▲朝の調教を終えて、和気あいあいと会話が弾む安田厩舎の大仲にて (C)netkeiba.com
今回からスタートする「シリーズ師弟対談」(不定期)。近年は昔ほどの師弟関係があまり見られない傾向にある中、今年デビュー組の多くにおいては所属厩舎の厚いバックアップ体制が感じられます。どんなきっかけで所属が決まり、昭和生まれの師匠と平成生まれの弟子は普段、どんな会話をしているのでしょうか。このシリーズでは師弟コンビの絆や普段の姿に迫っていきます。
記念すべき第1弾は安田隆行調教師と斎藤新騎手。安田師はジョッキー時代にはトウカイテイオーで日本ダービーを制し、調教師転向後はロードカナロア、トランセンド、カレンチャンなどを輩出してきました。しかし、その実績とは対照的に冗談を交えながら温かく斎藤騎手のことを見守ります。「厩舎実習の時はよく泣いていたけど、こないだのレースはすごく上手く乗った」と珍しく褒められたことに対して、斎藤騎手の答えとは…?
今年デビューの新人騎手では最多の7勝を挙げる斎藤騎手と安田師、さらには厩舎スタッフも巻き込みながら終始、笑いに包まれた対談をどうぞ。
(取材・構成:大恵陽子)
厳しい師匠が認めた100点満点の騎乗
――斎藤騎手がダウンの下に着ているのって、安田翔伍厩舎の厩舎服じゃないですか?
斎藤騎手 はい、そうです。
安田師 来年、転厩ですね(笑)。
斎藤騎手 え…! ちょっと待ってください(笑)。
安田師 まぁそれは冗談として、私はあと5年で定年ですが、そうなったら翔伍先生が面倒を見てくれるでしょう。こうして基本的には毎日楽しくワイワイやっていますし、然るべき時はスタッフがガツンと怒っています。
――現在、新人騎手では最多の7勝(2019年4月12日時点)を挙げていますが、この成績は安田師からご覧になられていかがですか?
安田師 思った以上に頑張っていますね。うちの厩舎での3勝は本来だったらなかったんじゃないか、と思っています。これからが本当の勝負ですから、頑張ってほしいですね。
斎藤騎手 勝たせていただける馬に乗せていただいて、こうした結果を残せているのはほとんど馬の力です。これからは他の方から見て、僕自身が馬の力を最大限発揮させて勝たせたなって思ってもらえるような競馬をできるようがんばっていきたいです。
安田師 本人が一番分かっていると思いますが、まだまだ勉強することが本当にいっぱいありますからね。いま一番課題として取り組んでほしいのはムチの使い方ですね。こないだ勝ったサンライズカナロア(2019年4月7日福島9R)でもまだちゃんとできていませんでした。普段の調教で訓練して、馬の反応に対する左右のムチの使い方を勉強していってほしいです。