マスターフェンサーのライバル見極めに注目の一戦
北米3歳3冠2戦目のG1プリークネスS(d9.5F)の開催が、今週土曜日(18日)に迫っている。
3冠初戦のG1ケンタッキーダービー(d10F)を、2着入線から繰り上がりで制したカントリーハウス(牡3、父ルッキンアットラッキー)は、レース後に熱発があって、ここのみならず3冠目のG1ベルモントS(d12F)も回避することを既に表明しており、1着入線後に17着に降着になったマキシマムセキュリティ(牡3、父ニューイヤーズデイ)も、ここは自重。
ケンタッキーダービーを戦った馬では、4着のインプロバブル(牡3、父シティジップ)、7着のウォーオヴウィル(牡3、父ウォーフロント)、9着のウィンウィンウィン(牡3、父ハットトリック)、13着のボディエクスプレス(牡3、父ボディマイスター)の4頭が出走の意思を表明しており、これに別路線組を加えた8頭の合計12頭で、プリークネスSは争われることになる模様だ。
1番人気が予想されるのは、ケンタッキーダービーでも現地オッズ1番人気での出走となったインプロバブルだ。西海岸を拠点とするボブ・バファートが管理する同馬は、2歳時は3戦し、G1ロスアラミトスフューチュリティ(d8.5F)を含む3連勝。しかし、他の多くのカリフォルニア調教馬同様、3月に拠点としているサンタアニタの馬場が閉鎖された影響で調整過程に狂いが生じたようで、今季初戦となったG2レベルS・分割1(d8.5F)で2着に敗れて連勝がストップ。続くG1アーカンソーダービー(d9F)でも2着に敗れた後、前述したように前走ケンタッキーダービーが4着と、今季はここまで3連敗を喫している。
と言っても大負けしているわけではなく、前走もカントリーハウスに1.1/2馬身遅れをとったのみだ。ここは、マイク・スミスがブッキングされての出走という点も、人気を下支えする要因となっている。
ケンタッキーダービー組では、問題となった残り500m地点でのマキシマムセキュリティの外側斜行で、直接的な被害を受けることになったウォーオヴウィルも、人気を集めることになりそうだ。
インプロバブルとは対象的に、今年に入ってG3ルコントS(d8F70y)、G2リズンスターS(d8.5F)を連勝し、トップリーグの仲間入りを果たしたのがウォーオヴウィルだ。ところが、続くG2ルイジアナダービー(d9F)では勝ち馬から12馬身遅れた9着に大敗。レース直後に右トモに跛行が見られたが、獣医検査で異常は認められず、歩様もすぐに回復して調教が再開され、ケンタッキーダービーに出走していた。
インプロバブルもウォーオヴウィルも、中1週というのは厳しいローテーションだが、使ってくる以上は力を発揮できる状態にあると見るべきで、そうであるならば争覇圏にいる2頭と言えよう。
一方、多彩な顔触れが揃ったのが別路線組である。中でも地元のファンが熱い期待を寄せるのが、オールウェイズマイニング(セン3、父ステイサースティ)だ。
メリーランド産の同馬は、2歳4月にデビューすると、最初の3戦をケンタッキー州で戦った後、4戦目以降、前走までの9戦を全て、メリーランド州のローレル競馬場で施行されたレースを走っているのだ。そして、昨年10月から前走まで、破竹の6連勝をマークしているのである。
しかも、今季初戦となったミラクルウッドS(d8F)が、その後ドバイに遠征しG2UAEダービー(d1900m)で2着に来ることになるグレイマジシャンに、4.1/4馬身差をつけての勝利。続くプライヴェートタームスS(d8.5F)が、2着馬に6.3/4馬身差。そして前走のフェデリコテシオS(d9F)が、2着馬に11.1/2馬身差と、レースを重ねるごとに圧勝ぶりに磨きがかかっているのである。
別路線組では、前走キーンランドのG2ブルーグラスS(d9F)で、2着馬ウィンウィンウィンに鼻差競り負けて3着になってしまったゆえに、ポイントが足りずにケンンタッキーダービー出走がかなわなかったシグナルマン(牡3、父ゼネラルクオタース)や、「ダービー最終便」のG3レキシントンS(d8.5F)を快勝しながら、これもポイントが足りずに矛先をこちらに向けてきたオーウェンデイル(牡3、父イントゥミスチフ)らも魅力ある馬たちである。
G1ベルモントSでマスターフェンサー(牡3、父ジャスタウェイ)の相手がどの馬になるのかを見極める上でも、プリークネスSは見逃せない一戦となりそうだ。