平成の競馬とともにあった競馬実況アナウンサーの仕事
多彩な共演者たちに囲まれ、瞬く間に過ぎた時間
いよいよ4月も最終週。ということは、27日〜29日の開催で平成の中央競馬が終わってしまいます。
当コラムにもたびたび書いてきましたが、私がテレビ東京「土曜競馬中継」で実況を担当し始めたのは1990年、平成で言えば2年の4月でした。そもそも興味を持って競馬を見るようになったのは昭和の時代でしたが、私の競馬実況アナウンサーとしての仕事は、平成の競馬とともにあったと言っていいでしょう。
原良馬さんがお休みされている今、恥ずかしながら「ウイニング競馬」のレギュラーメンバーの中で最も古くから出続けている出演者になってしまった私。でも、自分にはそういう実感がほとんどありません。
その理由は、原さんに代わって出演されている大久保洋吉先生の存在があるからだと思います。まさに“現場のまっただ中”で、私よりずっと前から競馬に携わり続けてこられた方ですからね。
「だったら、吉沢さんも元は“現場”の人で、しかも年上でしょ?」と言われるかもしれません。でも吉沢さんには、騎手をやめてわれわれの世界に入ってこられた時、どうやって喋ればいいのかがわからず、試行錯誤されていた時期があったんです。
それを、われわれも一緒になって考えながら取り組んできたので、先輩というよりも仕事仲間という感覚になっています。
考えてみると、私の次に長く出演されているのが吉沢さんです。私の記憶が確かなら、1996(平成8)年の1月からだったはず。えっ、来年は25年目に突入するってこと?もうそんなに経っちゃったんですね。
一方で、キャプテン渡辺さんやジャンポケ斎藤さんの出演も長くなりました。「土曜競馬中継」が「ウイニング競馬」に衣替えしてからは短い周期で司会者が交代してきましたが、斎藤さんの司会はもう丸6年も続いています。
男性司会者には、北野誠さんや萩原流行さんがいらっしゃったので珍しくはないのですが、かなり異質なのがキャプテンさんの役割です。これもよく考えてみれば、ですが、キャプテンさん以前に、キャプテンさんのような立ち位置の出演者はいませんでした。レース予想をするにしても解説をするにしても、新聞記者かその経験者、あるいは“現場”出身者の吉沢さんの担当でしたからね。
そこに、解説をするわけでもなく、ただ(と言っては失礼ですが)、おもしろおかしく予想を披露して、馬券が当たった、ハズレたで一喜一憂する姿を見せる出演者が初めて参入してきたわけです。これはある意味かなり画期的。つまり、キャプテンさんは「ウイニング競馬」に新たな風を吹かせたパイオニアと言えます(そんなにヨイショしてどうする?)。
何はともあれ、平成の間にいろいろと様変わりしたテレビ東京の競馬中継。令和の時代になっても引き続きご愛顧いただきますよう、心からお願い申し上げます!!!