■安田記念(G1・東京芝1600m)フルゲート18頭/登録17頭
【特注データ】3行でわかる! レース攻略の糸口 アーモンドアイとダノンプレミアムの激突に胸が躍る、今年の安田記念。その特徴としてあげられるものはいくつもあるが、もっとも注目したいのが「速い上がりの重要性」である。前走で速い上がりをマークしていた馬が強い傾向のレースで、前走での上がり3F順位が「3位以内」だった馬はトータル[7-4-5-38]で連対率20.4%、複勝率29.6%と高信頼度。「4位以下」だった馬よりも格段に信頼できる。
また、かなり内枠有利の傾向が強いレースであるのも、注目すべきポイント。詳しくは後述するが、安田記念では内枠である馬番1〜6番がアタマひとつ抜きんでた成績を残している。成績優秀な「前走上がり3F順位3位以内馬」に限定したデータでも同様の傾向で、内枠である馬番1〜6番に入った馬は連対率31.6%、複勝率47.4%、単勝適正回収値135.1、複勝回収値170という驚異的な成績となる。
問題は前走が海外戦であるアーモンドアイの扱いだが、JRAで出走したレースでの上がり3F順位は、すべて「2位以内」。しかも、ジャパンカップ以外はすべて最速上がりをマークしている。この実績を信頼して、条件をクリアしている扱いにするのが適切なはずで、あとは内枠が引けるかどうか次第。馬番1〜6番に入った場合には、素直に本命視したい。
【コース総論】東京芝1600m Cコース使用
★ふたケタ人気の単勝を狙うのはナンセンス。人気薄はヒモで狙うのが正解。
★枠番の内外による成績差は皆無。外枠を理由に評価を割り引く必要はない。
★差せるがイメージほどではない。好位から競馬できる馬を上位評価すべき。
春だけでも3回のG1が開催される東京芝1600m。今度はCコースでの開催となるが、ここで掲載するコースデータ自体に変化はほとんどない。その傾向について簡潔にまとめると、人気薄はヒモで狙うべきコースであることや、枠番の内外による有利・不利がほとんどないこと、イメージほどには差せないことなどがあげられるだろう。
まずは人気別だが、ふたケタ人気で勝った馬はわずか1頭。それとは対照的に、1〜3番人気が49勝と圧倒的な勝ち星をあげている。人気薄の激走率自体はけっこう高いのだが、1着馬に関しては手堅くいったほうがベターだ。また、枠番は「超」フラット。枠番の内外による信頼度の変化はほとんどないので、外枠でも評価を割り引く必要はない。
最後の直線が長い東京芝=かなり差せるというイメージだが、最速上がり馬が2着に取りこぼすケースが目立っているように、この組の過信は禁物。クラスが上がると差し優勢の傾向が強まりはするが、基本的には4コーナーを6番手以内で回った先行勢から勝負したいところである。あとは、ダービー週からCコースに替わった影響が、どの程度あるか次第だろう。
【レース総論】安田記念(G1) 過去10年
・レースの要所!
★7番人気以下[5-3-5-97]と人気薄が強い。ふたケタ人気の超穴馬も要警戒。
★内枠である馬番1〜6番が高信頼度。脚質はコースデータよりも差し優勢。
★高齢馬が強いレースで、6歳馬の強さが目立つ。距離短縮組も要チェック。
★勝ち負けにはある程度の馬格が必要。前走馬体重479キロ以下馬は割引か。
レースの平均配当は、単勝1261円、馬連7673円、3連複4万963円とハイアベレージ。1番人気は[4-1-1-4]とキッチリ結果を出しているのだが、2〜4番人気の信頼度がイマイチで、人気サイド全体でみると低調な成績だ。逆に絶好調なのが7〜9番人気で、トータル[5-1-0-24]で勝率16.7%をマーク。これはなんと、1〜3番人気の勝率と同じ数値である。ふたケタ人気馬の激走率も高く、かなり波乱傾向が強いレースといえるだろう。
枠番別成績では、コースデータと大きく異なる結果が出ている。コース全体では驚くほどフラットなコースなのだが、安田記念については「内枠有利」の傾向が強く感じられるのである。内枠である馬番1〜6番の信頼度はアタマひとつ抜けており、回収値ベースの数値やギャップ値も優秀。外枠を割り引く必要はないが、内枠に入った馬の評価は少し高くしておきたい。
次に脚質だが、こちらはコースデータよりも差し優勢。信頼度はもちろん回収値ベースの数値も、4コーナーを7〜12番手で回った中団待機組がもっとも高くなっている。また、上がり最速馬が[3-2-3-3]で連対率45.5%、複勝率72.7%と非常に高信頼度であるのも、その裏付けとなるデータ。さすがに後方から差し切るのは難しいが、2〜3着にくるケースは意外と多く、侮れない面がある。
年齢別では、G1にしては珍しく高齢馬の強さが目立っている。信頼度の高さと爆発力の強さを兼ね備えているのが6歳馬で、4歳馬や5歳馬の内容と比較してもまったく遜色なし。4〜6歳馬は、横並びの評価でいいと思われる。ただし、7歳以上になるとさすがに信頼度が低下するので、こちらは少し評価を割り引いたほうがよさそうだ。
前走距離別では「距離短縮組」に注目。出走数は少ないがコンスタントに馬券絡みしており、信頼度の高さはかなりのものだ。出走数が多いのは前走芝1600m組だが、こちらは可もなく不可もなくといった印象。前走マイラーズC組が[0-1-6-35]で連対率2.4%と低信頼度であるのが、大きく足を引っ張っている。
前走馬体重別では、芝マイル戦らしく大型馬が好成績。前走479キロ以下馬がトータル[0-1-3-39]で連対率2.3%、複勝率9.3%であるのに対して、前走480キロ以上馬は[9-8-7-81]で連対率16.2%、複勝率22.9%と、そこには天と地ほどの開きがある。前走馬体重が470キロで、しかも前走マイラーズC組であるインディチャンプの扱いには、細心の注意を払う必要があるだろう。
最後に、データすら掲載していない小ネタをひとつ。安田記念はなぜか偶数馬番が非常に強いレースで、人気薄で好走した馬も大半がコレに該当。具体的にいうと、7番人気以下の偶数馬番はトータル[4-2-4-46]で連対率10.7%、複勝率17.9%。そして奇数馬番は[1-1-1-51]で連対率3.7%、複勝率5.6%と、前者と後者でその信頼度には3倍前後もの大差がある。「迷ったら偶数」がオススメだ。
【血統総論】 血統面は、ディープインパクト産駒、ロードカナロア産駒、クロフネ産駒をプラス評価の対象とした。驚いたのがクロフネ産駒の強さで、昨今は母父としての優秀さが目立っていたりもするのだが、このコースでは父としても最強クラス。前走のヴィクトリアマイルでは人気を裏切ったアエロリットだが、そのコース適性の高さを考えると、ここでの巻き返しがあって何の不思議もない。改めて注目したい存在である。
★安田記念 総論×各論 香港のビューティージェネレーションなど、予備登録のあった海外勢は残念ながらすべて回避。日本馬オンリーでの「春のマイル王決定戦」となった。とはいえ、アーモンドアイとダノンプレミアムという最強クラスの2頭が激突するとあって、大盛り上がりとなるのは確実。サングレーザー、ステルヴィオ、ペルシアンナイトなど、二番手グループの層もかなり厚い。馬券的にも面白い一戦となってくれそうである。
アーモンドアイとダノンプレミアムの「二強」オッズとなるのは確実だが、安田記念の波乱傾向の強さについては前述した通り。人気馬でキッチリ決まったのは、ウオッカとディープスカイで決まった2009年くらいのもので、この時も3着は10番人気のファリダットが激走している。この2頭の力が抜けているとはいえ、そうそう簡単に並び立つとは思えない──というのが正直なところだ。
現時点でのトップ評価は、現在の日本最強馬である
アーモンドアイ。初の海外遠征だった前走のドバイターフでも、危なげない走りで連勝を7に伸ばした。中7週という余裕のあるローテで、マイル実績のある距離短縮組というのも好印象。久々のマイル戦になるが、血統や過去の実績から考えて、何の問題もなさそうだ。馬場や組み合わせ次第で、どこからでも競馬できる強みを存分に発揮することだろう。
二番手評価に
アエロリット。前走のヴィクトリアマイルでは人気を裏切ったが、あのペースで強引に逃げて5着に粘るのだから、やはりその能力は並大抵ではない。海外遠征での大敗後で、しかも久々だったのを考えると、さらに高く評価できそう。速い時計になっても問題ないのも証明済みで、東京芝マイルというベスト条件での「一発」が、大いに期待できそうな一戦といえる。
三番手評価に
ステルヴィオ。前走の大阪杯は14着と大敗だったが、昨年秋には毎日王冠で2着、マイルCSで1着と、トップクラスの能力を発揮していた馬。得意のマイルに戻って、こちらも変わり身が期待できそうだ。そして四番手に
ダノンプレミアム。能力の高さは重々承知だが、前走マイラーズC組であることや、おそらくこちらが2番人気になるであろうという予測、差し優勢のレースで徹底先行型であることなど、不安も意外に多い。
以下はサングレーザー、ペルシアンナイト、タワーオブロンドン、スマートオーディンという評価の序列だが、先週の日本ダービー同様に「枠番の影響が強いレース」であり、それ次第で評価は大きく入れ替わると思われる。波乱傾向の強さも加味すると、「アーモンドアイからのヒモ荒れだけを狙う」という馬券戦略も面白いかも。個人的には、二強が「並び立たない」カタチだけを狙ってみる所存である。
■総論×各論・先々週の馬券回顧
今週は3着4着ですか(#^ω^)ビキビキとはいえ、勝ったラヴズオンリーユーの強さにケチをつける気は毛頭なし。忘れな草賞組がたまに勝ち馬を出すというのは、オークスの歴史通りではあるし。この馬を1番人気に支持した今の競馬ファンは、本当に馬券がウマいと思うんです(敗北)。カレンブーケドールを軽視しちゃったのも反省材料だよなあ……。
※コース&血統データは2015年以降、レースデータは2009年以降が集計対象です。
※ギャップ値(G値)は、当該条件における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、優秀な内容となります。
【予想】小林誠の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!