、コパノキッキングをはじめホウショウナウ、ヒロシゲゴールドといった勢いある4歳馬たちによる世代交代に「待った」をかけることができるのはこの馬。9歳でもまだまだ元気。歴戦の古豪の底力を見せて欲しい。
4歳勢による世代交代なるか? キタサンミカヅキがベテランの意地を見せるのか? 馬たちの戦いはもちろん、藤田菜七子騎手、ミルコ・デムーロ騎手、武豊騎手、森泰斗騎手と騎手たちも豪華メンバーが揃って、その手綱さばきからも目が離せません。あらゆる切り口から楽しみ満載!新年度の幕開けを飾る、東京スプリントをお見逃しなく!
※次回の更新は4月16日(火)18時。翌日に船橋競馬場で行われる「マリーンC」のコラムをお届けします。■
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